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限界は「まだ見えない」。修徳FWブワニカ啓太は自分を磨き続けて千葉から世界へ

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修徳高で成長し、ジェフユナイテッド千葉入りを果たしたFWブワニカ啓太

 学んで、成長して、スケールの大きな選手、日本を背負うような選手になる。来季からのジェフユナイテッド千葉加入が内定している修徳高(東京)FWブワニカ啓太(3年)は6日の東京都2部リーグ最終節で先発フル出場。高校生活最後の公式戦を終えた。

 修徳では、1年時からトップチームで出場機会を掴んでいたMF大森博(3年、徳島内定)やDF高橋港斗(3年)を追って地道に努力。「(プロは)本当になりたくてもなれない人ばかりですし、自分はその分類に入ってしまうかなと思っていたんですけれども、諦めずにやっていたら、プロになることができて。修徳に来て……修徳に来たからプロになれたと思います」と修徳での3年間に感謝した。

 ブワニカは中体連の松戸六中(千葉)出身。千葉県大会1回戦敗退、松戸市選抜に入ったことがあるというほどの経歴だった選手は修徳で試合経験を重ねながら進化し、2年時冬に千葉へ練習参加した。すると、「下手くそだったので走りまくろうと思って、練習の紅白戦で走りまくっていたらユン(尹晶煥)さんに気に入られて」。コロナ禍で公式戦が中止となる中でも千葉のブワニカに対する評価は変わらず。地元・千葉のクラブから正式オファーを受けたブワニカは即決し、10月1日に千葉内定が発表された。

 千葉からは「人間性が一番評価されていると言われました」とブワニカ。同期入団する流通経済大柏高(千葉)GK松原颯汰(3年)も「コミュニケーション能力が高くて、そのコミュニケーション能力を武器に自分の良さを出していこうとしている」とブワニカについて語っていたが、周囲を明るくする力とマジメに、コツコツと努力できる才能は将来を切り開くための武器となりそうだ。

 プレー面の特長は豊富な運動量とヘディング、前線でのボールキープ力、そしてDF裏への抜け出しだ。本人も「(サポーターには)献身的なプレーだったり、裏の抜け出しとかを見て欲しいですね」。イングランド代表FWマーカス・ラッシュフォード(マンチェスター・ユナイテッド)を憧れの選手に挙げるストライカーは、ここからスピードの部分も成長させて“千葉のラッシュフォード”と呼ばれるような選手を目指す。

 この1、2か月も学びの期間となった。全国出場を目指して臨んだ選手権は、東京都2次予選2回戦で都立狛江高に延長戦の末に“まさかの”敗戦。試合の途中から「気持ちの勝負になる」と実感していたが、気持ちを全面に出して戦う相手に後半追いつかれ、延長戦で勝ち越されてしまった。

「『本当にこれがサッカーなんだな』と改めて、『最後は気持ちなのかな』というのも学んだ」とブワニカ。サッカーにおいて大事なものを再確認する試合にもなった。「これからプロで活躍していくためにも、選手権で良い経験ができたなと思います」。また選手権後に千葉へ練習参加して学んだこともあるという。

「まず最低限の技術がないとやっていけないなということが新しく学べたので、気持ちは大事ですけれども、まずは技術を上げないと活躍できないので、今はその練習をやっています」。プロ入り前に気持ちと技術の大切さを学んだブワニカは、その部分を来季から発揮できるように準備をする。

「不安はありますけれど、自分でいうのも何なんですけれども、『自分の限界がまだ見えていない』ので、自分ハーフですし、海外で戦える体も全然作れなくないと思っています。プロ生活が始まってサッカーに集中できるので、しっかり自分と向き合って、自分の体を作ったり、技術を上げたりして行きたい。プロでいる限りは日本を背負うのが最終目標というか、一番良いところでプレーできることが夢なので、プレミアだったり日本代表でプレーしたいです」。ウガンダ人の父と日本人の母を持つブワニカは自分の可能性を信じ、自分を磨き続けて千葉から世界へ羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)
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