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「これからさらに強いチームになっていきたい」。神戸弘陵が後半ATの決勝点で兵庫県内5大会連続V

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神戸弘陵高が新人戦2連覇、兵庫県内5大会連続優勝

[2.7 兵庫県高校新人大会決勝 神戸弘陵高 1-0 滝川二高]

 7日、令和2年度兵庫県高校新人大会の決勝戦が行われた。選手権予選と同様、多くのスタッフの尽力のもと、感染症予防にも万全の対策をとりながら無観客で実施された。

 決勝戦まで勝ち上がってきたのは、神戸弘陵高滝川二高。神戸弘陵は、2年前の選手権予選以降、新人戦、総体の代替大会、選手権予選と県内トーナメント4大会連続で王者の座を守り続けてきた。他方の滝川二は、OBの亀谷誠監督を迎えて2年目のシーズンを迎える。新人大会では5年ぶりとなる決勝戦進出を勝ち取った。

 迎えた決勝戦では、両チームともに集中力の高い守備を発揮。滝川二は、MF藤田仁朗(2年)を起点にFW相原禎汰(2年)やFW西村太希(1年)が前線に入っていくものの、シュートを打たせてもらえない。神戸弘陵もまた、再三ゴール前に入って行き、強みでもあるセットプレーのチャンスも得ていたものの、滝川二のゴールネットを揺らすことができない。互いに得点を奪えないまま、時間は経過していった。

 スコアレスのまま延長戦にもつこれ混むかと思われた後半35+2分、ようやくスコアが動く。神戸弘陵がFKを獲得。それまでキッカーを務めていたFW田中祉同(2年)は「GKがニアを警戒しているように見えたので、自分が蹴るよりも隣にいたDF鳥羽悠生(2年)にファーへ蹴ってもらった方がいいのでは」と判断。鳥羽が蹴ったボールはほんの数センチ高く、惜しくもバーの下部分を叩いたが、そのこぼれ球をMF中地奎人(1年)がゴールに叩き込んだ。試合終了間際の劇的なゴールで、神戸弘陵が新人戦の2連覇、そして県内大会5連覇を果たした。

 劇的な勝利を収めた神戸弘陵だが、試合内容に満足はしていない。谷純一監督は選手権でベスト16以上への壁を越えられなかった悔しさにも触れ、「上位に入ってくるチームは少ないチャンスを確実に得点に結びつける。今回は滝川第二の粘り強い守備になかなかゴールをこじ開けることができなかったが、前年を超えるチームになるには、県内大会ではもう少し得点できるようにしていかなければならない」と課題を挙げた。

 しかしながら、今年のチームは、前年のチームで出ていた選手は主将・田中祉同と副主将のDF田中百々輝(2年)のみで、Aチームでの経験がない選手がほとんど。選手権の本大会を終えてから立ち上がった新チームは、わずか2週間でこの新人大会に臨み、チームづくりをしながら優勝を果たした。この大会で試合の経験を重ねるごとに選手たちが成長する姿を見られたことについては、谷監督も「たまらなくうれしい」と頬を緩ませた。

 キャプテンの田中祉同は、「先輩たちが積み重ねてくれた連覇に、真っ新な自分たちが1つトロフィーを加えることができたのはうれしいこと。けれど、ここからが県内大会3冠へのスタート。まだ発展途上なので、これからさらに強いチームになっていきたい」と、今シーズンへの意欲を語った。

 ここ数年は、決勝戦まで駒を進められなかった滝川二。今在籍している選手たちにとっては、決勝の舞台が初めての経験だった。そして、決勝で敗れる悔しさも同時に経験した。「段飛ばしに成長はできないので、今回経験したことをまた成長の糧として、次の大会では決勝で勝利するという経験をさせてやりたい」と語った亀谷監督。キャプテンの藤田は、前日の準決勝後に「決勝戦に勝ち進むという目標は1つ達成できたけれど、自分たちの目標はもう一度“強い滝川第二”を見せること」だと話していた。夏にはさらに強くなった滝川二を見られることを期待したい。

(取材・文 藤田カオリ)

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