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試合中に改善し、個性も発揮した日本高校選抜が駒澤大に5発逆転勝ち

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2本目12分、MF新井爽太(山梨学院高3年)のPKで追撃開始。ここから計5ゴールを奪い返した。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[2.18練習試合 日本高校選抜 5-3 駒澤大]

「NEXT GENERATION MATCH」(20日、埼玉、対川崎F U-18)へ向けて埼玉県内で合宿中の日本高校選抜が18日、駒澤大と練習試合(30分×3本)を行い、5-3で逆転勝ちした。

 駒大は日本高校選抜経験者のFW荒木駿太(3年=長崎総合科学大附高出身)や、年代別日本代表経験者の桧山悠也(3年=市立船橋高出身)が先発。1本目、日本高校選抜は前線からマンツーマン気味にプレッシャーをかけてくる相手に戸惑い、自陣での苦しいビルドアップが増えてしまう。

 押し込まれ、シュートまで持ち込まれてしまっていたが、それでもGK熊倉匠(山梨学院高3年)を中心に凌ぐと、12分にMF青木俊輔(東福岡高3年)がドリブルで中央まで持ち込んで右足を振り抜く。

 また、右のMF荒井悠汰(昌平高1年)が身体の強さを活かしてポイントとなったほか、CB井上太聖(堀越高3年)が前方のスペースをドリブルで突く形で一気に攻め上がるなど個々の強みを発揮しながら対抗。FW野田武瑠(山梨学院高3年)がGKをかわしに行くようなシーンや、MF宇野禅斗(青森山田高2年)が中央から持ち上がってミドルシュート放つシーンもあった。

 25分、FW宮崎鴻(3年=前橋育英高出身)に豪快に決められて失点したが、その後は右SB内田陽介(青森山田高3年)のシュートブロックなどで2点目を許さず、0-1で1本目を終えた。

 11人を入れ替えた2本目も立ち上がりに昨年の高校選抜メンバーである駒大FW田海寧生(1年=丸岡高出身)に豪快に決められ、FW土信田悠生(3年=高川学園高出身)のPKで0-3。日本高校選抜の蒲原晶昭監督(佐賀東高)は守備時にどこへ戻るか、立ち位置を確認する必要性を口にしていたが、フリーでシュートを打たせてしまう部分など課題となった。

 それでも、12分にMF新井爽太(山梨学院高3年)のスルーパスで抜け出したFW崎山友太(米子北高3年)がPKを獲得。これを新井が右足で決めて1点を返す。その後は大学生との競り合いで苦戦しながらも、蒲原監督が「みんな意識高いのでちょこっと言ったらそれを意識してやってくれる選手が多いのでやりがいがあります。(1本目終了後に)相手が人に来たのでスペースを上手く使おうという話をして、そういうところを徐々にやってくれたかなと思っています」と振り返ったように、テンポの速いパスワークでプレスを外し、またスペースを有効利用することでチャンスに繋げた。

 右SB長田京兵(市立船橋高3年)と左SB小澤亮太(昌平高3年)がスピードを活かして攻め上がるなど勢いづいた日本高校選抜は25分、MF吉田陣平(佐賀東高2年)の左クロスから崎山が決定的なヘッド。直後の26分には、吉田がMF川上航立(帝京長岡高3年)の左オープンスペースへのロングパスに反応し、飛び出してきたGKをかわす。そして浮き球の折り返しを通すと、左SB小澤がコントロールからの右足シュートを決めて1点差とした。

 さらに30分には、新井のクイックでのロングスローでFW安斎颯馬(青森山田高3年)が右サイドを抜け出す。そして素早くゴール方向を向いて左足シュート。最後はサポートしたMF永吉飛翔(神村学園高3年)が右足で決めて同点に追いついた。

 そして、15分ほどで10人を入れ替えて戦った3本目、FW福田師王(神村学園高1年)が獲得したPKは安斎のシュートが止められてしまったものの、選考合宿から求められてきた前からの守備を得点に結びつける。15分、崎山が相手GKへ鋭いアプローチ。小さなクリアをMF廣井蘭人(帝京長岡高1年)が右足ダイレクトでゴールへ流し込み、逆転した。

「守備のコンセプトの中で前から積極的にボールを奪いに行こうということを言っているけれど、選手も大分意識してくれている。選考キャンプのところからの引き続きの収穫」と蒲原監督は頷く。

 また、メンバーが入れ替わる中、GKの熊倉と藤井陽登(矢板中央高2年)、右SBの内田と長田、左SBの小澤と木内拓海(市立船橋高3年)、CBの一瀬大寿(山梨学院高3年)、飯田晃明(丸岡高3年)、板倉健太(山梨学院高3年)、井上という選手たちが責任感と競争心を持って失点することなく良く守っていた。そして、試合終了間際にも青木の中央突破を起点とした攻撃から永吉が落とし、MF小宅空大(帝京大可児高3年)がラストパス。右サイドへ流れた青木が右足で決めて5-3で試合を終えた。

 蒲原監督は、選手たちが個性を発揮することを最も大事にしている。この日はその強みを出した選手が多かったことも勝因となった印象だ。各ポジションの競争は激しく、先発も「あっさり決めれないという(選手)層であって欲しいと思いながら、3月(の活動)にも繋げていければと思っています」という指揮官の期待通りの状況となっている。紅白戦が予定されている19日も先発争いは継続。そして、修正を施して臨む「NEXT GENERATION MATCH」でもピッチに立った選手たちが個性を発揮し、白星を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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