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選手権決勝のリターンマッチ。青森山田は山梨学院に4発快勝で2か月前の”リベンジ”達成

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青森山田高の3点目を決めた丸山大和(29番)とアシストの松木玖生が歓喜の抱擁

[3.13 時之栖チャレンジカップ 青森山田高 4-0 山梨学院高]

 13日、時之栖チャレンジカップで今冬の選手権決勝カードが再現。青森山田高(青森)が山梨学院高(山梨)に4-0と快勝を収め、2か月前のリベンジを達成した。

 前橋育英高(群馬)、青森山田、山梨学院、静岡学園高(静岡)と過去4年の選手権王者が一堂に会した時之栖チャレンジカップ。ともに今大会2試合目となる青森山田と山梨学院が対峙する選手権決勝カードの“再現”は、「試合が始まる前に『リベンジ』という言葉を口にしていた」とキャプテンのMF松木玖生(2年)も明かした青森山田が、序盤から攻守に圧力を掛け続ける。

 前半2分にはCKから、CB三輪椋平(2年)のシュートは山梨学院ディフェンスが弾き出したものの、12分にもMF藤森颯太(2年)が左FKを蹴り込むと、オウンゴールを誘発。青森山田が得意の形で早くもスコアを動かす。

 以降も「シンプルにああいう配球を山田の力のある選手たちにやられて、それを拾われて、回収されて、押し込まれての繰り返し」と長谷川大監督も表現した山梨学院に対し、青森山田は降り続く雨でスリッピーなピッチコンディションも考慮しつつ、シンプルに前へ。これをFW名須川真光(2年)が収め、右からは藤森が、中央からFW渡邊星来(2年)が、左からはMF小原由敬(2年)が関わることで、左SB多久島良紀(1年)のロングスローも含めたセットプレーを続けて獲得。相手ゴール前に迫る。

 山梨学院も時折セットプレーで応酬。MF佐藤柊椰(2年)のプレースキックと、右SB海野諒大(2年)のロングスローをエリア内へ放り込むも、「自分の武器は空中戦の強さ」と口にするCB丸山大和(2年)と三輪を中心に、青森山田のディフェンス陣は1つ1つ丁寧に弾き返していく。

 35分には右SB大戸太陽(2年)を起点としたカウンターから藤森が、38分には小原が惜しいシュートを放つと、追加点は39分。相手のゴールキックを丸山が強烈なヘディングで跳ね返し、ボールはディフェンスラインの裏へ。これを見逃さずに名須川がきっちりフィニッシュ。ストライカーの一撃で、青森山田がリードを2点に広げてハーフタイムを迎える。

 後半も流れは変わらず。7分に松木が右CKを蹴り込み、丸山が高い打点で合わせたヘディングは、山梨学院GK吉久隆宏(2年)もよく触ったものの、弾き切れずにゴールネットへ。さらに19分には、左から途中出場のFW小湊絆(1年)がクロスを上げ、2列目から飛び込んだ松木はGKの鼻先でバックヘッド。「早めにアーリークロスを入れるというのは指示していたので、そこでいかにゴール前に飛び込んで相手より早く触れるかという面で、ゴールに繋がったので良かったと思います」という“真打ち”がチーム4点目を叩き出す。

「まだ自分の力に半信半疑の所があるんですよね」と長谷川監督も評する山梨学院は、28分にMF崎山亮(2年)が自ら投げたロングスローのこぼれをシュートまで持ち込むも、青森山田のGK沼田晃季(2年)がキャッチ。なかなか頼みの2トップ、FW茂木秀人イファイン(2年)とFW大島悠斗(2年)までボールが届かない。

 青森山田は交代出場の選手も躍動。前線に入った小湊が積極的なミドルを放てば、MF田澤夢積(2年)のパスからMF相原エリキ真二(2年)のシュートはわずかにクロスバーの上へ。MF本田真斗(2年)やMF小野暉(2年)も果敢に仕掛け、終盤まで落ちないパワーを維持。「このグラウンド状況ですけど、こういうサッカーがしにくい中でプレーする機会もこれからあると思うので、そこは良い経験として1つチームに持ち帰れたかなと思いますね」と松木。終わってみれば4-0で、2か月前の“リベンジ”に成功する結果となった。

 今回は完敗を突き付けられた山梨学院。長谷川監督は「自分たちがやろうとしていることを、山田が今日はやり切ったという感じかなと思います」と素直に認めながら、この敗戦をポジティブにも捉えている。「ウチのヤツらはこれが今の力だと思います。でも、この力が最後の1年のゴールの時にどれぐらい詰まって、どれぐらい逆転できるのかというのが、今年のテーマになってくるのかなと。常にずっと勝ち続けるぐらいのチームに、これからそうなりたいって思っている中で、山田みたいに毎年毎年この高い所にいられるようなチームになるためには何が必要かというのを、僕たちも考えていかなければいけないですね」。言葉の端々に悔しさを滲ませた指揮官は、サニックス杯での“リベンジ”も誓っていた。

 初戦の前橋育英戦が3-0、この試合が4-0と、複数得点に無失点と2試合で改めてその強さを見せ付けた青森山田。松木は「自分たちが取り組んできたものは、いかにこの期間でベースを作って、プレミアリーグに向けてどうチームをまとめるかという所なので、まずは2試合とも無失点で行けたことは1個だけ評価したいですね」と語りながら、「まだまだですよ。まだ守備ラインもそうですし、攻撃も全然合っていない所があるので、チームとしてはまだまだです」とさらなる“のびしろ”を示唆。「プレミア、インターハイ、選手権と三冠を獲る」(丸山)という目標に向かい、2021年の青森山田も着々と基盤を固めつつある。

(取材・文 土屋雅史)

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