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作陽の高速アタッカーMF西村颯人、警戒される中で不満の内容も相手の脅威に

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作陽高の高速アタッカーMF西村颯人

[3.13 中国高校新人大会 山口高 0-4 作陽高]

 50m走5秒9の高速アタッカーが、ストロングポイントのスピードで違いを示した。作陽高(岡山)MF西村颯人(2年=ディアブロッサ高田FC出身)は、選手権も先発出場していた“強力な槍”だ。山口高のDFにそのスピードを警戒され、距離を取って守られたこともあって不満の内容だったことは確か。それでも、存在感ある中国新人初戦だった。

 前半7分の先制点は、西村のスピードによってもたらされた。MF井芹凌成(2年)からのスルーパスを相手DFに対応されたものの、西村は一気にDFとの距離を詰めてチャージ。これによってGKへのバックパスが乱れ、オウンゴールとなった。

 常に狙っているという形で1点を生み出した西村は、その後も右サイドで怖い存在になっていた。ただし、相手を押し下げる要因にはなっていたものの、足元でボールを受ける形が増え、仕掛けても抜き切れない。

「サイドの1対1が自分の強みなんですけれどもSBに警戒されていて、突破しきるという部分では納得のいかないプレーだった」と西村。それでも、前半34分には相手SBの前に出て決定的なラストパスを通し、身体能力の高さを感じさせる浮き球トラップからゴールへ迫るなど印象的なプレーも見せていた。

 こだわっているのは左足でドリブルすること。「右サイドなんですけれども、左足でドリブルするというのは絶対的に自信持ってできるプレーです」。作陽進学以前は右サイドで右足のドリブルを行っていたというが、コーチのアドバイスによって左足でのドリブルを習得。それによって視野が90度から180度へ広がり、縦突破、カットインの選択肢も広がった。

 よりスピードを活かすための取り組みを続けている。「自分はスピードを活かすためにトラップを意識していて、トラップで敵を置いて行くという部分ではトラップを意識しています」と説明したように、よりトラップの質を高め、トラップでDFを置き去りにするようなプレーも増やしていく考えだ。

 酒井貴政監督はその西村について、「良い意味で指示を聞きすぎているところがある」と指摘。ボールを受けた際に味方を探しすぎている部分も多いというだけに、より仕掛けること、突破することにもこだわる。

 攻撃の柱を担う今年は、自分の強力な武器をチームのために発揮すること。そして、「選手権のヒガシ(東福岡高)戦で自分は何もできなかったので、その部分で今年はインターハイでも、選手権でも上を目指して、プロから目をつけてもらえるようにしたいです」という目標を実現する。

(取材・文 吉田太郎)

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