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[中国新人]PK戦9人目で決着!瀬戸内が米子北との激闘制して初V王手!

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決勝進出を決めた瀬戸内高イレブンが喜びを爆発

[3.14 中国高校新人大会準決勝 瀬戸内高 1-1(PK8-7)米子北高]

 瀬戸内が初優勝に王手――。第13回中国高校サッカー新人大会(広島)は14日午後、準決勝を行い、瀬戸内高(広島)対米子北高(鳥取)戦は1-1で突入したPK戦の末、瀬戸内が8-7で勝利。5年ぶりに準決勝を突破した瀬戸内は、15日の決勝で初優勝を懸けて高川学園高(山口)と戦う。

 今大会2試合で8得点無失点の瀬戸内と7得点1失点の米子北とのセミファイナル。ともにこの日2試合目だったが、互いによく走り、よく戦った。序盤は瀬戸内がFW風呂迫恵人(2年)、FW佐野竜眞(2年)、FW梁俊虎主将(2年)の強力3トップを活用したオープン攻撃からゴール前のシーンを作り出す。

 また、「相手に合わせてボールを運ぶというのがテーマ」(田中健二郎監督)という瀬戸内はCB有吉勇人(2年)やMF正法地大(2年)が相手を見ながら丁寧にビルドアップ。インサイドハーフのMF長谷川大貴(2年)とMF江川楓(1年)が相手ボランチの背後を取って一気に攻撃をスピードアップさせるシーンもあった。

 前からの守備を特長とする米子北はその背後を突かれるシーンが増えていたが、CB鈴木慎之介(2年)を中心にゴール前で集中した守備を継続。水際で凌いで0-0の時間帯を続ける。逆にMF栗原優弥(2年)が相手の背後を取って決定的な左足シュート。前半終了間際には注目FW佐野航大(2年)にボールが入る回数が増え、その展開やクロスから相手ゴールを脅かした。

 前半降り続いていた雨が止んで迎えた後半、3枚替えを実行した米子北が先制点を奪う。4分、右サイド後方からのパスでMF橋本淳史(2年)が抜け出す。これはDFのタックルに阻まれたが、サポートしたFW福田秀人(1年)が中央へ持ち込むと、最後はMF渡部颯斗(2年)が右足シュートを決めた。

 米子北は6分にも、佐野が相手DF3人を1人で剥がしてそのまま右足を振り抜く。その後もシュート数を増やしたが、2点目を決めることができない。逆に18分、瀬戸内は左ロングスローのこぼれ球に反応した有吉が抑えの利いた右足ミドルをゴール右へ突き刺し、同点に追いついた。

 畳み掛ける瀬戸内は前線でポイントとなっていた風呂迫のポストプレーから佐野が抜け出してシュート。また、巧みにボールを引き出していた江川のスルーパスから再び佐野が右足を振り抜いた。さらにチャンスを増やしたが、GK畠山壮哉(1年)が好守を見せる米子北は逆転を許さない。

 米子北も渡部のドリブルシュートや4連続のCKなどから勝ち越し点を目指すが、瀬戸内はDFリーダーのCB平山歩夢(2年)とCB有吉の2人をはじめ、こちらも球際で身体を張るなど堅い。セットプレーやオープンな攻撃が増える中、両校ともに疲れで質が低下する部分もあったが、勝利への執念とハードワークでゴールを死守。1-1で70分間を終え、決着はPK戦に委ねられた。

 互いに1人目から7人目まで成功。迎えた8人目、先攻・瀬戸内のシュートを交代出場のGK安田太陽(2年)が止めて米子北が決勝進出に大きく近づく。勝利を確信したかのように喜んでいた米子北だったが、ここから2人連続でシュートが枠外に。“我慢比べ”を制した瀬戸内が歓喜を爆発させた。

 瀬戸内は準々決勝で作陽高(岡山)を3-0撃破。連戦となった準決勝では相手を見る部分が不十分となって難しい戦いとなったが、それでも迫力のある攻撃や粘り強い守りで白星を勝ち取った。田中監督は「3試合で1失点なんてなかなかないゲームなので、70分3本で成長できているんじゃないかなと思います」と守備面について評価。そして、「コイツらにタイトル取らせてやって広島の歴史を変えたい」と語った。

 練習試合で好結果を続けているということもあり、選手たちは自信を持っており、ムードも良い。梁は「みんなで中国新人は絶対に取ろうと目標立ててやってきた。今週、修学旅行で全然動けていない中でハードな試合をして勝てたのは、(また)自信にも繋がったと思います」。18年度の選手権3位を見て入学し、昨年の経験者も残す世代の大目標は日本一。同校にとって初となる中国新人タイトルを獲得して、弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)

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