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[MOM3416]FC東京U-18MF梶浦勇輝(新3年)_圧巻の4ゴールも「U-18で圧倒できるレベルにならないと、J1でなんか活躍できない」

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FC東京U-18のボランチ、梶浦勇輝

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.20 イギョラ杯予選リーグ FC東京U-18 9-2 國學院久我山高]

 1試合4ゴールという圧巻の結果を残しながら、満足するような雰囲気は微塵も感じられない。「『U-18で満足してちゃダメなんだな』って。U-18で圧倒できるレベルにならないと、J1でなんか活躍できないですし、プロにもなれないと思ったので、まだそこまで行っていない自分には課題しかないんです」。体感してしまった“あちら側”の世界へ。FC東京U-18 の14番を背負ったボランチ。MF梶浦勇輝 (新3年=FC東京U-15深川出身)の基準はより高くなっている。

 ボランチにもかかわらず見事な4発。大会初日の初戦。國學院久我山高(東京)との一戦で、梶浦はその得点感覚を解き放つ。1点目はFW野澤零温(新3年)のクロスに合わせ、2点目はCKからDF土肥幹太(新2年)の折り返しを頭でプッシュ。さらに3点目をドリブルシュートで豪快にぶち込むと、最後はまたも野澤のクロスから4点目。様々なパターンで「たぶんFC東京に入ってからは初めてです」という1試合4ゴールを叩き出す。

「自分はあそこに行くプレーが去年はまったくなかったので、今回の大会ではそこを意識していて、『点の獲れるボランチにならないといけないな』と思っていたので、飛び出して行くということに関してはできたかなと思います」。梶浦の言葉に中村忠監督も頷いてみせる。「梶浦はゴールを意識していますね。そこの課題はトップに行って間違いなく言われていると思うので」。

 この冬にはトップチームの沖縄キャンプに帯同。「『自分はこんなレベルでプロになろうとしていたのか』というぐらいの衝撃を受けました。キャンプに行けたのは本当にありがたくて、全てにおいて足りなかったので、そこで今までの自分がどんなに甘かったのかというのがわかったんです」。圧倒的な力の差を見せられた。

 だが、目指すべき基準を“先輩”の姿から手に入れた。「安部柊斗選手(FC東京)は身長も同じで、ちょっとプレースタイルも似ていて。でも、あの身長であれだけボール奪取ができて、どこにでも顔を出せて、あの体力があってという選手で。『あそこまで行かないとJ1でスタメンを張れないんだな』ということと、逆に『あそこまで行ければJ1でも出れるんだな』と、どっちも感じましたね」。

 だからこそ、常に自身の目線を上げていく必要性を強く感じている。この日の4ゴールを経て、梶浦は自分でも不思議な感覚に囚われていた。「正直、自分でも『4点獲ったから満足できるのかな』と思ったんですけど、気持ち的にはそこまでではない感じなので、もっと高い所を目指さなきゃいけないなと。続けていかないと意味がないので」。もっと、もっと。自分の中から想いが湧き出してくる。

 新しい背番号はこだわりの数字。「14番は小学生の頃にいたトリプレッタの時に付けさせてもらって、それで14番を好きになって、中3の時も14番を付けていたので、個人としては思い入れがある番号ですね。カッコいいというか」。満足している時間はない。FC東京U-18の新14番。梶浦がダイナミックにピッチを駆け回る。

(取材・文 土屋雅史)

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