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市立船橋の新主将FW平良碧規、偉大な先輩の良さを取り入れながら「自分らしいキャプテンに」

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名門・市立船橋高の新主将、FW平良碧規

 先輩から学んだことに、自分らしさを加えたキャプテンになる。千葉の名門、市立船橋高の新主将は、FW平良碧規(新3年=Wings U-15出身)に決定。1年時のプレミアリーグEASTで5試合に先発するなど、新3年生の中で特に多くの経験値を持つFWがチームリーダーに指名された。

 平良は「一個上のキャプテンが凄くしっかりしていたので、見習わなければいけない部分もあるんですけれども、そればかりにならずに自分らしいキャプテンになれれば良いと思っていて、自分のプレーではまだ全然上手くないので、普段の練習に取り組む姿勢や、人間性のところで信頼されるようにということは意識してやっています」と自分が目指すキャプテン像について口にする。

 そして、「自分の強みは走ることだったり、裏に抜けることだったり、技術面ではまだまだなんですけれども、誰でもできそうな、でも頑張らなければできないというところを誰よりもやって、そういうところでチームを引っ張っていきたい」と力を込めた。

 市立船橋の前キャプテンは、鳥取入りして早くもJ3デビューと初ゴールも記録したDF石田侑資だ。石田は2年時からチームに影響を与えるほどの絶大なリーダーシップを発揮していた「ザ・キャプテン」。波多秀吾監督が「彼無しにはこのチームは成り立たないですし、プレーの面もそうですし、メンタル面でもそうですし、リーダーシップには僕らも甘えてしまっている部分がある。外せない選手だと思います」と賞賛するほどの存在だった。

 その後継者となった平良は、偉大な先輩を見て学んだことを受け継ぐ考えだ。「石田さんは試合中もそうですけれども、試合が無い時、練習が無い時もずっとサッカーのことを考えていますし、みんなのことを気にして密にコミュニケーションを取っていたので、みんなから絶対に信頼されていたと思うし、頼りにされていたと思うので、そういうところは石田さんを見習ったりしていきたい」と口にする。

 ただし、キャプテン就任を報告された際に先輩から「『オマエならできるから頑張れ』と。石田さんとは違う形の『碧規らしいキャプテンになれよ』と言われました」という平良は、アドバイスされたことを受け止め、真似るだけでなく“自分らしさ”を出して行く意気込みだ。
 
 その“自分らしさ”が「誰でもできそうな、でも頑張らなければできないというところ」で誰よりも自分が頑張ること。中学時代はSHで高校1年時はSB、そして昨年からFWを務める平良は持ち前のスピードを活かして前線で誰よりもハードワークし、得点を奪う部分でチームを引っ張っていく。

 昨年までは先輩や同級生について行くばかりで、学年リーダーもCB小笠原広将(新3年)に任せる形だった。その消極的な姿勢をコーチ陣に指摘されて「やらなきゃいけないな、というスイッチにはなりました」。そこから意識を変え、迎えた高校ラストイヤー。選手間によるキャプテン、副キャプテンの総投票数は小笠原とほぼ同数だったというが、最終的に経験値や人間性の部分をコーチ陣から期待されて平良がキャプテンに就任することになった。責任を持ってその期待に応えなければならないと考えている。

 柔和な口調で決意を口にする新キャプテン。その平良に対してチームメートはよく協力してくれているという。チームは「第26回船橋招待U-18サッカー大会」(千葉)で2位に入り、プレミアリーグ開幕へ向けて好結果を残したが、市船の最上級生に相応しいピッチ内外を過ごしている2、3年生はまだわずか。副キャプテンの小笠原や昨年からの主力で日本一への強い思いを持つDF針谷奎人(新3年)、MF坪谷至祐(新3年)らと一緒になって仲間たちを巻き込み、変化させ、勝つチームの土台を固めていく。そして、名門の主将はチームとともに成長し、貪欲に勝つことを求めて全国8強だった先輩超え、日本一を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)

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