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復活近し。鮮烈2発の名古屋U-18MF豊田晃大は相手にとって「“ウザい選手”に」

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矢板中央高戦の後半、名古屋グランパスU-18のMF豊田晃大が右足ミドルでゴール

 “復活近し”を印象づけるような2発だった。名古屋グランパスU-18のMF豊田晃大(新3年=名古屋グランパスU-15出身)が、「第26回船橋招待U-18サッカー大会」最終日(28日)の矢板中央高(栃木)戦でFWとして先発し、先制点とミドル弾による2ゴール。「自分自身、怪我が連続して8か月、9か月くらい試合に関わることができていなかったので、復帰できてこの大会に出られたことをまず嬉しく思っています」と喜びを噛みしめる男が、凄みのあるプレーを見せた。

 豊田は1年時のプレミアリーグWESTで全18試合に出場し、名古屋U-18の初優勝に貢献。同年の名古屋U-18は日本クラブユース選手権とJユースカップで優勝しているが、豊田はいずれも先発として決勝のピッチに立って日本一を成し遂げている。

 ボランチ、FWなど複数のポジションでハイレベルのパフォーマンスをできることが強み。U-15、U-16、U-17日本代表を経験し、代表チームでもリーダーシップを発揮するなど世代を引っ張ってきたプレーヤーの一人だが、昨年は怪我に苦しんだ。

 船橋招待ではウズウズしていた気持ちをピッチで表現するかのように声を出し、走った。矢板中央戦では、「チームとしての攻撃の形を自分が入ることによって、何倍にも、何十倍にも広げられるということが、自分がFWとしてやっている特長」を表現するようにポジションチェンジを狙いながら、フィニッシャーとしての実力も発揮。5-0の快勝をもたらした。

 復帰直後で、本人の中で理想とする状態にはまだ近づけていないようだ。「抜け出したあとに決め切る部分だったり、止める・蹴るの質だったり、運ぶ状況とか場面場面によってプレーを変えなければいけないところで、自分が臨機応変に対応できていないので、常に考えてプレーしていきたい」と語る。

 昨年一年間、強度の高いトレーニングを積み上げることができなかった。だからこそ、急ぎすぎるのではなく、まずは日常から。古賀聡監督は「怪我をせずに強度の高いトレーニングを一日一日積み重ねられれば、彼の本来持っている能力、パフォーマンスが発揮される時期が来るのではないか」と口にする。

 豊田が目指すのは、相手にとって“ウザい”選手だ。「自分のモットーとしては、上手い選手や強い選手はいると思うんですけれども、自分は“ウザい選手”になりたくて、タイミング図って背後だったり、(ボランチの脇を突いたり)相手にとって嫌がられるプレーを常に考えてやっている」。声やプレーでチームの勢いを後押しし、また仲間が苦しい時に前を向かせる特別なメンタリティー、キャラクターの持ち主。より人間的にも成長し、相手にとって“ウザい選手”になる。

 新シーズンは目標とするトップチームのFW柿谷曜一朗と同じ背番号8。「運良く8番を背負わせてもらっているので、恥じないプレーをしていきたい。一昨年、大舞台を経験したことを活かして、常に先頭に立って声を張りながら、声を張るだけでなくて姿で示さなければいけない。強いチームになるためにも、一昨年に追いつくのではなくて、追い越して、全部優勝出来たら良いなと思っています」。まずは一日一日積み重ねること。そして、「8」が声で、背中で、名古屋U-18を引っ張る。

(取材・文 吉田太郎)

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