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[MOM3427]清水ユースGK福井レオナルド明(3年)_ファインセーブ連発の守護神は、「広い心」でゴールマウスに立つ

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清水エスパルスユースに勝利を呼び込んだGK福井レオナルド明

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.18 プレミアリーグEAST第3節 流通経済大柏高 1-2 清水ユース 流経柏G]

 何度も、何度も、押し寄せる波のように繰り出されるシュートをことごとく防いでは、大声でチームメイトを鼓舞してみせる。「押し込まれてもマインドを広く持って、シュートがどこに来てもいいように“広い心”で、想定外をなくした上で自分が全部止めるだけかなと思いました」。清水エスパルスユース(静岡)の守護神。GK福井レオナルド明(3年=清水エスパルスジュニアユース出身)が持つ“広い心”が相手を包み込み、チームに勝ち点3をもたらした。

 開始36秒で打たれたシュートを皮切りに、序盤から流通経済大柏高(千葉)の勢いが止まらない。2分。12分。13分。13分。19分。21分。飲水タイムまでに7本の枠内シュート。これを福井は「今日は相手も上手いので、とにかく止めなきゃいけないと思っていました」と語ったように、とにかく止めまくる。

 圧巻は21分の一連。飛び出しかけたルーズボールを相手にさらわれ、後ろに下げたボールからシュートを打たれるも、瞬時に間合いを詰めて両手で弾き出す。「自分はスピードと瞬発力はある方なので、あそこはちゃんと自分の良さを出せたかなと思います」とは言うものの、押し込まれる展開の中で集中力を研ぎ澄まし、あのファインセーブを見せるのは簡単ではない。

 1-1の局面で迎えた後半19分の決定的なピンチも、左からのクロスに足を運んで、正面でビッグセーブ。「『守る所はオレがちゃんと守るよ』というのをフォワードに見せないと、点を獲ってくれないかなと。そこは練習からいつも言っていることなので、集中してできました」。この好守が結果的に、5分後の決勝ゴールに繋がった。

 福井には自身の成長に欠かせない存在がいる。GKの中島惇希(3年)。ここまでユースでの2年間をともにしている、同い年の友人で、ライバルだ。

「毎週練習は火曜日からなんですけど、彼は火曜日から精度が高くて、僕にないものを全部持っていて、そこがやっぱり自分の緊張感を高めるというのもそうですし、彼のことも自分は認めています。もし自分がケガをしても、惇希には安心して任せられるので、自分は全部の力を出すだけですし、そういう仲だと思っているので、大きい存在ですね」。

 思い出すのは3年前。清水ユースには梅田透吾(ファジアーノ岡山)と天野友心(同志社大)という、2人の3年生のキーパーがいた。性格も正反対なら、キーパーとしてのスタイルも対照的だったが、不思議と仲良し。結果的に梅田がトップチームへの昇格を果たし、天野は大学へと進学したものの、今でもお互いがお互いを意識していることは言うまでもない。

「あの人たちは仲が良かったので、『そういうのっていいな』という想いは自分の中でありましたね。僕たちも性格は真逆です。自分は騒ぐ方の明るいタイプで、惇希は冷静な方で几帳面な感じですね(笑)」。その構図だと福井=天野、中島=梅田が当てはまる。こういう系譜が引き継がれていくのを知ることができるのも、ユースを継続的に見ていく上での面白さだ。

 ピッチに入る前に、胸の前で十字を切る姿が印象的。ブラジル国籍の両親からも、言い聞かされていることがある。「『考えるのは自分のことだけじゃないよ』と。『他の人にちゃんと感謝の心を持ちなさいよ』といつも言われています」。その教えがゴールキーパーに必要な“広い心”に繋がっていることも、見逃せない。

「今シーズンの目標はプレミアで初優勝することで、個人の目標はトップに上がることです」。圧倒的な存在感と、強靭なメンタルと。ゴールマウスに立つ福井には、明るい笑顔がよく似合う。

(取材・文 土屋雅史)
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