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嚙み締めたキャプテン初勝利。大宮U18MF高橋愛翔は”谷口大晟と三門雄大のハイブリッド”版へ

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大宮アルディージャU18のキャプテン、MF高橋愛翔

[4.24 プレミアリーグEAST第4節 大宮U18 1-0 FC東京U-18 埼スタ第3]

 勝てないチームの中で、抱えていたプレッシャーの大きさは計り知れない。それゆえに嬉しさと安堵感の入り混じった笑顔が試合後、静かに咲いた。「全然勝てていなかったんですけど、結果に一喜一憂しないで、みんな前向きにトレーニングもやってくれていたから、それが今日の勝利にも繋がったと思います」。大宮アルディージャU18を束ねるキャプテン。MF高橋愛翔(3年=大宮アルディージャジュニアユース出身)はようやく手にした白星を、大切に噛み締めた。

 開幕戦は4失点を喫しての完敗。ここ2試合はともに1点差で競り負け、3試合を終えてリーグで唯一の勝ち点ゼロという現実を突き付けられていた大宮U18。キャプテンを託されている高橋の心中は察するに余りあるが、次の試合は否応なしにやってくる。第4節はFC東京U-18。去年のクラブユース選手権準決勝で敗れた相手でもあり、そのリベンジも含めていつも以上に負けられない状況がのしかかる。

「まずはチームとして今日は守備の所で無失点にこだわっていて、そこからまず1本刺せればという所を意識していました」と高橋。相手にボールを持たれ、動かされる中でも、ドイスボランチを組むMF阿部来誠(2年)と連携を取りつつ、相手の縦へと仕掛けるパスコースを消しながら、攻撃では一刺しのタイミングを計り続けると、後半開始早々の2分にFKから、DF大井勇人(3年)が見事なヘディングで先制弾をゲット。セットプレーから今シーズン初めてリードを奪う。

 以降もほとんど決定的なピンチを迎えることなく、ゲームをコントロール。「この何試合か先制点を獲ることができなかったので、その1点がまず獲れたのが大きくて、それからは自分たちの良さが生きましたし、凄くみんなハードワークしてくれて、チームで守備がしっかりできたので、こういう結果に繋がったかなと思います」。キャプテンとしてようやく勝ち獲った勝利の味は、思った以上に格別だった。

 目標は去年まで一緒にプレーしていた“先輩”だ。「去年の谷口(大晟)キャプテンはプレーで引っ張ってくれましたし、一緒に試合に出る時は『思い切ってプレーしろ』って毎回言ってくれて、その谷口くんのプレーを真似しながら、もっと自分の良さを出せればいいかなと思っています。背番号は監督とかコーチに決められたんですけど(笑)、『たぶん6番だな』って思っていたので、凄く光栄ですね」。6番でキャプテンは、谷口大晟(順天堂大)とまったく同じ。この状況を意気に感じないはずがない。

 さらに、トップチームで活躍するボランチも強く意識しているという。「三門(雄大)選手は目立つプレーヤーじゃないですけど、凄くチームの軸になっていて、守備の所からリズムを作ったり、時には前に出ていったりしていて、そういうふうにバランスを取れる選手というのは凄いなと。チームの勝利のために献身的に走ったり、ボールを回収したりするのが三門選手は凄く上手ですし、自分もドリブルとかが目立つ選手じゃないので、そこを真似しながらやっています」。

 目指すは谷口大晟と三門雄大のハイブリッド。スペシャルなリーダーシップを有する2人の“先輩”へ少しでも近付くため、高橋は高校最後の1年を、ジュニアから過ごしてきたこのチームのために捧げ切る。

(取材・文 土屋雅史)
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