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[関東大会予選]変わるきっかけとなった「0-9」。取り組み表現の日体大柏が雪辱勝利で関東切符獲得!:千葉

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前半16分、MF寺村啓志(20番)のゴールを喜ぶ日体大柏高の選手たち

[5.5 関東高校大会千葉県予選準決勝 専修大松戸高 0-1 日体大柏高]

 日体大柏が関東へ――。5日、2021年度関東高校サッカー大会千葉県予選準決勝が行われ、日体大柏高が1-0で専修大松戸高に勝利。3年ぶりの関東大会出場を決めた。

 4月の県1部リーグ戦での対戦は、9-0で専大松戸が大勝。千葉制覇、日本一を目指す日体大柏にとっては、ショッキングな敗戦となった。屈辱の敗戦から1か月も間を開けずに迎えたリベンジマッチ。ただし、思いの強さだけで臨んだ戦いではなかった。日体大柏は地に足をつけて、前回の課題に取り組んできたことを表現。雪辱勝利を果たした。

 この日の千葉県は風速10mにも及ぶ強風。専大松戸の10番MF内田龍馬(3年)が強風を活かしたCKでゴールを脅かすシーンがあったものの、互いになかなかボールを落ち着かせることができず、ゴール前までボールを運ぶことができない。

 だが、日体大柏は前半16分、MF小村晃太(3年)を起点に左WB中村駿輝(2年)がロングクロス。これをファーサイドの右WB寺村啓志(2年)がジャンプヘッドで合わせる。元柏DFの根引謙介監督が「(前回の課題となった部分の一つで)狙ったような形で得点できた」と喜ぶ一撃で日体大柏がリードを奪った。

 日体大柏は28分、FW村杉潮音(3年)が大きく蹴り出したボールに自ら追いついてクロス。会場を沸かせた村杉とFW櫻井勇斗(3年)の2トップのハードワークが光っていた。根引監督が「相手も嫌がっていた」と頷く2人をはじめとしたプレッシングによって、専大松戸の特長である技術力と創造性を十分に出させない。

 専大松戸は、相手の厳しいチェックの中でもMF藤本飛龍主将(3年)が一際落ち着いた動きで相手を剥がして前進。また、キレのあるドリブルを繰り出す内田やMF南撤汰(2年)、力強いFW石津皓太(3年)をはじめとした選手たちがテクニカルな崩しにチャンレンジする。前半37分には右サイドからのコンビネーションでフリーとなった石津が決定的な右足シュート。だが、相手守備陣に阻まれて同点に追いつくことができない。

 後半は専大松戸が細かな繋ぎで日体大柏を押し込む。だが、日体大柏は相手のパスコース、ドリブルコースを限定してJ注目DF土屋巧(3年)や1年生DF神野匠斗(1年)がインターセプト。ヘディングでも強さを示す彼らを中心にコンパクトで堅い守備を継続する。逆にサイド攻撃から追加点のチャンスも作った。

 専大松戸の野村太祐監督は「(専大松戸は)テクニックでゴールを生み出そうというのがテーマ。伸び伸びやりたかったけれど、ちょっと硬かった」。前回の9-0が逆に重圧となったか、ゴールへ向かう部分も不足。相手の強度が高い中でもかいくぐってチャンスを作るチームが、この日はその数を十分に増やすことができなかった。

 日体大柏は攻撃面での持ち味を十分に出せなかったものの、集中力の高い守備を継続する。そして、リベンジを果たした日体大柏の選手たちは大喜び。「変わった」チームが全員で勝ち取った関東切符だった。

 根引監督はリーグ戦での大敗を前向きに捉えていた。「サッカーはされるがままだったら得点が入ってしまうスポーツ。サッカーの怖さを学びました」と説明し、「(選手たちは)目の色を変えて取り組むようになった。チームが変わるには良いきっかけになりました」と加えた。

 また、土屋は「本当に悔しくて、そこからみんな切り替えて、凄い良いトレーニングできている」と語る。そして、ベクトルを自分たちに向けてやるべきことを表現して掴んだ白星を喜んだ。

 その一方、「もっと高い部分をチーム全体で目指しているので、専松強いですけれども楽に勝っていけるようにならないといけない」と指摘。目標は激戦区・千葉、全国を勝ち抜くチームだ。大敗で「変わった」チームはこの勝利に満足すること無く、より上を目指して切磋琢磨する。


(取材・文 吉田太郎)

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