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[MOM3449]実践学園DF長友星澄(3年)_輝いた“右サイドバックの長友”は、左からの決勝ゴールで東京制覇に貢献!

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実践学園高の右SB長友星澄(4番)は、左サイドから決勝ゴール!

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.5 関東高校大会東京都予選決勝 國學院久我山高 0-1 実践学園高]

 その瞬間。右サイドバックは、持ち場とは逆のサイドからシュートを放つ。「実践はカウンターで点を獲るのがスタイルなので、自分でカウンターの意識から一気に走って、追い越してっていう感じでした」。ポジションに囚われないアグレッシブな姿勢が生んだ決勝ゴール。実践学園高の右SB長友星澄(3年=FC多摩出身)が、“左サイド”で大きな仕事を果たした。

 東京制覇を懸けて臨んだ國學院久我山高との決勝。ここまで4試合連続完封勝利と鉄壁の守備を誇っていた実践学園は、前半10分にとうとう今大会の初失点を喫する。FKからのオウンゴール。「相手のキッカーが2人いて、1人がフェイントした時に僕がマークを外してしまって、その選手に触られてからのオウンゴールだったので、『やってしまったな』という感じでした」。長友は失点の責任を背負い込む。

 しかし、挽回のチャンスは後半に訪れる。開始早々に同点に追い付き、チームも一気に勢い付いた6分。カウンターのチャンスに長友は躊躇なくドリブルスタート。右サイドからグングンと中央に切れ込むと、そのまま左サイドバックのDF雨宮竜也(3年)へ展開する。実は雨宮とはFC多摩からのチームメイト。プレースタイルは熟知している。

「折り返しが来るって信じて待っていました」。そのまま左サイドで雨宮からの折り返しを受けると、マーカーを巧みに外しながら左足でフィニッシュ。「そんなに左足に自信はなくて、コロコロだったんですけど、良いコースに入って良かったです」と自ら笑ったシュートは、右スミのゴールネットへ到達する。

「前半に自分のマークのミスで失点してしまって、取り返さなきゃいけないなという気持ちがあった」という右サイドバックが、左サイドから左足で奪った勝ち越し弾。常識では測れない長友の積極的な一撃は、そのまま決勝点に。チームメイトと誓った都内の一冠目を手繰り寄せる大事な役割を、ゴールという形で担ってみせた。

「ボテボテのシュートでしたけど、彼のマジメに上下動して、フォア・ザ・チームで走ってくれる所が、こういう公式戦の決勝で結果として出たというのは、日頃一生懸命やっていることの成果かなと思います」と長友を評した深町監督は続けて、「今日は相手のマッチアップがドリブラーの10番で、あそこが今日のキーポイントになると思ったので、互角以上に守れたのは良かったと思いますね」と守備面でも高評価。攻守に渡る貢献度を認めていた。

 もともとはフォワードでプレーしており、サイドバックになったのは中学校3年生から。「自分はそんなに守備が得意だとは思っていないので、カウンターの時に攻撃参加して、枚数を増やして、点を獲るのに関われればなというプレースタイルを目指しています」と自身を分析している。どうしても“長友”と聞くと、日本代表の左サイドバックを想起してしまうが、「名字も同じなので『左サイドバックをやらないの?』とか周りに言われますけど、左足はそんなに得意じゃないので、右で頑張っています(笑)」と浮かべた笑顔が微笑ましい。

 星澄とかいて『しょうと』と読む名前には、もちろん両親の大事な願いが込められている。「星のように澄んだ人になってほしいという由来だと、親に聞いたことがあります」。この日、優勝に大きく貢献した“一番星”は、これからもキラキラと輝き続けるために、右サイドバックでさらなる成長を誓う。

(取材・文 土屋雅史)

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