beacon

[関東大会予選]「もっと足掻かなければいけなかった」昨年から変化。明秀日立がまず関東切符獲得:茨城

このエントリーをはてなブックマークに追加

明秀日立高が関東大会出場を決めた

[5.8 関東高校大会茨城県予選準決勝 水戸商高 0-3 明秀日立高]

 茨城全冠、全国で通用するチームへ。2021年度関東高校サッカー大会茨城県予選準決勝が8日に行われ、明秀日立高水戸商高に3-0で勝利。決勝進出と関東大会出場を決めた。

 17年度選手権8強、18年度インターハイ16強など近年全国でも活躍してきている明秀日立だが昨秋、選手権予選の連覇が3でストップ。萬場努監督は「シビアに受け止められたというか、もっと貪欲に成長しようともう一回気付かされました」と振り返る。コロナ禍でも成長を求め、トライもしていたが、勝ち続けてきたことでわずかに生まれてしまっていた「出れるかもしれない」「何とかなるのでは」という緩み。「もっと足掻かなければいけなかったというのは、凄く反省しました」と指揮官は振り返る。

 今年は春の遠征で良い状態が続いていたという。だが、4月のリーグ戦で常総学院高に1-2の敗戦。萬場監督が「もう一回原点に戻らないと、というところから、(気持ちの部分を含めて)かなり変わってきた」チームはこの日、負けたくないという気持ちが強くなり過ぎてやや消極的な戦いとなっていたものの、それでも勝利への執着心を見せて関東切符を勝ち取った。

 対戦した水戸商は19年度大会の優勝校。MF小笠原誠人主将(3年)を欠いていたものの、明秀日立にクロスまで持ち込まれても気持ちの強い海老根寿音(2年)と大塚脩斗(3年)の両CBやGK本田清良(3年)が対応し、中盤ではゲーム主将のMF速水紀之(3年)が戦う姿勢を見せて攻守に奮闘する。

 徐々に落ち着いてボールを動かせるようになった水戸商は、10番FW新田篤人(2年)やMF高村凌介(3年)の仕掛けでゴール前に入り込もうとするが、明秀日立はCB長谷川皓哉(3年)らが対人の強さを発揮。その長谷川とCB木村海斗(3年)が的確なカバーリングを見せるなど、194cmの「大器」GK谷口璃成(3年)の守るゴールに相手を近づけない。

 そして、「(相手の前に潜り込むプレーや)ファイトできるのでセカンドボールの回収とかチームをプレーで鼓舞できるようにしたい」というMF中沢駿斗主将(3年)が味方を鼓舞しながら試合を進める明秀日立は、少ないチャンスを得点に結びつける。前半アディショナルタイム、10番MF山田翔遥(3年)からのパスを受けたFW根本琳生(3年)が振り向きざまの左足シュートを決めて先制。1-0で前半を折り返した。

 後半、強度のある守備からワイドへボールを動かす明秀日立が攻勢に出るが、水戸商も譲らない。終盤へ向けてオープンな展開となり、水戸商もチャンスを作る中、次の1点を奪ったのは明秀日立の方だった。36分、右サイドのMF本橋雅人(2年)とのパス交換から根本がファーサイドのゴールネットにファインショットを突き刺して2-0。前掛かりになった水戸商の背後を突いた明秀日立はその後もMFアウン・カリム(3年)のしなやかなドリブルなどからビッグチャンスを作り出す。

 そして、アディショナルタイム、中沢の展開から本橋が折り返し、最後はアウン・カリムが左足でゴール。まずは関東高校大会出場を決めた。今年は県内全タイトルを獲得し、茨城を抜け出すような存在となって全国へ。中沢は「一戦必勝でしっかりと目の前の試合を戦って、自分たちがチャンピオンだという気持ちを持ちながら、相手を常に圧倒できるような、全国大会でも通用できるようなチームを作り上げていきたい」と誓った。まずは11日の決勝で古河一高を下し、1つめのタイトルを獲得する。

(取材・文 吉田太郎)

TOP