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東京Vユースが0-2からの圧巻5発で山梨学院撃破!プリンス関東連覇へ、勝ち続ける

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後半30分、東京ヴェルディユースはU-18日本代表候補CB原圭佑(右)が勝ち越しゴール

[6.27 高円宮杯プリンスリーグ関東第7節 山梨学院高 2-5 東京Vユース 山梨学院和戸G]

“ヴェルディらしい”崩しとセットプレーで逆転勝ち――。27日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 関東第7節で山梨学院高(山梨)と東京ヴェルディユース(東京)が対戦し、東京Vユースが5-2で逆転勝ちした。

 昨年のプリンスリーグ関東優勝チームが、2点ビハインドから豪快に試合をひっくり返した。今季の序盤戦、東京Vユースはスタメン候補の半数以上を怪我で欠く試合もあり、開幕3連敗を喫するなど1勝3敗。この試合の2日前にもU-17日本代表候補MF西谷亮主将(3年)が再負傷し、欠場した。

 なかなかメンバーが揃わない状況だが、主軸不在の期間に下級生たちが経験を積みながら奮戦。中後雅喜監督も「経験重ねて逞しくなってきていますし、(怪我が続いても)マイナスばかりではないです。試合を経験することで得るものが多い。(個人、チームとして)成長しているかなと思います」と認めていたように、この日は台頭中の1、2年生や主力組の活躍もあって見事な勝利を収めた。

 前半、東京Vユースは西谷に代わってアンカーに入った158cmMF小高大知(2年)や中央に絞ってボールに絡む左SB大下崚太(3年)、右SB青木瑠星(3年)を中心にビルドアップ。12分にはU-18日本代表候補FW根本鼓太郎(3年)がターンしながら右足を振り抜き、14分にもすでにJデビューを果たしているU-17日本代表候補MF橋本陸斗(1年)のカットインシュートが左ポストを叩く。

 だが、前半は無得点。中央での縦パスを一瞬躊躇してしまったことでタイミングが遅れ、山梨学院のMF谷口航大主将(3年)やMF石川隼大(3年)にインターセプトされてしまう。山梨学院はボールを奪うと、すかさず仕掛けてサイドへ展開。右のMF崎山亮(3年)が縦突破からCKやロングスローの機会を獲得し、ゴール前のシーンに繋げた。

 山梨学院は前半、スピードに乗ったドリブルを連発する橋本、FW尾又雅仁(3年)の相手両翼の仕掛けを再三受けていたが、右SB溝口慶人(3年)と左SB小川玲(3年)が健闘。SHとの連係した守りで決定機を作らせない。また、東京VユースFW根本のコースを突いた左足ミドルをGK吉久隆宏(3年)が横っ飛びでセーブするなど、0-0の時間を伸ばす。

 迎えた前半44分、山梨学院が先制する。崎山の右クロスのこぼれを繋ぎ、左中間のFW茂木秀人イファイン(3年)がダイレクトで右足シュート。強烈な一撃を逆サイドのゴールネットに突き刺し、1-0で前半を折り返した。

 山梨学院はさらに後半10分、敵陣でボールを奪うと、中央でパスを受けた谷口が左前方の茂木へ繋ぐ。そして、茂木が強引に右足を振り抜くと、ボールはDFに当たってゴールへ吸い込まれた。涙のインターハイ予選出場辞退から2週間。切り替えてこの試合を目指してきたチームが思いも込めて戦い、好勝負を演じた。

 だが、山梨学院は2点目の直後、サイドの攻防で健闘していた崎山が足を攣らせて交代。一方、U-18日本代表候補CB原圭佑(3年)が「リーグが始まって、怪我人も増えてしまっていたんですけれども、(その間に)粘り強く戦うことの大切さというか、そういうところを学んで、出すことができた」というように、東京Vユースがここから強さを示す。まずは15分、根本が中央を攻略し、そのスルーパスからFW新鉄兵(3年)が1点を返す。すると、試合の流れは一気に東京Vユースへ傾いた。

 東京Vユースはスライドが遅れだした山梨学院の隙を突く形で縦パスの本数を増加。根本や新、MF江口逢寿(2年)が前向きにプレーする回数を増やす。また、山梨学院・長谷川大監督が「前半は(崎山と東京VユースFW橋本の攻防で)五分に行けていたけれど、崎山がいなくなってから14番(橋本)に差し込まれた」と残念がったように、東京Vユースはサイドの攻防で差をつけ、セットプレーを獲得する。

 そして、根本という有能なプレースキッカーも擁する東京Vユースが2本のCKで試合をひっくり返す。19分、根本の右CKをニアの尾又が頭で合わせて同点。30分にも根本の右CKを中央の原が頭で叩き込んで逆転した。

 山梨学院は3点目を目指して前に出るが、東京Vユースは試合を通して安定したキャッチングを見せていたGK磐井稜真(1年)や原、CB佐藤陽輝(2年)を中心にシュートを打たせない。逆に36分、東京Vユースは新の折り返しから根本が右足シュートをゴールへ突き刺すと、40分にも大下の縦パスから交代出場FW瀬川サーシャ(3年)がループシュートを決めた。特に後半半ば以降は余裕のあるパスワークで相手を翻弄。東京Vユースが攻め勝ち、2連勝を飾った。

 東京Vユースの中後監督は「崩しのところで非常に良い崩しができたし、自分たちが目指すようなところができたと思います」。連敗中も内容が悪かった訳ではない。それでも「今日みたいなひっくり返すメンタルが無かった」(中後監督)ところからの変化も示す勝利だった。

 指揮官から「7月の中断までの4試合は大事だぞ」の声がけがあった中、まずは1勝。根本は「自分たちは全国優勝とプリンスリーグ優勝というのを目標に掲げてやっているので、(クラブユース選手権で)全国優勝して、そのまま波に乗って全部勝っていって、2連覇したいですね」と意気込んだ。台頭する下級生に加え、怪我人が戻ってくればよりチームの層も厚くなる。目標の2連覇、そしてプレミアリーグ復帰へ。まずは目の前の一戦一戦で“ヴェルディらしく”攻め勝ち、順位を一つずつ上げていく。

(取材・文 吉田太郎)
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