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川崎内定のドリブラーは「究極のサッカー小僧」。興國MF永長鷹虎が秘める無限の伸びしろ

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興國高のサッカー小僧、MF永長鷹虎

[7.4 高円宮杯プリンスリーグ関西第8節 履正社 2-1 興國 J-GREEN堺]

 そのプレーを見れば、上手いのは一目でわかる。だが、それ以上に伝わってくるのは、とにかく好きで好きでたまらないという、ピュアな初期衝動のようなサッカーに対する想いの強さ。「究極のサッカー小僧ですね。世界のどこに行っても友達を作ってしまえるヤツ。ボール1つあったら上手さを見せれるんで、友達を作れる技術とキャラクターがアイツの魅力です」という内野智章監督の言葉にもうなずける。タレントの集う興國高(大阪)の中でも、とびきりのサッカー小僧。MF永長鷹虎(3年=リガールJPC出身)は、いつでもボールとともに生きている。

 履正社高と対峙したこの日も、開始1分から持ったら仕掛ける。「一番初めに仕掛けたら、自分にマークが集まって、周りもフリーになれますし、そこで相手が来たらサイドバックが空くというのもあるから、まずは仕掛けて、自分の形に持っていくことはいつも考えています」。縦に、中にと、変幻自在。ドリブルでの突破に挑み続ける。

 17分。鋭いドリブルからPKをゲット。「今日は結構いつもよりも縦に突破していたので、相手も縦を警戒してきたことで中が生きて、狙い通りやったと思います」。巧妙な駆け引きも能力の1つ。自ら務めたキックも確実に成功。ピッチに“永長ショー”の雰囲気も漂い出す。

 だが、前半の内に追い付かれたチームが、後半に入るとリズムが低下するのに伴って、徐々に永長自身も持ち味を生かし切れない展開に。「先制点を獲った後にやられるというのが最近ずっと続いていて、後半の入りも悪くて点を取られたので、そこは修正していかないとダメなのかなと思います」。結果は1-2で逆転負け。悔しさを滲ませる姿にも、よりサッカー小僧の本質が見え隠れした。

 内野監督は昨年のエースであり、現在は横浜F・マリノスでプレーする樺山諒乃介を引き合いに出しつつ、永長への期待をこう口にする。「樺山は自分のワンプレーで劣勢を引っ繰り返すことができる選手やったし、周りを巻き込めるヤツやったので、永長には『オマエはドリブルとかテクニックはハッキリ言って樺山より上や』と。『けど、樺山から興國のすべての“10番”をもらえなかったのは、オマエがまだチームメイトを巻き込むことができひんからやと思うで』と」。

「アイツも今日のゲームを同点に持っていって、引っ繰り返す、もしくは2-1、3-1に持っていける選手にならないと。結局は全部成長のための材料なので、フロンターレに行く選手であれば、それを受け止めて、自分でゲームを決められる選手になっていかなあかんと。でも、本当に純粋なヤツやから伸びしろしかないです。まったく調子に乗っていないし、天狗の“て”の字もないですよ」。

 目の前のボールと向き合いつつ、フロンターレでのプレーに馳せる想いも、本人ははっきりと口にする。「フロンターレはあまり左利きがいなくて、『カットインできて、スピードのある選手が欲しい』と言ってもらえたので、自分でも自信がある所を評価してもらえて、嬉しかったですね。日本ではずば抜けているチームですし、興國はプレースタイルが近い所もあって、『フロンターレでやりたい』という気持ちもありました」。

「そんな簡単に行かんというのはわかっているんですけど、練習をやるだけで絶対にうまくなるので、家長選手だったり、三笘選手の姿を見て、自分の力にしたいなと思いますね。自分が持っていないものを全部持っている選手たちなので、そこを見て、自分のものにできていったらなと思います。楽しみですね」。謙虚に、大胆に。自分の成長がチームの成長に直結することを信じ、真摯に力を積み上げていく。

 “鷹虎”という勇壮な名前の由来を聞くと、意外な答えが返ってきた。「僕は4人兄弟の4番目で、1つ上のお兄ちゃんが“景虎”という名前なんです。それはお父さんが歴史好きで、上杉謙信の名前から取ったみたいなんですけど、1人だけじゃなくて僕にも“虎”って付けたかったらしくて。それで、お父さんが野球を好きだったから、僕が生まれた年もクライマックスシリーズで鷹(ホークス)と虎(タイガース)が試合をしていて、そんな感じで付けたみたいです。お兄ちゃんも全員サッカーをやっていましたし、小さい頃からボールを蹴るのが好きだったので、野球をやれとは言われなかったですけど(笑)」。

 自分をプロ入りするまでに成長させてくれた興國に対する想いは強い。ゆえに、ここからの半年でチームに残していきたいものも、しっかりと意識している。「興國は注目されていますし、プロも何人も出ていますけど、タイトルらしいタイトルはまだ獲れていないですし、インターハイ予選もギリギリで負けてしまったので、自分たちの代でプレミアへ昇格させたいですし、選手権でも全国に出たいなという気持ちはあります」。

 この男がボールを持つと、何かが起きる。永長鷹虎。印象的な名前とともに、彼が歩んでいくサッカーキャリアに、これからもさらなる注目が集まることは疑いようがない。

(取材・文 土屋雅史)
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