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[MOM3518]町田ユースMF義澤将太郎(3年)_得意の左足でファインゴール。ゼルビアの“10番”が描く未来予想図

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FC町田ゼルビアユースの10番、MF義澤将太郎

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.18 高円宮杯東京1部リーグ第7節 町田ユース 2-0 駒澤大高 小野路G]

 左足1本で局面を打開していく姿は、いわゆる“10番”像とぴったり符合する。自身もその番号には強いこだわりを持っているようだ。「小学校から10番を付けさせてもらってきて、高校でも付けさせてもらっているので、その責任は感じますね。やっぱり10番と言えば“点取り屋”だったり、“チームの司令塔”みたいな感じのイメージはあるので、そうなれるように意識しています」。FC町田ゼルビアユースのナンバー10。MF義澤将太郎(3年=FC町田ゼルビアジュニアユース出身)は、その左足でチームと自分の未来を切り拓く。

「自分の特徴は相手の裏を突くスルーパスだと思っています。あと、相手の逆を突くプレーですね。左足しか使えないので(笑)」という言葉にも思わず納得してしまうが、ひとたび痩身のレフティの左足にボールが入れば、ピッチの中へ違いを確実にもたらしていく。

「自分たちは仕掛けるところは仕掛けるところ、仕掛けない時は仕掛けないと、しっかりメリハリを付けるみたいな感じでやっていて、今日はそれができていたので、ボールも良い感じに回っていたと思います」。この日も4-1-4-1のインサイドハーフに入り、横に並んだFW栗原元康(3年)とはお互いにキャラクターの異なるプレーを生かして、攻撃にアクセントを作っていく。

 1-0とリードして迎えた後半31分。その左足が輝きを放つ。左サイドをMF斎藤真之介(3年)が得意のドリブルで切り裂き、中央のMF樋口堅(3年)へ。「将太郎がパスを出せる選手だから、シュートも打てるという状況にできるかなと思って」というキャプテンの樋口は、自らシュートを打たずに優しく横へ流す。

「あのペナの辺りではシュートを狙っていて、良い感じにボールが来たので、あとは練習通りに決められました。綺麗でしたね」。義澤が左足で丁寧に打ち込んだシュートは、左スミのゴールネットへ鮮やかに吸い込まれていく。まさに10番の仕事、完遂。守備面でも今季初の完封勝利を飾るなど、手応えのある勝ち点3を獲得した中で、義澤の果たした役割は間違いなく重要なものだった。

 ジュニアユース時代からゼルビアでプレー。チームメイトの中にも6年間を共にしてきた選手が多い中で、ユースの雰囲気をこう語る。「中学までは自分たちでやる意識も結構強くて、それに雰囲気が左右されたこともあったんですけど、ユースになってからはタケさん(竹中穣監督)も熱血系なので、そういうところで引き締まって良い練習ができているなと思います」。

「ユースになって、みんながお互いにいろいろ言うようになりましたし、ダメなところは言い合って、逆に良いところはちゃんと褒めるようになって、それを1年から3年までできるように、自分たちも意識しています」。今年はアカデミーで過ごす最後の1年。愛着のあるチームだけに、この仲間とさらなる成長を遂げたいという想いも強い。

 だが、あれだけ左足にこだわりを見せているにもかかわらず、参考にしている選手を尋ねると、少し意外な答えが返ってきた。「最近は川崎フロンターレでプレーしていた田中碧選手です。守備から攻撃に切り替わった時のパスとか、凄いなと思っています」。理由を聞けば納得。インサイドハーフというポジションにとっても、攻守の切り替えは必要な要素。ドイツに渡る俊英を仰ぎ見つつ、採り入れられるところは貪欲に吸収していく。

 自分で捉えている課題も明確だ。「キープ力ですね。たまに足先だけのプレーになっちゃうので、しっかり身体を使えるようにはなりたいです」。その課題を乗り越えた先に、進んで行きたい方向もハッキリと見据えている。「将来はJ1や海外のチームでプレーできるような選手にはなりたいです。自信は、あります」。

 ゼルビアユースのナンバー10から、日本の、世界のナンバー10へ。義澤が描く未来予想図には大きな希望が詰まっている。

(取材・文 土屋雅史)

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