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[MOM3546]鳥栖U-18DF安藤寿岐(3年)_経験わずかのボランチで主将が攻守に存在感

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サガン鳥栖U-18DF安藤寿岐は攻守に渡って存在感のある動き

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.11 2021 Balcom BMW CUP最終日 鳥栖U-18 3-1 広島県高校選抜U-18 広島一球]

「HiFA平和記念 2021 Balcom BMW CUP 広島ユースサッカー」のサガン鳥栖U-18は、9日に行われたトップチームのFC東京戦に出場したDF中野伸哉(3年)とMF福井太智(2年)が不在。攻守の鍵を握るMF坂井駿也(2年)もU-17日本代表の一員としてプレーした。普段はスタメンでの出場が少ない選手にとって、アピールの舞台としての意味合いが強い中、気を吐いたのが主将のDF安藤寿岐(3年)だった。

 コーチングと粘り強い対人守備を武器にCBやSBとしてプレーする選手が、今大会では坂井不在の穴を埋めるため、「中学時代に1回か2回やった程度」というボランチとしてプレー。普段とは違い、360度からプレッシャーを受ける難しい状況ながらも、着実に最終ラインからのボールを味方へと繋ぎ、攻撃のリズムを作っていく。

 前日の広島ユース戦後に「一個後ろに味方がいるということで頼もしさがあったので、思い切って球際で行ったり、背中で引っ張ろうと思っていた」と話していたが、この日も本業である守備でアグレッシブな姿勢を見せて、チームに勢いを加えていた。

 急造ボランチとは思えないプレーを見せる中、前半終了間際の40+1分には本職顔負けの攻撃的なプレーも飛び出した。MF鬼木健太(2年)の左クロスをFW大里皇馬(2年)が競り合い、こぼれたボールに素早く安藤が反応。「打つ前にコースが見えたので、あそこに蹴り込もうと思った」と左足ダイレクトで合わせたボールが勢いよくゴールネットに突き刺さった。

 後半は守備の奪いどころが決まらず、前からプレスをかけられなくなったチームを立て直すべく懸命に声を出し続けた。1失点したものの、「自分がキャプテンなので声でも背中でも、苦しい時間こそ自分が見せていかなければいけない」と話す安藤の存在は大きく、苦しみながら逃げ切れる要因を担ったのは間違いない。

 主力不在の穴を補って埋める程の存在感からは、主将としての強い想いを感じる一方で、安藤は別の気持ちも抱えている。「(中野)伸哉や(福井)太智がトップチームに行って活躍しているのを見ると悔しい。それに、(二田)理央は海外に行ったのに、自分がいるのはまだ足りないということ。ここで違いを見せられたら、トップチームにも呼ばれると思うので、自分のプレーを一つひとつ見直して、もっと高いレベルでプレーしていきたい」。

 安藤自身も今年は2種登録され、ルヴァンカップの2試合でベンチ入りを果たしたが、出場機会は得られなかった。球際の強さやコーチングはプロの世界でも通用する自信を得たが、プレースピードや技術の精度が不足していると実感している。「トップチームの選手は1個1個のプレーに拘りを持ってプレーしているので、自分もユースの中でそれ以上に拘ってやっていきたい」と話す通り、U-18で他との違いを見せ続け、チャンスを待ち続ける。気持ちの感じるプレーで、観る人の心を動かす選手であるため、彼がプロの世界に立つ日を待ち遠しく思う人は少なくないはずだ。

(取材・文 森田将義)

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