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[MOM3575]東久留米総合MF萩原草汰(2年)_芽生えた主力の自覚。2年生ボランチの今季初ゴールが勝利を引き寄せる

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東久留米総合高のボランチを担うMF萩原草汰

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.5 高円宮杯東京2部リーグ第9節 東久留米総合高 2-0 東京朝鮮高]

 もう先輩の背中に付いていくだけの自分ではいられないと、確かな自覚も芽生えてきた。これだけ多くの部員がいるチームで、試合に出ることの意味を噛み締め、その上で周囲に力を認めてもらう必要性も同時に感じている。

「もうそろそろ選手権が始まって、それが終わったら自分たちの代が始まりますし、今までずっと3年生が引っ張ってくれている形だったので、ここからは覚悟を決めて、自分でも引っ張ろうという意識は持っています」。東久留米総合高のボランチを任されたバランサー。MF萩原草汰(2年=クリアージュFC出身)はチームを牽引していく覚悟を、いよいよ整えつつある。

 東京朝鮮高をホームに迎えたT2(東京都2部)リーグ第9節。前半の東久留米総合はなかなか主導権を奪えず、苦しい時間が続く。「とりあえずボールを落ち着かせることは考えていた中で、前半はセーフティにやろうという話はしていたので、繋ぎたかったですけど、そこは割り切ってやっていました」という萩原は、時折自らも前にドリブルで運ぶシーンも作りながら、まずは全体をコントロールすることに腐心する。

 少しずつリズムの出てきた後半18分。千載一遇の先制機がやってくる。右サイドで細かく崩した流れから、中央で要求したタイミングでボールは来なかったものの、そのままエリア付近にとどまると、MF岡田壮太(3年)がヒールで残したボールは、空高く舞い上がる。

「高いボールだったので、強いシュートは無理だなと思って、ファーに山なりのボールを打とうと思ったら、思った以上にうまく行きましたね。自分の目線だと軌道も綺麗に見えました。あまり実感が湧かなくて、気付いたら入っていました(笑)」。フワリと浮かせたヘディングはGKの頭上を越えると、ゴールネットへ吸い込まれる。

 実はこれが自身にとって、Aチームで記録した公式戦初得点。「今日は勝てば前期は1位か2位で終われるという試合で、2年生のみんなとも『来季はT1に上がりたい』と言っている中で、本当に『チームみんなのために決めたい』とは思っていたので、自然とみんなの方に行っちゃったんじゃないですかね」。ゴールを決めると、そのままベンチへダッシュ。“みんな”とゴールの歓喜を分かち合った。

 27分にも追加点のチャンスがあった。カウンターからここも岡田のパスを左で受けると、エリア外から狙ったシュートはDFに当たり、GKにキャッチされてしまう。「最近はミドルシュートの練習をしているんです。右側に巻いて入れるみたいな。昨日も30分くらい蹴って、その形でやってやろうかなと思ったら、ブロックされました。強いて言うなら相手を見たかったですね。巻くシュートの練習をしていたので蹴ったんですけど、切り返しても良かったかなと思っています」。ゴールへの意欲は、ここ最近で強く意識している部分だという。

 中学時代はクリアージュFCでプレー。1つ上の先輩に当たる青森山田高のDF丸山大和(3年)から、この夏は大きな刺激を受けた。「凄かったですね。インターハイの決勝も見ていたんですけど、超カッコ良かったです。ユニフォーム脱いじゃって(笑)。中学の時からキャプテンシーも凄かったですし、中学最後の試合の関東代表決定戦も、センターバックなのに2点決めたんです。もちろんあそこに行くまでが難しい道のりというのは知っているんですけど、行けるところまでは全力で活躍していきたいなとは思っています」。

 もちろん2年前の先輩たちの雄姿も、脳裏に焼き付いている。「自分は準決勝の関東一戦を西が丘で見ていたんですけど、あの決勝ゴールの時に鳥肌が立って『カッコいいな』と思いましたね。印象にメチャクチャ残っています」。あの時に見た空色のユニフォームを今度は自分が纏い、彼らに肩を並べ、超えていくための準備を、ここからさらに積み重ねていく。

「練習でもいつも声を出しているのも、引っ張ってくれるのも3年生なので、本当に自分たちの代が近いんだということを実感して、覚悟を持って練習していきたいなと思っています。チーム全体で選手権は全国ベスト8を目標にやっているので、その目標は何が何でも達成したいです」。

 2年生だからとか、レギュラーになったばかりだとか、そんなことは関係ない。このチームで、もっと上へ。萩原のプレーに宿る覚悟に要注目だ。

(取材・文 土屋雅史)

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