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[東京都2部L]新たな取り組みと伝統の継承と。修徳は東海大高輪台との上位対決に2-0で快勝!

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東海大高輪台高修徳高の上位対決は修徳に軍配!

[9.12 高円宮杯東京2部リーグ第9節 東海大高輪台高 0-2 修徳高]

 キャプテンを務めるDF木野将太郎(3年)が口にした、熱い想いが印象深い。「修徳も今は古豪と呼ばれていますけど、『強い修徳を取り戻したい』というか、『強い修徳が帰ってきたな』というような想いをいろいろな人に感じてもらいたいですし、最後にしっかり爪痕を残せるように、チームとしてももう1つ、2つぐらい大きくなって、選手権で全国大会に行ければなと思います」。

 強い修徳、再び。12日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2021東京2部リーグ(T2リーグ)第9節で東海大高輪台高修徳高が対峙した一戦は、DF富樫匠(1年)とMF福田大翔(3年)の2ゴールで修徳が上位対決を2-0で制し、リーグ前半戦を首位で折り返している。

 先制点はセットプレーから。前半9分。修徳が右サイドで獲得したCK。キッカーの福田は、5分前に蹴った1本目のCKのイメージが、頭の中に残っていた。「1本目はニアに突っ込む選手に合わせるつもりで蹴ったんですけど、ちょっと遠くに行っちゃったので、2本目で合わせるところを変えました」。ニアではなく、ファーに蹴ったボールを1年生の左SB富樫がヘディングでゴールへ流し込む。プレースキッカーの高い修正能力が呼び込んだ一撃。修徳が先にスコアを動かした。

「今年は守備のチームだなと思って始めたけど、毎試合失点しているんですよね」と川島純一監督も話した東海大高輪台は、前半のうちにベンチスタートだったキャプテンのDF谷地田拓未(3年)をピッチへ送り込み、攻守のギアアップを画策。21分にはDF伊豆川泰生(3年)が蹴った左CKから、FW佐藤大地(3年)が叩いたシュートはクロスバーにヒット。惜しいシーンを作り出す。

 38分にも左サイドでスムーズなアタック。左SBの中枝武斗(3年)がオーバーラップを敢行し、2度のワンツーからFW毛利拓夢(2年)のシュートは枠を越えるも、「左サイドは中枝が結構行き出すと、ウチも形になってくるなと。右には佐藤大地がいて、去年は横山(歩夢)もあそこだったけど、もう“行ってこい系”にしているので、右と左では特徴は去年と違っているかな」と指揮官も言及。同点への可能性は漂わせつつ、前半は修徳が1点をリードしてハーフタイムに入る。

 後半も立ち上がりは東海大高輪台ペース。ただ、2分に佐藤が枠へ収めた決定的なシュートは修徳GK細川柊飛(2年)がファインセーブで回避し、3分に左サイドをFW菅原功太(1年)が突破し、折り返しに合わせた佐藤のシュートはヒットせず。ゴールが遠い。

 一方の修徳は「相手に好きなことをやらせない守備と、自分たちが主導権を握る攻撃を、チームとして目指しています」と吉田拓也監督が話したように、DF櫻田恭哉(3年)とDF永井大輝(3年)で組んだセンターバックからボールを動かしつつ、ドイスボランチの福田とMF木村アリヤァン(3年)も長短のパスの出し入れで攻撃を構築。7分には左サイドをMF森田響(3年)が単騎で崩してクロスを上げ切り、飛び込んだFW田島慎之佑(1年)にはわずかに合わなかったものの、左の森田に右のMF西山遼海(2年)と、左右のサイドハーフも鋭い攻撃を披露する。

 すると、30分には絶好の追加点機。FW大畑道喜(3年)がエリア内で仕掛けると、マーカーともつれて転倒。笛を吹いた主審はペナルティスポットを指し示す。PKのキッカーは福田。「最近の紅白戦でPKを外していたので、練習してきていて、キッカーは森田か僕なんですけど、今日は『自分で蹴りたい』と言いました」という8番は、左スミギリギリにキックを成功させる。2-0。福田はこれで1ゴール1アシスト。点差が広がった。

 1点ずつ返したい東海大高輪台も「自分たちがやりたいことはなかなかできなかったかなと思います」と話すMF佐藤将(1年)やMF柳本華弥(2年)と中盤のアタッカーを中心に反撃を試みるも、40分と44分に果敢な攻撃参加から中枝が打ち切ったミドルも得点には繋がらず、聞こえたタイムアップのホイッスル。「相手も自分たちも負けられない戦いだったので、そこで先制点を決めたのが大きくて、そのあとの試合運びが凄く楽になったと思います」と木野も語った修徳がシビアな上位対決に競り勝ち、リーグ首位に立つ貴重な勝ち点3を積み上げた。

「シチュエーション的に、勝ったらウチが首位を決められますし、相手もウチに勝ったら2位以内になるので、ちょっとタイトルが懸かっているような、勝ち負けに価値のあるようなゲームだったので、勝ちにこだわったゲームをしました」とは修徳を率いる吉田監督。選手たちのモチベーションの高さもピッチから強く感じられる90分間で、きっちり勝ち切ったことは大きな成果だったと言って良さそうだ。

 今シーズンからチームを率いている指揮官は、改めて修徳で目指しているサッカーをこう語っている。「たぶんどこのチームもそういうサッカーを目指していると思うんですけど、後ろもあるし、前もあるし、サイドもあるし、中央もあるしという、何でもできるようなサッカーができればとは思っていて、特にポゼッションにこだわっているというのもないので、逆にパワープレーをする時もあります。今日は結果としては勝ちましたけど、まだまだ至らない点はある中で、こういうことをリーグでやれるのは楽しいですし、本当にいろいろな細かいことがまだまだできないので、選手権にはなるべく良い状態で臨めればと思います」。

 ある意味でスタイルレスな、どんな状況にも対応できるような幅のある戦い方に、選手たちも意欲的に取り組んでいる様子。そこにもともとあった彼らの一体感や戦う姿勢が、少しずつ良い形でマッチしているようだ。

 とりわけこの2年間で、コロナ禍という想定外の時間を共有し、乗り越えてきた3年生の結束は固い。「新チームになった時は毎日のように、練習が終わった夜に3年生のみんなでオンラインで話したりしていて、そこでチームとしての輪が広まったというか、自分たちの意見をBチームも含めて共有したのが良かったかなというイメージはありますし、『自分が3年生だ』という自覚を1人1人がみんな持っているので、そこは良い感じになってきていると思います」(木野)。

 新たな取り組みのスタートと、積み上げられた伝統の継承と。古豪からの脱却へ。2021年の修徳は、サッカーに必要なさまざまな要素をポジティブに取り込みながら、復権への道のりを着実に歩み出している。

(取材・文 土屋雅史)

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