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[MOM3589]市立船橋MF郡司璃来(1年)_期待の1年生アタッカーが目指すのは「“市船の郡司”と言えば璃来」

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市立船橋高を最前線で牽引する1年生アタッカー、MF郡司璃来

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.3 プレミアリーグEAST第10節 市立船橋高 1-1 FC東京U-18 タカスポ]

 笑顔で話す姿は16歳の少年そのものだが、ひとたびピッチに入ると逞しさすら漂わせながら、チームを最前線で牽引する姿が頼もしい。名門でレギュラーを張ることの意味も、確実に自分の中でパワーに変え始めている。

「最初は全然自信もなくて、『まだ慣れてないなあ』と自分でも思っていたんですけど、試合に出ているうちにどんどん慣れてきて、手応えを感じ始めてきたので、結構最初よりは自信が付きました」。底知れない素材感はさらなる伸びしろ十分。市立船橋高(千葉)の新ストライカー、MF郡司璃来(1年=JSC CHIBA出身)がとにかく面白い。

 まず、ボールが収まる。チームのセンターバックを務めるDF小笠原広将(3年)が「味方が近くにいなくても1つボールを落ち着かせて、1人でも基点を作ってというのは、凄く大きいですね」と言及するように、巧みな身体の使い方とボールコントロールで、味方からのパスをきっちりと攻撃に繋げていく。

 そして、裏に抜けられる。「抜け出しは結構得意ですし、抜けてからのドリブルが得意です。動き出しはもう1人のフォワードと“表”と“裏”を作って、もう1人が“表”に行くんだったら自分は“裏”に走るみたいに、連動して動いています」。この日はMF坪谷至祐(3年)とうまく入れ替わりながら、得意な裏のスペースを狙い続ける。

 その狙いが結実したのは前半43分。中央でボールを持ったボランチのMF北川礁(2年)は、「相手のディフェンスラインも牽制していたので、ドリブルで運んで、最終的に空いた郡司を見て蹴りました」と前線へフィード。走った郡司はトラップした時点で寄せてきたマーカーとGKに挟まれる格好になったが、次の瞬間にボールはゴールネットへフワリと収まる。

「トラップした時に自分が思っていた以上にボールが前に行っちゃって、相手が入ってきたんですけど、キーパーが出てきたのが見えたので、最後に足を伸ばそうと思って、伸ばした結果がああなって入りました」。チームにとって今季初勝利となったプレミアEAST第5節の横浜F・マリノスユース(神奈川)戦と似たようなシーンに、「あの時のイメージもありました」という1年生が、チームに先制点をもたらした。

 実は、ロングスローも投げられる。とりわけ押し込んでいた後半は何回かその“隠し技”も披露。本人は「何で投げられるのかはわからないです。練習はしていないんですよ(笑)。身体能力も少しはあるとは思いますけど」と首をかしげるものの、コーナーキックやフリーキックも任される姿は、藤田直之(セレッソ大阪)や岩上祐三(ザスパクサツ群馬)のような“セットプレーヤー”の素養も十分に感じさせる。

 4日から始まるU-16日本代表候補合宿にも初招集。「代表は驚きました。今までは県選抜ぐらいだったので、正直まだ来るとは思わなかったです。実感はメッチャしますよ。みんなにもかなり言われます(笑)」と言いながらも、この日のパフォーマンスを見ても納得感が。同世代の高いレベルを経験することで、得たものをチームに還元したいという考えも持ち合わせている。

 16年度のインターハイで、1年生ながら5得点をマークし、市立船橋の全国制覇に大きく貢献したFW郡司篤也(現・阪南大)を兄に持つが、本人は「お兄ちゃんはライバルですけど、自分は自分なりに頑張っていきたいです」ときっぱり。『“市船の郡司”と言えば璃来』というイメージを轟かせるべく、ここからの飛躍にも想いを馳せている。

 インターハイでは県予選準々決勝で敗退したため、冬の全国出場にはもちろん闘志を燃やしている。「まず今年は千葉県を優勝して全国も狙っていきたいんですけど、ケガしないように、ずっとスタメンを維持できるように、この3年間頑張ってプロを目指していきたいと思います。全国1位を狙っていきたいですし、やっぱり市船の中で得点王になりたいです」。

兄弟がそれぞれの場所で切磋琢磨し合うのは、理想的な関係。『“市船の郡司”と言えば璃来』。周囲のイメージを塗り替えていくことも、今のパフォーマンスを続けていくのならば、そう遠い日の話ではないかもしれない。

(取材・文 土屋雅史)
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