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[MOM3591]青森山田MF田澤夢積(3年)_とにかく攻守に効いているキーマンは、ここから新たな夢を積み上げる

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台頭著しい青森山田高MF田澤夢積

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.10 プレミアリーグEAST第14節 大宮U18 0-1 青森山田高 所沢航空記念公園運動場(人工芝)]

 自陣でプレスバックに奔走していたかと思えば、もう相手ゴール前に全速力で突っ込んでいる。その運動量は驚異的。だが、本人は涼しい顔でピッチを駆け続けている。「山田は守備からと言われているので、最初は守備を意識して、そこからのカウンターで上がっていって、ゴールに繋げていければいいかなと考えています。球際の強度だったり、そういうところは意識しているんですけど、まだまだ足りないので、もっと上げていかないといけないなと思っています」。

 インターハイ王者に輝いた青森山田高(青森)が誇る左サイドのキーマン。MF田澤夢積(3年=青森山田中出身)が、とにかく効いている。

 公式戦はインターハイの決勝以来で1か月半ぶり。リーグ戦に至っては3か月ぶりという状況の中で、アウェイに乗り込んだ大宮アルディージャU18(埼玉)戦。この日も青森山田のスタメンリストには田澤の名前が書きこまれる。

「インターハイでも点を獲ったり、アシストしたりもできていたので、そういうところも自信に繋がって、どんどんシュートを打っていこうという意識は上がったと思います」と自ら振り返ったように、夏の全国では3ゴール3アシストを記録。準々決勝の東山高(京都)戦では2点を叩き込むなど、日本一に大きく貢献した。

 久々のリーグ戦。序盤は少し相手にチャンスを作られる中で、前半14分にはMF松木玖生(3年)が右から上げたクロスに、ファーサイドへダッシュ。頭で当てたボールはクロスバーを越えたものの、1つチャンスに関わると、その瞬間はやってくる。

 33分。ゴール前でのスムーズなパスワークから、右サイドのMF藤森颯太(3年)が外へ。回ったFW名須川真光(3年)の折り返しに、16番が絶妙のポジショニングで飛び込む。「良いボールをくれて、面に当ててゴールに流し込めれば入ると思ったので、しっかり当てられて良かったです」。丁寧に流し込んだボールはゴールネットを揺らす。これがこの試合で生まれた唯一のゴール。1-0で勝ち切ったチームの中で、田澤の得点感覚が貴重な勝ち点3をチームにもたらした。

 とはいえ、本人にこれで満足する気配は微塵もない。後半にはヘディングがクロスバーを直撃したシーンを踏まえ、「自分はまだまだ全然です。今日ももう1本決められるところがあったので、そういうところもしっかり決められるようになりたいです。チームが勝てればいいですし、その中で自分のゴールがあればいいかなと思います」とのこと。青森山田が掲げている『1本中の1本』というスローガンを自身に刻み込み、貪欲にゴールを狙い続けていく。

 参考にしている選手はアトレティコ・マドリーのFWアントワーヌ・グリーズマン。同じレフティの選手として、自身のプレーを世界的なストライカーに重ねている。また、最近は「筋トレだったり、個人トレーニングも多かったので、『ブレない軸を作りたいな』と思って、体幹のトレーニングも採り入れていました」と明かしたように、さらなる進化へ余念がない。

 ここからはチームで掲げている大目標を達成するための日々が続いていく。「僕らが目指しているのが三冠ということで、相当難しいとは思うんですけど、やっぱり目指している以上は獲りたいので、何としても獲れるように、個人の能力のアップというのももっとやっていきたいと思います」。描いてきた“大きな夢”を、自らの力で手繰り寄せてみせる。

 攻守に戦えるハードワーカー。いちいち効いている田澤の存在は、三冠を目指す青森山田にとっても、いまや絶対に欠かすことができない重要なピースだ。

(取材・文 土屋雅史)
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