beacon

左SB中井陸人主将「凄く良い経験に」。作陽は全国2位の強度とスピード感を体感し、手応えも得て選手権予選へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

作陽高の左SB中井陸人主将は後半に攻め上がりの回数を増やした

[10.9 高円宮杯プリンスリーグ中国第15節 米子北高 2-1 作陽高 ドラパーク米子球技場]

 追撃届かず敗れたものの、作陽高(岡山)の酒井貴政監督と左SB中井陸人主将(3年=SAGAWA SHIGA出身)は試合後、選手権予選前に全国2位・米子北高(鳥取)の強度、スピード感を体感できたことを前向きに捉えていた。

 酒井監督は「全国大会に出るチームはああいう強度でやってくるし、ちゃんとそれを剥がせないと上には上がっていけないよねという。攣る選手も多かったですし、このくらいの強度をやらないといけないよ、と一つの基準の設定になったと思います」とコメントした。

 前半は、相手の強烈なプレッシングと切り替えの速さの前に押し込まれる展開。中井は、「練習では想定してやっていたんですけれども、プレスの迫力は全国レベルで、こういうチームが優勝したり上に上がっていくんやろうなと思いました」と振り返る。

 徐々にそのスピード感に慣れ、CB山本修也(3年)やMF西田達哉(3年)が自陣の深い位置からのビルドアップにチャレンジ。相手の背後を取ってシュートへ結びつけるシーンもあったが、一方で受け手のポジショニングや動き出しの狙いを徹底できずにロストが増えてしまった。

 ただし、0-1の後半は修正に成功。FW西村颯人(3年)やFW池田陽多(3年)が相手の背後を取る回数を増やしたほか、相手のプレスを回避しながらボールを繋ぎ、中央、サイドからの細かな崩しでゴールに迫った。加えて、後半は左SB中井も攻め上がりの回数を増加。小柄な技巧派MF田口智士(2年)がゴール前に潜り込み、決定機に絡んでいた。

 攻守の要、西村と山本がいずれも負傷交代するアクシデント。同点のチャンスを逸し、逆に突き放される展開となった。攻め続けた終盤。交代出場のMF井芹凌成(3年)のドリブルもアクセントに反撃し、終了間際に同じく交代出場のFW大田知輝(3年)のゴールで1点差としたが、反撃はここまでだった。

 中井は「来週から選手権は岡山も始まるので、その前に米北さんとやれたのは一つ、モチベーションになるし、そこは凄く良い経験になりました」と頷く。そして「後半、自分たちが持つ回数が増えてきてからは、自分が上がってえぐったりして、その回数を増やしてチャンスを増やせている。もっと前半から出していって、アシストとか自分がゴールを決めるというところで貢献していきたい。(チームとしては)まず岡山県取って、全国に出て、また米子北さんと上でできる機会があればやりたいですし、まずは全国に行くというところで気合を入れてやっていきたい」と誓った。

 酒井監督が10番を背負っていた06年度選手権で全国2位。名門・作陽の選手たちは、必ず予選を突破し、全国上位で勝負しなければならないという責任感を持っている。インターハイ予選は決勝で敗戦。酒井監督は「(その後、チャンスの)回数を増やすのと、ちゃんと点を取り切るところを上げていかないといけない、とやってきました。押し込める引き出しは増えましたが、個人の技術のところで最後グッと上げていかないといけないところがある」。伸びしろのある選手たちとともに、選手権予選後も成長できるように、まずは全国へ。この日、全国2位と好ゲームを演じた作陽が、この経験も力に、インターハイ8強の岡山学芸館高や玉野光南高、就実高というプリンスリーグ中国勢をはじめ、難敵揃う岡山予選を勝ち抜く。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2021
●高円宮杯プリンスリーグ2021特集

TOP