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トップ昇格内定の清水ユースDF菊地脩太は「すべてを守れる選手」への道を一歩ずつ前へ進む

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清水エスパルスユースDF菊地脩太が気合のクリア!

[11.21 プレミアリーグEAST第16節 青森山田高 0-2 清水ユース 青森山田高G]

 タイムアップの瞬間。跪きながら、両手で力強いガッツポーズを作って、吠える。

「試合が終わった時は正直覚えていないぐらいの感情でしたけど、本当に周りを見たらみんながガッツポーズをしていて、喜んでいる選手もいて、『本当に全部出し切ったんだな』って思いました」。

 清水エスパルスユースの守備陣を束ねるディフェンスリーダー。DF菊地脩太(3年=清水エスパルスジュニアユース出身)は押し寄せる充実感の中で、みんなで手繰り寄せた勝利を噛み締めていた。

「本当にこの試合で負けてしまったら後がないという状況だったので、こっちが1個上の順位に立つために、この試合は絶対に大事でした」(菊地)。この日の試合は、まさに天下分け目のビッグマッチ。勝ち点31で並ぶ首位・青森山田高(青森)とアウェイで対峙する一戦だ。

 相手には一緒にプレーしたばかりの“仲間”がいた。18日まで行われていたU-18日本代表候補合宿へ、チームメイトのFW千葉寛汰(3年)と参加していた菊地は、青森山田のMF宇野禅斗(3年)、MF藤森颯太(3年)と同じ時間を共有する。目前に控えた大一番を、お互いが意識しないはずがない。

「数日前ぐらいまでずっと一緒にやっていたので、向こうでもこの試合についてバチバチはしていないですけど(笑)、あっちが『絶対勝つぞ』みたいに言ってきたので、『こっちも負けないよ』みたいな話はしていて、そこで気合が入っていたところはありました」。昨日の友は、今日の敵。仲良くなったからこそ、絶対に負けたくない想いが、沸々と湧き上がる。

 前半はホームチームの勢いが鋭い。「球際の部分は山田のみんなが強いことは分かっていたので、そこをより意識しながら、『自分たちのボールにしよう』というのは考えていました」と菊地。相手の圧力を受け止めつつ、ボランチのMF鈴木奎吾(3年)、センターバックを組むDF田端琉聖(3年)とともに、しっかりボールを動かして時間を作る。

 清水ユースが先制すると、追い込まれた青森山田の攻撃は一層迫力を増していく。ただ、菊地を軸に据えたオレンジの集中力は途切れない。「ロングスローの場合だと、直接頭で入れられるということはあまりないので、セカンドボールの回収だったり、本当に1人1人がマークに対しての責任を持ってやれていたのかなと思いますし、自分たちも競り勝てない時間帯もありましたけど、センターバックとサイドバックで協力してカバーすることは徹底できていたので、そこは良かったかなと思います」。

 ファイナルスコアは2-0。青森山田にとっては今シーズンの公式戦で初めての無得点。「点を獲った時のみんなの喜び方を見れば分かってもらえると思うんですけど、あのぐらいの気合が入っていた試合でした。でも、この試合だけではなく、次節もその次の試合も。全部このテンションでできるようにしたいと思います」。勝利を喜びつつ、すぐさま視線を次に向けるメンタルも頼もしい。

 来季からのトップチーム昇格が内定しているが、その状況でプレーすることの難しさも実感しているという。「自分の中では周囲からの見られ方の部分で、最近は『プレーが上手く行かないことが多いな』と思っていますし、指示の声だったり、カバーの部分で自分を出せるように、これからやらないといけない部分は多いなと思っています。周りから見たら『コイツがプロになるのか』というふうに思われると思うので、より責任を感じるようにはなりました」。プロサッカー選手になるという責任の重さを実感しながら、さらなる成長を誓っている。

 到達すべきプレーヤー像も明確だ。「もちろん1対1の部分はしっかりやりながら、自分は『ポジショニングでピンチを作らないようにしたい』と考えていて、サイドバックのカバーも含めて、すべてを守れる選手になりたいなと思っています」。

 クレバーさとパッションを持ち合わせた現代型のセンターバック。『すべてを守れる選手』への道を、菊地はスクール時代から14年間をともにしてきたエスパルスで、これからも一歩ずつ前に進んでいく。

(取材・文 土屋雅史)
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