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磨いてきた「右」でゴール。同じ左利きの“キング超え”挑戦のMF大迫塁は攻撃も、守備でもトッププレーヤーへ

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後半22分、。U-17日本高校選抜MF大迫塁(神村学園高2年)が右足でゴール

[11.26 Jヴィレッジドリームカップ U-17日本高校選抜 3-0 横浜FCユース Jヴィレッジ]

 攻撃も、守備も、どちらもトップレベルの選手へ進化してきている。U-17日本高校選抜MF大迫塁(神村学園高2年=神村学園中出身)は2-0の後半22分、PAでMF阪田澪哉(東山高2年)からの折り返しを呼び寄せると、ファーストタッチでシュートコースを作り出して右足一閃。3-0とし、白星を決定づけた。

 直前にはドリブルで持ち込んでからの左足シュートがファーポスト直撃。「その前のシーンくらいでポストに当てていたので、決めなければヤバいなと。あそこでダイレもあったんですけれども、落ち着いてトラップしてから右足までの流れというのは良かったと思います」。誰にも負けない自信を持つ「左」に加え、どちらも打てるように意識して磨いてきたという「右」。以前であれば、「変な感じになっていた」という逆足のシュートをこの日はしっかりと決め切った。

「(右足で)あそこのコースに打ち切れたのはいつもの練習の成果だと思います。高校年代で一番評価もらえるのは点数を決めれる選手だと思っている。(神村学園の福田)師王とか(青森山田の松木)玖生くんとか(評価されているのは)点数を取れる選手なので、自分もそこをやっていかないといけない。(得意とする)ゲームメークとかはプロ行ってからでもできると思うんですけれども、攻撃のクオリティは今からチャレンジしていかなければいけないと思っている。2年生になってからそこは意識しました」。

 インターハイではランキング6位タイの3得点。プリンスリーグ九州では盟友・FW福田師王(神村学園高2年)に次ぐ8得点で2位タイ、アシスト数は11で首位に立っている。自分が決めることでマークが厳しくなるが、その分、他の選手がフリーに。そうすれば演出する側に回れば良い。できることが明らかに増えたことでよりチームの力に、また対戦相手の脅威になっている。

 この日は前半21分に右足ダイレクトで左オープンスペースへミドルパスを通し、先制点の起点に。また、テンポの速いパスで攻撃のリズムを作った。この2日間、本人はボールを運んだ際に2、3人目のところでロストしてしまっていることを反省していたが、それでも判断の速さ、U-17日本高校選抜のチームメートも驚く技術の高さで差を示している。

 加えて、守備への切り替えは誰よりも速いと言えるほど。「高校の年代では攻守どっちも高いレベルでしないといけないと思っていますし、チームの中でも中心的な選手になっているので、そういうところで自分がチームで一番ハードワークすればチームも『もっとやるぞ』という気持ちになると思うので意識しています」。大迫がライバルとして意識しているのは、U-22日本代表のレフティー、MF松木玖生(青森山田高3年)。高校サッカーの“キング”とも言える存在は、攻撃、守備全てでトップになることを目指し、インターハイ優勝、同大会得点王に輝いている。

 高校生の間に“松木超え”を果たすには選手権で勝つしか無い。スーパールーキーと騒がれた昨年は「あんまり自分の中で試合でも周りの評価よりも(自分の力は)あんま、まだまだかなと」。だが、1年前の選手権で力を発揮できなかった悔しさも糧に成長してきた現在は「逆に『あ、こんだけなんだ、評価は』。『もっと俺、やれるのにな』くらいな気持ちなので、もっと結果を残していきたい」と誓う。

 選手権では互いに勝ち上がれば準決勝で青森山田と対戦。「松木玖生くんには負けたくないです」と言い切る2年生レフティーは、U-17世代のリーダーとして戦うJヴィレッジドリームカップ含めて目の前の1試合1試合で結果を残し、決戦の時向けて力を積み上げていく。

(取材・文 吉田太郎)
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