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チームが噛み合い、右肩上がりで成長中。愛媛U-18が旭川実下し、プレミア復帰へ前進

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後半45+6分、追加点を喜ぶ愛媛FC U-18イレブン

[12.10 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 愛媛U-18 2-0 旭川実高 バルコム]

 10日、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2021プレーオフの1回戦が広島県内で行われた。バルコムBMW広島総合グラウンドで行われた愛媛FC U-18(四国2/愛媛)と旭川実高(北海道2)の一戦は、前後半に1点ずつ奪った愛媛が2-0で勝利した。

 2年ぶりのプレミアリーグ復帰を狙う愛媛U-18はトップチームのコーチだった北内耕成監督が、今春に就任して以来、ボールを大事にしながら、意図的かつ自分たちから積極的に仕掛けていくサッカーを磨いてきた。この日の試合も序盤から、4-4-2と4-1-4-1のシステムを攻守で使い分け、ピッチを広く使ったサッカーを披露。相手を広げた状態から、中央への縦パスを狙ったが、「意図的ではなく、何となく縦パスが通っていたので、その次が続かなかった」(北内監督)。

 前半12分には自陣左でボールを持ったDF土井嘉人(2年)が逆サイドに大きく展開。受けたMF得居大真(2年)がワンタッチで上手く中に入り、中央のFW行友翔哉(2年)に預け、最後はFW梶原彗汰(3年)がゴール前に飛び出したが、オフサイド。19分にも梶原のパスから、行友がゴール前へ抜け出したが、得点には至らなかった。

「守備に関してはある程度出来たけど、攻撃に関しては緊張していて“何となく”というのが多かったので、次の試合では自分たちの持ち味であるサイドを使って、ポケットのスペースをもっと使っていきたい」とMF伊井涼馬(2年)は口にする。

 1点が遠かった愛媛に歓喜の瞬間が訪れたのは、前半22分。北内監督が「トレーニングからやってきた事が十分発揮出来た」と振り返る通り、伊井の右CKをニアのDF浅井一希(3年)を右足のつま先で合わせ、愛媛が均衡を崩した。

 旭川実は後半開始からテクニックのあるドリブラーFW居林聖悟(3年)を、また同8分には怪我の影響でスタメン出場を回避した大型のFW柏木楓雅(3年)を投入。奪ってから素早く2人にボールを入れながら、DF中村大剛(3年)のロングスローなどリスタートから得点も狙った。前半と比べて、前線にボールが入る機会は増えたが、「FWにボールが入った後に周りの関りが少なく、攻撃の厚みがなかった」(中村)。

「うちはロングボールを入れられるのが凄く苦手なシチュエーションでしたが、よく耐えてくれました。リーグ戦では失点する所もあったけど、(試合を重ねて)状態が上がってきている」。北内監督の言葉通り、愛媛DFの落ち着いた守備対応も光り、1-0のまま試合は動かなかった。旭川実は後半41分、中村のロングフィードから、柏木がゴール前を抜け出したが、シュートは枠の外。反対に45+6分に愛媛U-18は、遠目からのFKを行友が決め、2-0で試合を終えた。

 大阪府から愛媛に来た伊井は、浅井らがプレミアリーグで戦う姿に憧れ、府内の強豪や日本一の経験を持つチームからの誘いを蹴って、愛媛に加入した。「愛媛FCに入った理由はプレミアでやるのが目標だったから。プレミアでプレーすれば、トップチームへの昇格が近付くし、大学からも声を掛けてもらいやすい。そのチャンスが目の前にあるので掴み取りたいし、先輩たちと目標を成し遂げたい。他のチームだったら上下関係が厳しいと思うけど、自分たちは良い関係を築けている。そうした先輩たちと良い想い出を作る意味でも、次も勝ちたい」。プリンスリーグを重ねるごとに下級生と3年生が上手く噛み合うようになり、右肩上がりで成長を続けている。格上と言える静岡学園高(東海1)が相手でも、持ち味を発揮できれば白星も不可能ではないはずだ。

(取材・文 森田将義)
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