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「ラストのプロジェクトを達成したい」。選手権予選敗退後全勝の履正社、1-0で金沢U-18を撃破

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履正社高が1-0で勝利。FW廣野大河がサイドから仕掛ける

[12.10 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 履正社高 1-0 金沢U-18 バルコム]

 10日、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2021プレーオフの1回戦が広島県内で行われた。バルコムBMW広島総合グラウンドで行われた履正社高(関西1/大阪)とツエーゲン金沢U-18(北信越2/石川)のカードは、MF張山拓夢(2年)のゴールを守り切った履正社が勝利した。

 今年は確かな力を持つ履正社だが、インターハイ予選はベスト16で敗退。選手権予選も決勝で阪南大高に敗れて、涙を飲んだ。履正社にとって、残された舞台は今回のプレーオフのみ。「高校サッカーにはインターハイと選手権、プリンス・プレミアという3つのプロジェクトがある。僕らはそのうちインターハイと選手権を落とした。何か最後に残したり、何か最後このメンバーで出来て良かったと思えるためにラストのプロジェクトを達成したい」。FW廣野大河(3年)がそう話す通り、今大会にかける想いは強い。

 ただ、気持ちとは裏腹に、この日は上手く行かない場面が続いた。前半から前からの守備を頑張るものの、ボールを奪いきれない。奪ってもパスが続かず、フィニッシュまで持ち込めない。

 それでも、サイドから攻撃の活路を見出し、前半12分にはミドルゾーンで奪ったMF西村和弘(3年)が左前方に展開。縦を抜け出したFW宮路峻輔(3年)のパスから、MF竹腰智也(3年)がミドルシュートを放ったが、枠の外。16分にはMF森川楓大(3年)のサイドチェンジで右に展開。受けた廣野がDF東尾大空(3年)のオーバーラップを呼び込み、最後は西村が頭で合わせたが、ゴールには至らない。以降は攻めあぐねる時間が続いたが、37分、西村のパスを受けた張山がドリブルからのシュートをポストに当てながら決めて先制した。

 対する金沢U-18は、後方でショートパスを繋ぎながらも、効果的な縦パスが入れられない。トップチーム昇格DF波本頼(3年)のロングフィードや、MF柳村龍慎(2年)とMF松浦魁空(2年)の両翼によるテクニカルなドリブルで見せ場を作ろうとしたが、前半のシュートは2本。主将のFW平川悠人(3年)は「FWの自分は相手が引いて守備を固めた状態だったので、前に入りづらかったけど、シンプルに背後を狙って、何本かチャンスが作れていた。ただ、相手は球際が本当に強くて、前半は獲れそうで獲れない場面が多かった」と振り返った。

 後半に入ってから、履正社は切り札として温存していたMF名願斗哉(2年)を投入。独特の間合いで繰り出すドリブルによってボールが落ち着く時間が増えた。後半6分には、中央を運んだ名願のパスから、左前方へと展開し、宮路が放ったシュートは選手交代による効果を感じた場面だった。また、ハーフタイムに平野直樹監督から、「前半は仕方ない。俺たちは生まれ変わっていくぞ、リボーンだ!」と激を飛ばされた影響もあり、息を吹き返したように思えたが、長くは続かない。

 後半途中からは3バックに変更し、苦境の打破を狙ったが、2点目は生まれない。後半38分には高い位置でボールを奪った名願が左に展開。抜け出した廣野がゴール前にパスを入れたが、中と合わず。結局、1点を守り切る形になった履正社が1-0で勝利した。

 この日の課題を挙げればキリがないが、廣野は前を向いている。「やっぱり勝つと言うのが今日の僕らの目標。どんな内容であれ、次に駒を進めるのが僕らの目標でした。最初の1点をしっかり全員が守り切れたのがチームの良かった部分」。

 選手権予選の決勝で負けた直後は気落ちする選手もいたが、平野監督から「落ち込んでいる暇はない」と声を掛けられたチームは、プリンスリーグの残り5節を全て勝利し、関西王者となった。今回も気落ちしているわけにはいけない。次の讃岐U-18(四国1/香川)戦が、今年最後の舞台となるため、思い切って持てる力を全て出し切れるかが鍵だ。それが出来れば「履正社に最後何か残す物は、プレミアにしっかり上げて来年の履正社に繋げたい」(廣野)という目標も自然と達成できるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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