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静岡学園が13年以来のプレミア復帰!愛媛U-18の強度に苦戦も最後は“静学らしく”攻め続けて3点目

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13年以来となるプレミアリーグ復帰を決めた静岡学園高イレブン

[12.12 高円宮杯プレミアリーグプレーオフCブロック決勝 静岡学園高 3-2(延長)愛媛U-18 バルコム]

 静岡学園が4度目の挑戦でプレミア復帰! 12日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2021 プレーオフ(広島)ブロック決勝が行われた。Cブロックは静岡学園高(東海1/静岡)が延長戦の末、愛媛FC U-18(四国2/愛媛)に3-2で勝利。13年以来となるプレミアリーグ復帰を決めた。

 静岡学園は、過去3度のプレミアリーグ復帰を懸けた戦いで大津高(熊本)や履正社高(大阪)との激闘の末に敗戦。川口修監督は「選手には先輩たちが悔しい思いをしている分、君たちが新しい歴史を作るチャンスだよ、ということでちょっと発破を掛けすぎて……ボクがダメでこういうゲームになった。勝つことにこだわり過ぎて内容が良くなかった」。思いが強すぎた面があったか、後半途中までは静岡学園らしさの少ないゲームに。一発勝負で意識が結果に傾き過ぎた面があった。

 愛媛U-18は10日の初戦(対旭川実高)を2-0で勝利。勝てば19年以来のプレミア復帰が決まるこの日の一戦で、「真っ向勝負しないと絶対に無理かなと。アグレッシブにボールを奪いに行こうと」(北内耕成監督)という戦い方を選択する。序盤からボールサイドに2人、3人と集まり、相手選手に手が届くような距離でのディフェンス。だが、静岡学園は10分、右SB西村湧志(3年)と清水内定右SH川谷凪(3年)のパス交換で右サイドを攻略し、最後は川谷のクロスをFW松永颯汰(3年)が頭で合わせて先制した。

 ファーストチャンスで決めた静岡学園は、13分にも前線の細かなコンビネーションから磐田内定MF古川陽介(3年)がフィニッシュ。だが、相手の強度高い守備に苦戦を強いられた。攻め切る前にボールを失うシーンが散見。一方の愛媛U-18は静岡学園の切り替え速い守備をかい潜ると、MF伊井涼馬(2年)の展開やセットプレーからチャンスも作り出した。

 19分には、右のMF得居大真(2年)がワンツーから左足を振り抜く。静岡学園は北九州内定CB伊東進之輔(3年)が長い足を活かしてギリギリでボールを奪い返したりしていたが、バイタルエリアで前を向かれるシーンが増えていた。決して内容の良い前半ではなかったが、それでも44分、右サイドで松永がインターセプト。川谷がドリブルで仕掛けて中央へ繋ぐと、最後は荒井がDFを外してから左足シュートを決めて2-0とした。

 愛媛U-18は後半立ち上がりも押し込まれたが、ここから連続ゴールで同点に追いつく。8分、自陣からのカウンターで伊井が大きく前進し、左でサポートしたMF行友翔哉(2年)へラストパス。これを行友が左足で決めると、11分には左サイドでの崩しから行友がPKを獲得する。そして、キッカーのFW梶原彗汰(3年)が右足で決めて同点に追いついた。

 静岡学園はいずれも技術力に加えて運動量や守備力を備えたMF小泉龍之介(3年)とMF菊池柊哉(3年)のダブルボランチでスタートしていたが、中盤を活用した攻撃が少なく、縦に速い展開となってしまっていた。また、セカンドボールを相手MF日野壱柊(3年)らに拾われ、1タッチパスなどで背後を狙われる展開に。それでも、16分に投入された徳島内定MF玄理吾(3年)が試合を落ち着かせた。

 玄は意図的に攻撃をスローダウンさせると、プレッシャーに来たDFを1人、2人と外してサイドを変える。玄によってボールを支配する時間を伸ばした静岡学園は、27分に投入されたMF高橋隆大(2年)が仕掛けを連発。「ボールを持てるようになって相手を下げられるようになった」(川口監督)静岡学園に対し、愛媛U-18も強度高い守備を継続し、ゴール前ではトップチーム昇格のGK黒川雷平(3年)中心に踏ん張っていた。

 2-2のまま突入した延長戦、静岡学園は左SB野村海翔(3年)が2本、3本とクロスへ持ち込むもシュートには至らない。逆に前半9分、愛媛U-18は中央から左サイドへ展開し、フリーの左SB新田羽海(1年)が左足シュート。だが、カバーしたCB三宅優翔(3年)とGK生嶋健太郎主将(3年)が必死にストップする。

 静岡学園にとって苦しいゲームだったことは間違いない。それでも、静岡学園らしくボールを保持する時間を増やし、仕掛け続けたことが3点目を引き寄せた。延長後半3分、静岡学園の左クロスがファーサイドの高橋の下へ。迷わず仕掛けた高橋のクロスが相手選手のハンドを誘い、PKとなった。キッカーに立候補した高橋が右足で決めて3-2。愛媛U-18の北内監督は「静学の勝負強さ、経験の差が出ましたね」と悔しがる。良い形の攻撃を増やせなかったことも差に。この後、ボールを保持しながら試合を進めた静岡学園が逃げ切り、難関を越えた。

 静岡学園の川口監督は、プレミアリーグ復帰について、「ここで勝てないと次のステージへ進めないので、もう一個上でということを目標にしていた。ユース年代でああいう強度の中でたくさん試合できるのは素晴らしいこと」。より高い強度、スピード感の中で日常を過ごせることを喜んだ。静岡学園はこの日、セカンドチームもプリンスリーグ東海初昇格。来年はより高いレベルで個を強化できることになった。

 玄は「静学がこれまで3回チャレンジして無理やって『みんなで歴史作ろう』と話していた。後輩たちにはもっと頑張ってプレミアで試合に挑んで欲しいです」とエール。そして、3位に終わったインターハイを除くと静岡3冠、プリンスリーグ東海優勝、プレミアリーグ昇格など勝ち続けてきた世代は、選手権で最後の戦いに臨む。この日悔し涙を流していた選手もいたように、満足感は無い。できなかったことを反省し、少しでも練習で質を高めて選手権初戦を迎える。

(取材・文 吉田太郎)
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