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ライバルの劇的勝利に刺激、前橋育英が5度目の挑戦で悲願のプレミア昇格

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前橋育英高が悲願のプレミアリーグ初昇格

[12.12 高円宮杯プレミアリーグプレーオフDブロック決勝 長崎U-18 0-2 前橋育英高 Eスタ]

 ついに、鬼門を突破した。12日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2021 プレーオフ(広島)Dブロック決勝が行われ、前橋育英高(関東2/群馬)は2-0でV・ファーレン長崎U-18(九州1/長崎)を破って初のプレミアリーグ昇格を決めた。激戦区のプリンスリーグ関東で上位に入り、プレーオフに進出すること5度目。ようやく悲願を達成した。

 試合前には、大きな刺激があった。この試合は、エディオンスタジアムで行われた第2試合。第1試合では、同じ群馬県勢の桐生一高が1-3から3点を奪って4-3で勝つ劇的な勝利を収め、先にプレミアリーグ昇格を決めた。前橋育英の山田監督は「これで、うちが行けなかったら……って、プレッシャーはありましたし、それは、選手にも言いました。お前らもプレッシャーあるだろうと。でも、関係ないよ、目の前の長崎に勝とうと話をしました」と明かした。

 試合は、立ち上がりから前橋育英のペースで進んだ。徳永涼根津元輝の2年生ダブルボランチが相手のパスコースを消してボールを奪うと、左の笠柳翼(3年)、右の小池直矢(2年)、が突破を仕掛けてチャンスを作り出した。

 一方の長崎U-18は、後方でのポゼッションからロングパスでカウンターを狙う展開に終始したが、前半24分には守備から好機を作り出した。右DF小西龍馬(3年)がインターセプトから縦パスでカウンターに移行し、FW七牟禮蒼杜(1年)が前を向いて右に流れながら力強く前進。パスを受けたFW中島聖翔(3年)はシュートを打ち切れなかったが、こぼれ球を七牟禮がシュート。ゴール右に外れたが、際どいチャンスを作り出した。

 しかし、前橋育英のペースは揺るがず、給水タイムを挟んで2分後、長崎に加入内定のMF笠柳が左でボールを持つと、オーバーラップしたDF岩立祥汰(3年)がクロス。ゴール前の混戦からFW渡邊亮平(3年)が右足を振り抜いて先制点を挙げた。

 長崎U-18は、1点を追う展開になったが我慢を続けた。しかし、最終ラインからのビルドアップ時にU-18日本代表MF安部大晴(2年)へのパスコースを切られて縦パスが入らず、次第に相手のプレスに捕まる場面が増えていった。

 ショートカウンターが増えた前橋育英は、前半終了間際に右サイドからクロスを入れると、クリアしきれなかった相手が倒れたところからFW渡辺が振り向きざまの右足シュートをニアサイド上にたたき込んで追加点を挙げた。

 後半も前橋育英ペースだったが、長崎U-18も堅守で対抗。13分に負傷明けのスピードスター池田誉(1年)を前線に投入し、七牟禮とのルーキー2トップに変更。FW中島を右MFに移すと、中島がサイドで起点となってチャンスメーク。17分、中島のキープから縦パスを出し、外を走った小西のクロスに七牟禮が飛び込むなどチャンスも作り出したが得点は奪えなかった。

 後半43分にMF徳永が退場になるアクシデントがありながらも2-0で勝負を押し切った前橋育英は、3週間前に高校選手権の県大会決勝で桐生一に勝って全国大会出場を決めている。主将の桑子流空(3年)は「桐生第一が目の前で大逆転勝利をして、気にせずに目の前の試合を勝とうと思っていましたけど、友だちも多いから率直に嬉しかったし、自分たちもやらなきゃいけないと、良い刺激になりました。選手権の決勝でも戦ったライバル校なので、意識しちゃいました、正直」と打ち明けた。

 試合前には、これまでの参入戦で敗れた先輩たちの映像を見て気合いを入れており「監督をプレミアに連れて行ってあげたいと思ったし、自分たちの代で昇格させて、前橋育英の歴史に名を刻みたいと全員で言っていた」と喜んだ。同じ群馬県勢の桐生一とそろってプレミア昇格を果たし、来季は最高峰のリーグでライバルとしのぎを削る。

(取材・文 平野貴也)
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