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静岡学園が尚志をPK戦で下し、“U-16全国連覇”。「日本一上手くなって」日本一へ、プロへ

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静岡の技巧派軍団、静岡学園高が“U-16全国大会連覇”

[12.20 MIZUNO wintercup U-16ルーキーリーグ決勝 静岡学園高 0-0(PK5-3)尚志高 時之栖うさぎ島G]

「2021 MIZUNO wintercup U-16ルーキーリーグ」決勝が20日に静岡県御殿場市の時之栖うさぎ島グラウンドで開催され、静岡学園高(東海/静岡)が0-0からのPK戦の末、5-3で尚志高(東北/福島)に勝利。参加16校の頂点に立った。なお、大会MVPには静岡学園MF志賀小政が選出されている。

 全国9地域のU-16ルーキーリーグは今年、新型コロナウイルスの影響によってリーグが成立しないまま終了した地域もある。そのため、各リーグ上位校によって争われてきた“U-16日本一決定戦”「MIZUNO CHAMPIONSHIPU-16ルーキーリーグ」は今年度の開催を見送り、代替大会として「MIZUNO wintercup U-16ルーキーリーグ」を実施。昨年の「MIZUNO CHAMPIONSHIPU-16ルーキーリーグ」優勝チームである静岡学園が各地域の代表校相手に強さを示し、“U-16全国連覇”を果たした。

 関東ルーキーリーグ王者の静岡学園と東北ルーキーリーグ王者の尚志によって争われた決勝は前半4分、尚志が左サイドからの崩しで決定機を作り、直後には中盤中央を抜け出した静岡学園MF野中大誠が左足一閃。さらに14分には右中間を抜け出した静岡学園MF高田優の右足シュートがファーポストを叩く。

 攻撃志向の強いチーム同士の戦いはゴール前のシーンも見られたが、やや手堅いゲーム展開に。尚志はMF出来伯琉とMF神田拓人のダブルボランチの組み立てやCB市川和弥のフィードにMF若林来希の仕掛けなどを交えて攻める。一方の静岡学園は、井田勝通総監督が指導したサッカースクール『ボンジボーラ』出身で「井田さんからボールタッチのところやドリブル(を学び、あと)、シュート、シュートと言われていました」というMF福地瑠伊とゲーム主将の野中のダブルボランチが攻守両面で奮闘。奪ったボールを正確に繋いで志賀、高田の個人技や大型MF眞井礁伍のパスを交えた崩しを狙うが、互いに守備強度が高く、0-0のまま試合は進んだ。

 尚志は前半終盤にFW網代陽勇、後半開始からMF安齋悠人を投入。2人ともチームトップクラスの攻撃力の持ち主だが、特に安斎がインパクト大の動きを見せる。ボディフェントを織り交ぜた縦突破は強烈。静岡学園右SB泉光太郎が必死に食らいついていたものの、安斎は1対2の状況でも縦へ抜け出してシュートやラストパスへ持ち込んでしまう。

 尚志は個で明らかな違いを生み出していた安斎中心にチャンスを増やしたが、静岡学園GK及川初に阻まれるなど決め切ることができない。一方の静岡学園も野中がゴール前へ侵入してシュートを放ち、志賀のアイディアを活かした崩しなどを狙うが、こちらも最後の局面で尚志の堅守を攻略できないまま80分間が終了。決着はPK戦に委ねられた。

 先攻・静岡学園の野中、眞井、志賀、CB山下峻太朗が決めたのに対し、尚志は2人目が失敗。最後は静岡学園CB水野朔が決めて決着がついた。静岡学園の指揮を執った齊藤興龍部長は「(関東ルーキーリーグから)1試合1試合良くなって成長した姿が見れたので、結果はもちろんですけれども、そこが一番嬉しいです」と微笑んだ。

 そして、選手たちへ向けて「向上心と言うか、こういう結果が出たことでまたさらに上を目指そうという意識になってくれたら良い。ずば抜けていかないと、という意識でやってほしい。(静岡学園にとって、)サッカー上手くなろうというのは外せない。日本一上手くなれれば、日本一になれるよね、プロにもなれるよねという、そこを目指せるように」と期待した。

 双子の弟・陣とともにテクニックを磨く福地は、「(テクニックを)しっかりと突き詰めて、自分の武器をもっともっと磨いて戦っていけるようにしたい」と誓い、野中は「あと2年間しっかり技術を磨いて選手権などで日本一になりたいです」と意気込んだ。徹底してテクニックとインテリジェンスを磨く静岡の技巧派軍団は、各選手が“日本一上手い選手”、“日本一上手いチーム”になることを目指し、成長を遂げて選手権優勝やプロ入りの目標を達成する。
 
(取材・文 吉田太郎)

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