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[NEW BALANCE CUP]“裏選手権”制覇の昌平は「強烈な個を生み出す」こと、「相手の嫌がること」にも目を向けて新シーズンへ

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昌平高は決勝で引き分け、“裏選手権”の頂点に

[1.6 NEW BALANCE CUP決勝 帝京高 0-0 昌平高 時之栖裾野C]

 注目校がまず“1冠”だ。昌平高(埼玉)が 「NEW BALANCE CUP 2022 IN TOKINOSUMIKA」(“裏選手権”)で帝京高(東京)と同点優勝。藤島崇之監督は「こういったレベルが高い、良いチームとやれたのは、新チームの立ち上がりからチーム作りにおいて重要。今回、課題もありましたし、自信になった部分もありましたし、良い機会だったなと思います」と前向きに捉えていた。

 グループリーグから決勝まで5勝2分。特に日本文理高(新潟)、市立船橋高(千葉)、日章学園高(宮崎)、帝京と強豪が続いた決勝トーナメントで1点も許さずに頂点に立った。ともに年代別日本代表候補歴を持つMF佐藤海空斗(2年)やCB石川穂高(1年)を欠く中だったが、コーチ陣、チームメートも絶賛するCB津久井佳祐主将(2年)がクレバーな守備を続け、大型GK上林真斗(2年、19年U-15代表)ら後方は安定。攻撃陣も雪の影響で30分1本となった決勝こそ不発に終わったものの、市立船橋、日章学園から2試合連続で3得点を奪っている。

 MF長準喜(1年)が高い技術力を発揮し、負傷明けの注目レフティーMF荒井悠汰(2年、U-17代表候補)もまた凄みが出てきている。加えて、1年時に選手権でゴールを決めているMF篠田翼(2年)やMF上野旭陽(2年)ら多彩なアタッカー陣は今年も強み。また、決勝では決定機で決め切れなかったU-16代表候補FW小田晄平(1年)への指揮官の期待値は大きい。街クラブながら高円宮杯全日本ユース(U-15)選手権準優勝の系列クラブ、FC LAVIDAや外部から進学予定の新1年生たちにも注目だ。

 選手権では19、20年度と2年連続で全国ベスト8。21年度はJ内定3選手や複数の年代別日本代表候補を擁していたが、埼玉県内のライバルから厳しいマークを受ける中、夏冬ともに全国へたどり着くことができなかった。今年も「強烈な個を生み出す」ことへの取り組み、質などのベースアップをすることは変わらないが、同時にやるべきことがある。

 藤島監督は「相手にとって嫌なことによりフォーカスしていかないといけない。自分たちがやりたいことだけじゃなくて、相手が嫌なディフェンスの掛け方とか、ゲームの中で変わってくると思いますし、ゲームの中で変えていくという状況をつくれれば、もっと良くなると思います」と口にする。

 そして昨年、拮抗したゲームで得点できなかったことの改善も必要。それに対しては、「ゴールという部分では点数を取れそうな選手が増えてきている。質を高めるところはトレーニングレベルでやっていることなので、そこは個人が自分と向き合っていけるようにしていきたい」と語った。

 昨年も主軸を務めていた津久井は、選手権予選敗退について、「本当に苦しかったし、悲しかったし、悔しいというのが一番あった」と振り返る。そして、「その悔しさを忘れずにやっていきたい」という昌平が22年、個人、チーム両方で大きく飛躍する。

(取材・文 吉田太郎)

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