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特長に加え、前への意識やスプリント数を向上させて日本高校選抜選出。前橋育英MF根津元輝は夢実現のための一年過ごす

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前橋育英高の2年生ボランチ、MF根津元輝は日本高校選抜選出。(写真協力=高校サッカー年鑑)

 悔しさを忘れず、夢実現への再スタートを切っている。前橋育英高(群馬)の2年生ボランチ、MF根津元輝(1FC川越水上公園出身)は、第100回選手権で大会優秀選手に選出。初戦こそ緊張したというが、「2回戦からは後ろの組み立てであったり、しっかりダブルボランチ組んでいる(2年生MF徳永)涼と組み立てられるようになった」MFは、「負けたくない」と語る長短のキックと前へ出る動き、守備面でもチームに貢献し、評価を得た。

 意識の変化がプレーを変えた。「今までは結構後ろでプレーして安牌にやっているところがあったので、県予選の決勝戦ごろから前にポジションを置いてプレーしようと意識してやってきたところです」。ボールを運んだり、点も取れるボランチになることを意識。ミドル砲も備える根津と、同じく注目ボランチの徳永の前へ出る姿勢が前橋育英の攻撃的なサッカーに厚みを加えていた。

 根津は昨年、自分が最も成長した点について、「積極的に前に係るところだったり、相手ゴール前でのプレーを増やせたこと」を挙げる。意識を変えるだけでなく、それを可能にする体作りにも取り組んできた。

「持久力の部分は課題だったので、そこはしっかり自分で向き合ってやってきました。有酸素トレーニングを自分で取り入れて走ったり。(8月の)和倉ユースの時から『暑い中でもしっかりとスプリントを増やすように』と言われていたので、そこから(意識と取り組みを変えて)前に係る回数も増えて行ったかなと思います」

 全国トップクラスの選手層を誇る前橋育英で1年時から公式戦出場を果たしていた注目株。これまでは代表チームなどとは縁がなかったが今回、選考合宿を突破して1学年上の日本高校選抜入りを果たした。前橋育英で心がけているチームメートとのコミュニケーションをより取ることで選抜メンバーとの相互理解を深め、周囲の良さと自分の良さをより発揮していく考えだ。

 父親の影響で少年時代から元日本代表MF中田英寿氏のプレー集をチェック。背筋を伸ばして視野を確保しながらプレーする姿は、「倒れないところやゲームメークのところは凄い」という憧れの存在の影響を受けている。中田氏同様、球際での抜群の強さ、DFをいなすように前へ出る力は根津の特長のひとつ。2学年先輩のU-22日本代表MF櫻井辰徳(現徳島)の「半端ない」ゲームメーク力や、キック精度、ピッチ内外の取り組みに追い付くことも目標に個を引き上げていく。

 今年の目標について、根津は「自分のまず夢が高校で日本一になること。先輩にプレミアリーグへ参入させてもらったところもあるので、プレミアリーグは残留ではなく優勝という形で残していかないといけない。プレミアリーグ優勝と日本一は目標としていきたい。高いレベルでやらせてもらう機会をもらったので、そこでもしっかりと輝ける選手になっていきたい」と誓う。

 将来的にはプロで活躍できる選手になることを掲げているが、現在は選手権で日本一を取ることが何よりも重要。今冬の選手権は準々決勝で大津高(熊本)に0-1で惜敗し、「絶対に忘れられない試合になった」。大津戦は決定的な仕事ができなかったことも課題になっただけに、改善するだけ。昨年1年間で進化を遂げたボランチは、さらなる努力を続けて悔しさを一年後の歓喜に変える。

(取材協力=スフィーダ、『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校選手権2021
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