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大迫との競り合いは「エグって」。A代表合宿帯同の17歳CBチェイス・アンリは「あそこでもう一回やれるように」

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A代表合宿に帯同した17歳DFチェイス・アンリ(尚志高)。まずは日本高校選抜を勝利へ導く。

“怪物”CBにとって、1月の日本代表合宿は驚きと楽しさのある日々だったようだ。尚志高(福島)の17歳DFチェイス・アンリ(3年=FC湘南ジュニアユース出身)は昨年6月、“飛び級”でU-20日本代表候補に初選出されると、同10月にはAFC U23アジアカップ予選を戦うU-22日本代表の一員としてアジアと戦い、強さと高さを見せつけた。

 そして、今年1月にはトレーニングパートナーとして日本代表合宿に参加。オフ期間に声がかかったことでほとんど準備ができておらず、緊張もあったという。普段のような動きできず、焦りもある中、まず周囲のレベルの高さに驚いた。

「普通に上手いということにビックリしましたね。ボール取られないし、GKも多分あの合宿でクリアは一回も見ていないです。(フィールドの選手たちも)いつも声を出して、ハーフタイムにもみんな声出しているし、自分の代とか本当に声がけとか静かなので。誰とか関係なく本当に全員で声出していました」

 刺激を受けた一人が20歳のMF松岡大起(清水)。「本当に年齢関係なく、あの人も自分で要求したり、凄くて見本になっていました」。また、映像で話題となったFW大迫勇也(神戸)との競り合い、弾き飛ばされたことをアンリは苦笑しながら振り返る。

「逆に嬉しいですね。あのふっ飛ばされたことで。今までされたことがないので。(飛ばされた瞬間は)ウワ―って。目の前にカメラもいっぱいあったので、ちょっとだけ恥ずかしかったです。『エグっ』て思いました。楽しかったです」とアンリ。当時、すでに膝の痛みを持っていたこともあって、全力で当たることができなかったが、それでも日本を代表するストライカーとの競り合いから学んだことは大きい。

「(大迫選手は)身体を当てる部分が上手くて。当てる前からボールを叩いて、違う動きをしているんで。それが速くて、本当に凄いですね。背負ったりしなかったので。自分も読みでインターセプトとかしなければ、収められてサイド変えられちゃうし、本当に凄いです」

 DF長友佑都(FC東京)やDF酒井宏樹(浦和)らテレビで見ていた名選手たちとのプレーを喜んだ一方、できたことは「声で動かすことくらい。周りが動いてくれて、自分にあまり負担がかからないです」。自分をもっともっとレベルアップさせなければならないと確認する貴重な時間となった。

「自分も今までテレビで見てきた人とやれたことは嬉しかったんですけれども、本当にレベル高くて、それで(ついていけずに)自分も怪我したし、身体の使い方とか色々学ばなければ、あれでやれないなと思ったので、これから頑張っていきたい」

 目標とするステージを17歳で感じられことは他の選手にはないメリット。「自分の目標(CL優勝)に向かってこういうところでやらないと世界とやれないし、本当に世界一になれないので、ここでしっかり準備して、本当にそのレベルで戦えるように自分の身体も変えて、本当に判断も速くして、あそこでもう一回やれるように頑張ります」。昨年、尚志では誰よりも身体のケアに時間を割き、ピッチ上でも厳しさを求めて成長に繋げてきた。この後、日本高校選抜、年代別日本代表での活動が続く見込みのアンリは学んだことを周囲にも伝え、競争しながら成長を果たす。

 今月12日には日本高校選抜の一員として「NEXT GENERATION MATCH」に出場予定。川崎フロンターレU-18(神奈川)と対戦する。日本高校選抜の指揮を執るのは尚志の恩師である仲村浩二監督だ。「監督も自分に、『勝たせてくれよ』みたいに言ってくれたので、相手もJユースですし、本当に負けてられないということで、高体連のプライドを持ってしっかりとJユースを倒したいと思います」と意気込んだ。

 “尚志のために”全国制覇を目指した第100回選手権は2試合計160分間無失点だったが、2回戦でPK戦敗退。無失点で終えたことには納得しているが、得意のセットプレーなどでゴールを決められなかったことを悔しがる。それもあってか、日本高校選抜選考合宿の練習試合ではCBの位置から再三攻撃参加。ゴールへの欲求も強いアンリは、「ここ(高校選抜)のFWは決める選手が多いし、能力の高い選手も多いので、今回は自分が上がらなくても大丈夫かなと思います」と笑いつつ、「簡単にヘディングで点を取れれば良いし、上がるチャンスがあれば自分も上がるし、そして決めたいですね」と闘志を燃やしていた。

 A代表に再び呼ばれることが今年の目標。簡単な道のりではないが、U-17日本代表に初招集され、「自分が一番下手。早く帰って練習したい」と感じた20年2月からの2年間で多くの才能を追い抜いてきたアンリは、自分を信じて努力を続け、目の前の一戦一戦で結果を残し続ける。

(取材協力=スフィーダ、『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校選手権2021
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