beacon

本格始動2日目の日本高校選抜、好守とFW松永40m弾、FW福田同点弾などで強豪・桐蔭横浜大に健闘

このエントリーをはてなブックマークに追加

みぞれ混じりの雨や雪が降る中、日本高校選抜が強豪・桐蔭横浜大相手に健闘

[2.10 練習試合 日本高校選抜 2-4 桐蔭横浜大]
 
 第100回全国高校サッカー選手権の優秀選手を中心に構成された日本高校選抜は10日、関東大学リーグ1部の強豪・桐蔭横浜大と練習試合(35分×3本)を行った。FW松永颯汰(静岡学園高3年)の約40m弾で先制した日本高校選抜は、逆転された後にFW福田師王(神村学園高2年)が同点ゴール。その後突き放されて敗れたものの、強豪大学相手に健闘した。日本高校選抜は12日の「NEXT GENERATION MATCH」(日産)で川崎フロンターレU-18(神奈川)と戦う。

 日本高校選抜は選考合宿を経て前日9日に本格始動。この日はみぞれ混じりの雨、雪が降る中、強敵に挑戦した。4-4-2システムを組んだ日本高校選抜はGKが佐藤瑠星(大津高3年)、4バックは右SB田口空我(流通経済大柏高3年)、CBがキャプテンのチェイス・アンリ(尚志高3年)と馬場拓己(桐光学園高3年)、左SB大川佳風(流通経済大柏高2年)。中盤は山市秀翔(桐光学園高3年)と薬師田澪(大津高3年)のダブルボランチで右SH藤森颯太(青森山田高3年)、左SH田澤夢積(青森山田高3年)、2トップは松永とFW守屋練太郎(前橋育英高3年)がコンビを組んだ。

 日本高校選抜はDFライン、中盤のラインを安定させることを意識。味方と繋がりを持って守り、奪ったボールをDFラインや薬師田がテンポ良く1タッチ、2タッチで動かしていく。立ち上がりは左サイドの田澤がドリブルシュートやゴール前のこぼれ球に反応する形で相手ゴールを脅かす。桐蔭大のMF山内日向汰(2年=川崎F U-18)にポストを叩くFKを打たれるシーンもあったが、8分、プレスバックした松永がインターセプト。すぐに前を向き、顔を上げると、センターサークル付近から右足を振り抜く。ボールはGK頭上を越えて40m先のゴールネットに吸い込まれた。

 松永は「相手の背後から狙っていくということは凄く良い感じに行ったので、良かったと思います」と振り返っていたが、前日の守備練習で意識付けされていた相手の見えない位置からプレスを掛けたことがゴールに直結。攻撃面でも山市がスペースへ飛び出してクロスを上げるなど、チームの狙いとする前の選手を追い越す動き、アグレッシブな攻撃も表現していた。

 桐蔭大はボールを保持しながら的確にSBやCBの背後を狙い、ゴール前のシーンを作り出す。だが、日本高校選抜は17分にアンリがラストパスをスライディングでクリア。また、GK佐藤のファインセーブでリードを守ると、21分にはカウンターから4対2の状況を作り出し、守屋が左足を振り抜く。

 だが、桐蔭大GK北村海チディ(3年=関東一高)の指先をかすめたボールは右ポストをヒット。この後、ピンチを作られていたものの、「自分たち、高体連ということで、最後の部分の泥臭さというのは一つ強みで持っているので、そこは最終ラインもそうですし、前の選手もタフにやってくれたかなと思っています」という馬場や田口が最後の局面でパス、シュートをブロックする。

 29分にはGK佐藤が抜け出してきたFWとの1対1をストップ。逆に松永が運ぶ力を発揮し、また田口、大川が攻撃参加して崩しに係るなど良い形の攻撃も出ていた。このまま1-0で1本目を終えるかと思われたが、ラストプレーで桐蔭大のFW山田新(3年=川崎F U-18)にサイドを破られ、MF楠大樹(3年=桐生一高)に同点ゴールを決められた。

 2本目、日本高校選抜は佐藤、アンリ、大川、守屋に代えてGK吉田優翔(桐光学園高3年)、CB柳生将太(前橋育英高3年)、左SB海老沼慶士(米子北高3年)、FW福田を投入。7分、桐蔭横浜大FW山田にPKを決められて逆転されたが、福田が大学生相手にも球際で競り勝ち、松永も前線でタメを作る。そして13分、田口の縦パスを起点に福田とのコンビネーションで藤森が右サイドを抜け出す。DFの寄せよりも一瞬速く中央へ折り返すと、小さなフェイントでシュートコースを作った福田がそのまま左足を振り抜き、同点に追い付いた。

 2分後にシュートのこぼれを桐蔭大・山田に押し込まれて2-3。DFラインが前に出るのか、構えるのか曖昧になったところを突かれてしまった。それでも17分に吉田のファインセーブで追加点を阻止。18分に田口、馬場、薬師田、山市、藤森、田澤、松永に代えてトレーニングパートナーの右SB高瀬大也(尚志高1年)、CB川副泰樹(大津高3年)、MF小泉龍之介(静岡学園高3年)、MF根津元輝(前橋育英高2年)、右SH阪田澪哉(東山高2年)、左SH川口敦史(大津高3年)、FW大迫塁(神村学園高2年)を投入した日本高校選抜は守備面を安定させると、個や連係で右サイドを攻略していた阪田の斜めのラストパスから川口がシュートへ持ち込むなど同点ゴールを目指した。

 3本目、吉田、高瀬に代えてGK鮎澤太陽(尚志高2年)とトレーニングパートナーの右SB山田一景(尚志高2年)を投入。小泉と根津が中盤からの持ち出しを意識し、左SBの海老沼が攻撃に係るなど押し込む時間を増やした日本高校選抜は連動した崩しにチャレンジする。

 守備面も安定したシュートセーブ、キャッチングを見せていた鮎澤やキャプテンマークを巻いた柳生、厳しいチェックでボールを奪う川副らが健闘。馬場は「誰が入っても変わりなく強度も落ちないですし、本当にレベルの高いチームだと思っていて、3年生だけでなく、2年生がとてもエネルギーを持ってやってくれているので、自分たちも凄く良い刺激をもらってとても良い競争ができていると思っています」と頷く。

 日本高校選抜は16分に福田をトレーニングパートナーのFW網代陽勇(尚志高1年)へスイッチすると、20分には川副のインターセプトから前向きにサポートした大迫が斜めのパス。これを網代が落とし、最後は阪田が右足を振り抜く。だが、渾身の一撃はGK西澤翼(1年=磐田U-18)に弾かれ、ゴールマウスをヒット。23分に大迫がDFを剥がして放った右足シュートもわずかに枠左へ外れた。逆に33分、カウンターから桐蔭大FW左部開斗(3年=流通経済大柏高)に抜け出されると、最後はFW白輪地敬大(2年=桐蔭学園高)に押し込まれて2-4。FW松永は「チェイス・アンリを筆頭に後ろは凄く頑張ってくれていた。前がもっと点を取ったり、守備で後ろを楽にしなければいけない」。敗れたものの、悪コンディションの中で狙いも表現した日本高校選抜は2日後の重要な一戦へ向けて手応えと課題を得て、チームの“初戦”を終えた。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 全試合ライブ&ダイジェスト配信はこちら

TOP