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残り10分強から怒涛の3連続ゴール。U-17日本高校選抜は4-5で惜敗も、インカレ王者・駒澤大に攻守で健闘

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U-17日本高校選抜の反撃の中心となったMF高橋隆大(静岡学園高)は4得点に絡んだ。

[2.18 練習試合 U-17日本高校選抜 4-5 駒澤大]

 U-17日本高校選抜、インカレ王者と堂々の撃ち合い――。U-17日本高校選抜は静岡合宿2日目の18日、全日本大学選手権優勝の駒澤大と練習試合(40分×3本)を行った。相手オウンゴールで先制したU-17高校選抜は逆転され、一時4点差まで突き放されたが、終盤の3連続ゴールで1点差。だが、あと一歩及ばず、4-5で敗れた。

 第100回選手権などで活躍した高校2年生のU-17高校選抜は、4-4-2システム。GKデューフエマニエル凛太朗(流通経済大柏高2年)、右SB豊田怜央(桐光学園高2年)、CBが津久井佳祐(昌平高2年)と新谷陸斗(東山高2年)、左SB保田成琉(阪南大高2年)。ダブルボランチは徳永涼(前橋育英高2年)と廣井蘭人(帝京長岡高2年)、右SH高橋隆大(静岡学園高2年)、左SH名願斗哉(履正社高2年)、2トップは小池直矢(前橋育英高2年)と小林俊瑛(大津高2年)がコンビを組んだ。

 序盤はいずれも先発としてインカレ優勝を経験している右SB小針宏太郎(2年=鹿島ユース)やCB相澤佑哉(3年=熊本ユース)、MF小島心都(2年=湘南工大附高)らが出場した駒大に押し込まれた。キャプテンの新谷は「立ち上がりの1プレー目で結構来たので、いつもの感じではダメかなと思い知らされた感じです」と振り返る。相手のロングボールを起点とした攻撃によってDFラインが下げられてしまい、重心の重い展開に。大学王者の圧力の前に、ボールを奪ってもなかなか前進することができなかった。

 それでも7分、U-17高校選抜は右SB豊田の縦パスで小林が背後を狙う。こぼれ球から右の高橋が左足でアーリークロスを入れると、DFの頭に当たったボールがそのままファーサイドのゴールネットに吸い込まれた。先制後、再び我慢の時間帯が続いたが、新谷や津久井中心に相手のシュートをブロック。保田も得意のヘッドで跳ね返し、デューフが好反応を見せるなどよく踏ん張っていた。

 22分にGKのミスで追いつかれ、激しく接触した小池が大事を取ってFW澤田佳憲(瀬戸内高2年)に交代。アクシデントもあったU-17高校選抜だが、飲水タイム前後からボールを細かく繋ぎながら前進して主導権を握った。特に徳永と廣井のダブルボランチが受け方を工夫しながら、判断の速さと精度を発揮。新谷が「相手の守備に合わせたビルドアップを考えてゲームを通してできたと思います。相手のプレッシャーは速いんですけれども、その分スペースが結構空くので、そこを1タッチ2タッチでテンポ速く使えていたと思います」と語ったように、各選手が距離感を短くし、低い位置から勇気を持って1タッチ、2タッチで相手のプレッシャーを剥がしていく。そこに高橋らが積極的に絡んで仕掛けへと結びつけた。

 そして、廣井のスルーパスや名願のドリブルなどからチャンス。小林へのロングボールも織り交ぜて攻め、高橋や澤田がシュートを連発した。また、DF陣も新谷の気迫のタックルなどで追加点を許さない。高橋は「(攻撃に関しては廣井)蘭人と(徳永)涼と距離小さくしようと言っていました。突破とか崩しとか行けて、良い流れに持っていけたので内容としては良かったと思います」。押し返していたU-17高校選抜だが、40分、右CKから駒大CB松本ケンチザンガ(2年=浦和東高)に頭で決められて1-2で1本目を終えた。

 2本目、U-17高校選抜は9人をチェンジ。GK佐藤安悟(帝京長岡高2年)、右SB{鈴木大翔|鈴木大翔(56135)}}(尚志高2年)、CBが萩原聖也(流通経済大柏高2年)と宝納拓斗(佐賀東高2年)、左SB都築駿太(流通経済大柏高2年)。中盤は徳永と真田蓮司(東山高2年)のダブルボランチで右SH田原瑠衣(大津高2年)、左SH篠田翼(昌平高2年)、前線には澤田と福田秀人(米子北高2年)が構えた。

 立ち上がりは真田が鮮やかな突破でDFを置き去りにするなど入り良く試合をスタートする。だが7分、U-17高校選抜は自陣でビルドアップを奪われると、FW田海寧生(2年=丸岡高)に左足で決められて1-3。その1分後にも右サイドへの展開からFW崎山友太(1年=米子北高)に豪快な一撃をニアサイドへ叩き込まれた。

 U-17高校選抜は苦しい展開の中でも存在感放つ徳永と真田がロストせずに前進。真田のスルーパスから澤田が抜け出し、田原の右クロスを福田が頭で合わせるなどチャンスも作る。また、宝納が縦パスを狙い、都築がスピードを活かした攻撃参加。また篠田がドリブルでDFを切り崩そうとする。守っても萩原が空中戦で健闘し、徳永と真田がセカンドボールを回収。また、終盤にはGK佐藤が至近距離からのシュートをストップするなど食い下がって3本目に繋ぐ。

 3本目はGK藤澤芭琉(徳島市立高2年)、右SB豊田、CB津久井と新谷、左SB保田、ダブルボランチが廣井と真田、右SH田原、左SH篠田、2トップが小林と福田という11人でスタート。3分に廣井のスルーパスでSB豊田が一気に抜け出してシュートまで持ち込むと、直後には篠田が距離の長いドリブルで相手の守備網を切り裂いてシュートを撃ち込む。

 16分には右CKからCB福田隼士(1年=滝川二高)に頭で決められて1-5。田原や小林がタメを作ってゴールを目指すが、簡単には崩すことができない。それでも、20分頃に4バックを右SB鈴木、CB萩原、CB宝納、左SB都築、また右SH高橋、左SH名願へスイッチすると、右サイドを中心にチャンスを量産する。

 29分、右サイドから仕掛けると、福田が粘って中央へ繋ぐ。最後は名願が寄せられる前に右足を振り切って2点目。34分には、高橋が右サイドから切れ込んで左足を振り抜く。これはGKにセーブされたが、跳ね返りをしっかりと詰めていた小林が押し込んだ。さらに36分、右サイドの高橋が前方のスペースへ浮き球パス。交代出場でスプリントを連発していた鈴木が中央へグラウンダーのラストパスを入れると、走り込んだ名願が右足ダイレクトで合わせて1点差とした。

 盛り上がるU-17高校選抜はGK藤澤やDFラインが後方を締め、相手のクリアボールや縦パスを次々と回収。ともに個でもDFを剥がす廣井と真田が積極的に崩しに係わり、右サイドの鈴木、高橋、福田がコンビネーションで局面を攻略する。40分にはPAへ潜り込んだ福田の折り返しを高橋が決定的な左足シュート。さらに40+1分には高橋の右足シュートがGKの手とクロスバーを弾く。だが、あと1点が奪えずに4-5で敗戦。4得点に絡んだものの、終盤のビッグチャンスで決められなかった「ムードメーカー」高橋は、チームメートに対して大声で「ごめーん!!」と謝って特に悔しがっていた。

 その高橋は「内容もそうなんですけれども、一番は勝負にこだわっていかないといけない」と引き締める。そして、今回の合宿での残り2試合や3月の活動へ向けて「選ばれているという自覚を持って、責任感を持ったプレーで結果という部分にこだわって、全員で勝利を奪っていきたいなと思っています」と続けた。

 今回選出されている選手たちは、1年後の第101回選手権の主役候補たち。高橋は「お互いこの場で高め合って、さらに選手権で良い試合ができたら」。才能たちがU-17日本高校選抜の活動で切磋琢磨し、自身と所属チームの強化に繋げる。


(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021

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