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U-17日本高校選抜が関東1部の拓殖大からも4得点。悪い流れ断ち切る力など身につけ、次は勝利を

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3本目8分、U-17日本高校選抜はMF田原瑠衣(大津高)が鮮やかな左足シュートを決めて1点差

[2.19 練習試合 U-17日本高校選抜 4-6 拓殖大]

 高校サッカー部2年生の“代表チーム”が、強豪大学から2試合連続4得点――。U-17日本高校選抜は静岡合宿3日目の19日午後、関東大学1部リーグの拓殖大と練習試合(40分×3本)を行い、MF高橋隆大(静岡学園高2年)の2得点とFW小林俊瑛(大津高2年)の2試合連続ゴール、そしてMF田原瑠衣(大津高2年)の鮮やかな一撃によって4得点を奪ったが、4-6で敗れた。

 高校サッカー部の有力2年生によって構成されたU-17日本高校選抜は、4-4-2システム。先発GKはデューフエマニエル凛太朗(流通経済大柏高2年)で右SB鈴木大翔(尚志高2年)、CBが萩原聖也(流通経済大柏高2年)と宝納拓斗(佐賀東高2年)、左SB都築駿太(流通経済大柏高2年)。中盤は廣井蘭人(帝京長岡高2年)と徳永涼(前橋育英高2年)のダブルボランチで、右SH高橋、左SH篠田翼(昌平高2年)、2トップは福田秀人(米子北高2年)と小林がコンビを組んだ。

 立ち上がり、相手の出方に適応する前に失点。7分、MF浅倉廉(2年=静岡学園高)の折り返しをMF日野翔太(1年=堀越高)に押し込まれた。序盤はボールを奪い切れずに自陣で守る時間が増加。だが、U-17高校選抜は12分、左中間からドリブルで切れ込んだ篠田が中央の廣井へパスを繋ぐ。廣井が間髪入れずに右へ振ると、高橋が縦への仕掛けから右足シュートをニアサイドへ叩き込んだ。

 U-17高校選抜は前日の駒澤大戦(4-5で敗戦)同様に徳永と廣井、高橋を軸に距離感短く、テンポの良いパスワーク。廣井が「拓殖大学はめちゃくちゃ上手かったんですけれども、徳永と2ボランチを組んだ時は高橋と篠田と4枚で中盤を支配できたと思います」と振り返ったように、技巧派揃う拓大にグラウンダーでの勝負を挑み、ビルドアップで優位に立って見せる。20分には福田が右へ展開し、高橋がゴールエリアへクロス。これに競った小林がこぼれ球にいち早く反応すると、左足シュートをファー上へ突き刺した。

 このあと、GKデューフのシュートセーブなどでリードを守っていたが、27分、FKから拓大CB岸本駿朔(3年=市立船橋高)に頭で決められて2-2。だが、細かなパス交換と個々の突破が噛み合うU-17高校選抜は34分、都築がスピードに乗ったドリブルで左の局面を打開する。そして、篠田がドリブルで切れ込み、中央へ折り返すと、高橋がコントロールから右足シュートを叩き込み、再び勝ち越した。

 この後、拓大の反撃を受けたが、鈴木、萩原、宝納、都築の4バックの的確な守備対応と献身的に動いた徳永、廣井のセカンドボール回収などによって2次攻撃を許さず。1本目を3-2で終えた。

 2本目はGKが佐藤安悟(帝京長岡高2年)、4バックは右SB豊田怜央(桐光学園高2年)、CB津久井佳祐(昌平高2年)、CB新谷陸斗(東山高2年)、左SB保田成琉(阪南大高2年)。中盤は徳永と都築のダブルボランチ、右SH田原、左SH名願斗哉(履正社高2年)、2トップは小林と澤田佳憲(瀬戸内高2年)がコンビを組んだ。

 この日は、MF白井柚希(静岡学園高2年)、MF真田蓮司(東山高2年)、MF小池直矢(前橋育英高2年)の3選手が怪我の大事を取って欠場。2本目はSBの都築をボランチで起用したが、各選手が守備から入って崩れることなく試合を進めていた。

 立ち上がり、徳永の展開から田原がDFをかわして上げたクロスに澤田が飛び込み、またインターセプトした名願が一気にDF間を抜け出してシュートを撃ち込む。加えて、新谷を中心に守備の統率が取れていたU-17高校選抜は、守備の距離感を崩さず、連動したプレッシングで拓大のビルドアップに対抗。ボールを握られる時間が増えていたものの、決定打を打たせない。

 一方でU-17高校選抜もフィニッシュまで持ち込むことのできない時間が続いたが、名願のドリブル突破や豊田のオーバーラップ、カウンターから徳永、都築が前に出るなど追加点を目指す。38分には自陣PAへ抜け出されたが、GK佐藤が1対1をストップ。直後のピンチも保田がシュートをブロックする。だが、ゴール前の攻防でキャプテンの新谷が負傷し、5分ほどの中断を経て萩原と交代すると、集中力が切れてしまう。

 40+4分、連続攻撃からFW宮脇健太(3年=仙台ユース)に決められると、その3分後にもPAを崩されて右SB長田京兵(1年=市立船橋高)に勝ち越し点を奪われた。廣井が「一回集中が切れてしまったので、そこで締めさせる声だったりはチームの課題だと思います。拓殖大学も凄くレベル高いので、少しでも集中を切ったらすぐにやられてしまいますし、そういったところでは良い経験になったと思います」と振り返ったように反省の失点に。合計3-4で2本目を終えた。

 3本目、U-17高校選抜はGK藤澤芭琉(徳島市立高2年)、右SB鈴木、CB萩原、CB宝納、左SB保田、中盤は津久井と廣井のダブルボランチ、右SH田原、左SH名願、そして福田と澤田の2トップでスタートする。立ち上がりにCKこぼれを拾った田原が仕掛けて右足シュート。守備では萩原のシュートブロックで危ないシーンを凌いだが、6分にCB鹿股翼(1年=関東一高)の縦パス一本でFW稲木蒼史(1年=西武台高)に背後を取られて突き放されてしまう。

 それでも、8分、中盤でインターセプトした津久井がドリブルで一気に中央突破。そして右へ展開すると、田原が左足コントロールショットをゴール左上隅へ鮮やかに決めて1点差とした。さらに廣井のドリブル突破から福田の放った右足シュートがゴールを襲い、廣井や田原の仕掛け、澤田のスルーパスなどでゴールへ迫るも、同点に追い付くことはできない。

 逆に22分、MF倉嶋涼雅(1年=実践学園高)にヘディングシュートを決められて4-6。右SB豊田、右SH高橋、左SH篠田へ交代したU-17高校選抜はGK藤澤中心に追加点を阻止し、雨の中で反撃する。そして、廣井や高橋が強引にシュートへ持ち込もうとしていたが、拓大守備陣が阻止。終盤、足を攣らせた津久井に代わって都築が投入されたが、2点差のまま試合終了を迎えた。

 U-17高校選抜は発足からわずかなチームとは思えないような息の合った攻撃と得点力を披露。プロ予備軍でもある駒大、拓大相手に主導権を握る時間を増やし、連続で4得点をマークしている。大学トップチームの圧力や巧さに苦しんでいるが、DF陣の踏ん張りも見逃せない。また各選手のアグレッシブな姿勢も印象的。強度、スピード感の高い戦いの中で学び、個人、チームとしてレベルアップしている。

 一方で2試合連続惜敗。セットプレーでの対応や、悪い流れを断ち切る術など課題があることも確かだ。リーダー格の一人である徳永は、「プレーが切れた時というのは常に声を出すことは意識しているところです。チームの課題に対して、セットプレーのところもそうですし、もっとコミュニケーションを取って、例えば強い大学生に対してはセットプレーで1枚削って2枚つくとかそういう工夫を入れていって改善したい」。合宿は20日までで、あと1試合を予定。怪我人も出るタフな戦いとなっているが、チームとして結果を残して今回の活動を終える。

(取材・文 吉田太郎)

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