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決め手は「好きな選手」の存在や…。高2でC大阪内定のMF大迫塁は目標へ向け、神村や高校選抜で結果と成長

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高2の2月にセレッソ大阪内定。MF大迫塁(神村学園高2年)はまず、日本高校選抜で結果を残す

「第37回静岡県ヤングサッカーフェスティバル」(3月6日、草薙)と「第36回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会」(3月9日~13日、Jヴィレッジ)に出場する日本高校選抜が4日、静岡県内で合宿をスタートした。

 日本高校選抜は2月12日の「NEXT GENERATION MATCH」で川崎F U-18に0-1で敗戦。その悔しさを持つ選手たちは、ヤングサッカーフェスティバルで対戦する静岡ユース選抜、そしてデンソーカップチャレンジで大学生の選抜チームに連勝して活動を終える意気込みだ。

 4日の練習は、卒業式準備などの影響で23名中17名が参加。パス&コントロールや4対4プラス3フリーマン、3対2での攻守、守備に重きを置いた6対7のメニューに汗を流した。注目は、2月17日に23年シーズンからのセレッソ大阪加入内定が発表されたMF大迫塁(神村学園高2年)だ。これまで高校選抜では主にトップ下を務めていたが、この日は本職のボランチで守備のポジショニングやアプローチの上手さ、そして攻撃面では1タッチパスの質などを発揮していた。

 絶品の左足と相手の急所を見逃さない目を持つ大迫は、神村学園中時代から年代別日本代表の中心選手として活躍。神村学園高では1年時からエースナンバーの「14」を背負い、昨年はインターハイで3得点、またプリンスリーグ九州では10得点14アシストという圧倒的な活躍を見せている。そして、今年は年上中心の日本高校選抜にも選出。J1の複数クラブが関心を寄せる中、高校2年生の2月で進路を決めたのには理由がある。

「早めに決めて、もし機会があればルヴァンやJリーグに出たい気持ちがあるし、(主将を務める)神村学園に集中したかったので早めに決めました」。

 C大阪には昨夏のインターハイ後に練習参加。「(まさに)大阪!という、好きな雰囲気でした」。それでいて、練習に入ると各選手が意識高く、気持ちの込もったプレーをしていたことが心に残ったという。そして、決断の決め手となったのは、大迫が「好きな選手」と語るプレーヤーをはじめ、C大阪が輩出してきた攻撃タレントたちの存在だ。

「自分が好きな選手がいたのと、(MF香川真司やFW柿谷曜一朗、MF乾貴士、FW南野拓実ら)攻撃的なタレントを歴代でも輩出してきたチームなので、もっとそこのところに磨きをかけて海外に行きたいという気持ちがあって、セレッソに決めました。(好きな選手は)清武(弘嗣)選手です。代表でもずっとプレーしていて、攻撃のスルーパスのところやゲームを作るところもできて、結果も残せるところが凄い。(以前から)ゲームを作るのが凄く上手な選手だなと思っていました」

 練習参加した際、相手チームにいた清武は常に捕まえづらい位置にいて、駆け引きの部分でも学ぶことが多かった。また、その練習参加で実感したのは、自分が得意とするキックは通用した一方、判断やプレーのスピードは「全然遅い」ということ。判断スピードの速さは大迫の大きな強みでもあるが、神村学園のトレーニングからより速く判断することを意識し、左足のシュート、スルーパスもよりこだわって進化させている。

 C大阪は同じ高校2年生で、年代別代表の僚友・MF北野颯太がブレイク中。現在は北野のように早くJ1に出たいという気持ちよりも「そのレベルにまだ達していないと思うので、ゲームに出れるくらいのレベルにならないといけない」。現状を理解し、一つ一つ積み重ねること、結果を出すことに重きを置いている。ただし、高校2年生の2月に進路を決めた理由の一つは、C大阪で早くレギュラーを掴み取るためだ。

「まずは神村でしっかりと結果を残さないといけない。結果で恩返しして、プロの内定をもらったので早く出て、そこのスタメンとかレギュラーの座を奪いに行かないとプロに早くなった意味が無いので、狙っていきたいです」と言い切った。注目レフティーは急ぎ過ぎず、だが、本気で目標達成への日々を過ごすつもりだ。

 高校選抜の活動も成長への貴重な機会。ヤングサッカーフェスティバルでは自分と同じ高校2年生たちと対戦する。「相手を圧倒して勝たないといけないと思っている。自分の持ち味を出してチームが勝てれば一番良い。ボランチでも、トップ下でも、どっちでもチームを勝たせられるようなプレーをしていきたい」。C大阪の看板も背負うレフティーは、王国・静岡の才能たちの前で判断力や精度で違いを見せるか。

 そして、静岡ユース選抜戦の後に控えるデンソーカップチャレンジでは“プロ予備軍”の大学生と対戦。「どっちかというと自分は上のカテゴリーの選手に向かっていくのが好きなので、スゴい楽しみです」という大迫は、年上の選手たち相手でもやれることを示して、求めるレベルへ近づく。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021

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