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前回合宿翌日から大学へ志願の練習参加。成長して戻ってきたCB川副泰樹が日本高校選抜で好守連発中

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日本高校選抜CB川副泰樹(大津高3年→福岡大)は5日の練習でも際の攻防で速さと強さを発揮

 第100回全国高校サッカー選手権で活躍した選手を中心に構成された日本高校選抜は6日、「第37回静岡県ヤングサッカーフェスティバル」(草薙)で静岡ユース選抜と対戦する。5日の前日練習では、主に守備連係を意識した6対7やセットプレーのメニュー。高校2年生中心の静岡ユース選抜戦で勝って、大学選抜に挑戦する「第36回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会」(3月9日~13日、Jヴィレッジ)へ弾みをつける。

 その日本高校選抜で特に動きの良さを見せているのが、CB川副泰樹(大津高3年→福岡大)だ。第100回選手権では、大津のDFラインの中心選手として奮闘。初の準決勝進出、準優勝に大きく貢献した。

 4日の合宿初日は、守備側にとって数的不利の状況でのトレーニングだったが、アタッカー陣の仕掛けを次々とストップ。予測速く動き、CBチェイス・アンリ(尚志高3年)や他のDF陣とともにほとんどゴールが生まれない状況を生み出していた。一際目立つほどの動き。この要因は、前回の日本高校選抜合宿翌日から進路の福岡大へ練習参加し、そこで得た力が大きいようだ。

 川副は前回の日本高校選抜の活動で行われた「NEXT GENERATION MATCH」(2月12日、対川崎F U-18)で登録18名から漏れてベンチ外に。その合宿期間中に自分の立ち位置を実感し、「出られないな」と悟っていた。その川副はすぐ行動に移す。福岡大のコーチに「(日本高校選抜合宿の)次の日から行くんでよろしくお願いします」と日本高校選抜合宿翌日から練習参加する希望を伝えたのだという。

「メンバー外で悔しかったのもあるし、コンディションを落としたらいけないと。そして、この期間で(他の日本高校選抜メンバーに)差をつけれるなと思って、帰って次の日から福岡大学にお願いして練習行って、トップチームでやらせてもらえて、プロとの試合もできて、ここに帰ってきても通用しているかなと思います」

 今回の日本高校選抜合宿前日の3月3日までの約3週間、可能な限り福岡大の練習に参加した。ロアッソ熊本との練習試合では、インカレ得点王のルーキーFW土信田悠生とマッチアップ。「言い方は悪いかもしれないですが、もっと凄い相手、もっと高いレベルの選手たちとやっていたので、(高校選抜のFWを抑えられる)自信はありました」。特に変わったのは準備の部分だという。

「守備の部分を凄く言われて。福大は関東のチームに勝つためにどれだけ全員で守れるかというのを凄く要求されて、その守備の強化というのは自分の中で大きいかなと思います」。対人守備に自信を持っていた川副だが、高校時代同様の対応、距離感は大学生に通用しない部分があった。大学生に比べてフィジカル、高さもない川副は、準備の質、速さを高めることを徹底。また、福岡大・乾真寛監督は、川副の高校選抜でのプレー映像もチェックしており、守り方を教えてくれた。その助言も、自身の好守に結びつけている。

 大津から関東の強豪大学ではなく、九州の名門・福岡大へ進んだのは自身の将来を本気で考えてのこと。「元々中学校が鳥栖で、(大津総監督の)平岡(和徳)先生には『鳥栖に戻りたい』とずっと言っていました。関東だと上手な選手が集まるので自分は埋もれるかもしれない。(関東勢の方が上手いかもしれないが、)福岡大には関東に負けないための守備の強さがあった。自分の強みである守備の強さがよりプロで通用するレベルになれば良いと思います」。大学で日本一を勝ち取り、鳥栖へ戻るという目標を堅守・福岡大で実現する。

 鳥栖U-15時代は思うように公式戦出場を増やせなかった。当時のチームメートであるDF中野伸哉(鳥栖)が高校2年生でプロデビューする中、「自分が与えられた場所で何ができるかを一番に考えてコツコツやってきた」DFは、日本高校選抜でも活躍するために行動し、自身の立ち位置を変えようとしている。まずは出場有力な6日の静岡ユース戦に集中。相手を完全に封じ込む。 

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021

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