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ピッチ内外で期待に応えたCBチェイス・アンリ。「自分もビックリ」のドリブル、スルーパスで先制アシストも

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前半34分、攻撃参加した日本高校選抜CBチェイス・アンリ(尚志高3年)がスルーパスで先制アシスト

[3.6 ヤングサッカーフェスティバルU-18男子の部 日本高校選抜 2-1 静岡県ユース選抜 草薙陸]

 守備で、攻撃で、静岡の観衆を沸かせた。日本高校選抜のキャプテンを務めるCBチェイス・アンリ(尚志高3年)は4,976人が集まった第37回ヤングサッカーフェスティバルU-18男子の部で活躍。「自分(が活躍できるの)はファンのお陰。期待に応えないといけない」と語るアンリが、スタンドの少年や女性ファンの声一つ一つに手を振って応え、彼らを笑顔にしていたシーンも印象的だった。

 前半には3連続のヘディングでのクリアで会場をどよめかせ、静岡県ユース選抜の10番MF高橋隆大(静岡学園高2年)のドリブルをタックルでストップ。24年パリ五輪世代に当たるU-21日本代表候補に“飛び級”招集されているCBは、まず守備で凄みを見せた。

 そして、前半33分のCKのチャンスでは、GKの伸ばした手の上方からヘディングシュート。ボールはわずかにクロスバーを越え、「久しぶりにあんだけ跳んで決められなくて悔しかったですね」と苦笑いしたが、直後に攻撃で結果を残した。

 34分、アンリは左中間で出足よくインターセプト。すると、奪い返しに来た相手DFをいなして前進する。一気に高い位置までボールを運ぶと、切り返す形で中へ。ここでDFを2人3人と引きつけて守りをズラしたアンリは、PAへスルーパスを通す。タイミングよく抜け出したFW福田師王(神村学園高2年)が左足でゴール。アンリにアシストがついた。

 福田も「ビビりました」と笑うアンリのドリブルとスルーパス。一方のアンリも「自分もビックリです。久しぶりにドリブルしてアシストしたので気持ちよかったですね」と周囲を笑わせる。

 そして、「(あのシーンは)ボールを奪ってチャンスだったので、ここで行かないとダメかなと思って最後までいけてよかったです。タメ作って、自分がドリブルすれば3人くらいくっついて来るし、そこで味方のスペースも空くし、(アシストできて)良かった」。なかなか先制点が奪えない中、“得点の匂い”を信じて攻撃参加。均衡を破るビッグプレーだった。

 CKでゴールを決められなかったこともあり、「自分からしたら悔しいし、もっとやれたなと思います」という57分間のプレー。それでも、大きなインパクトを残し、勝利に貢献した。そのアンリは、一時高校選抜から離脱し、7日スタートのU-21日本代表候補合宿に参加する。そして3日間の合宿を経て日本高校選抜に再合流。デンソーカップチャレンジ(3月9日~13日、Jヴィレッジ)で大学生の選抜チームと戦う。

 アンリは「(U-21日本代表候補の中で)自分があの中で一番下手だということは分かっているし、3日間だけしかないんですけれども上手くなってデンソーカップに向かいたい。代表ではいろいろなCBやいろいろな人からしっかり学んで、技術を上げて、デンソーカップは全勝」と目標を掲げた。タフなスケジュールだが、人一倍身体のケアに時間を費やすDFはコンディションを整えながら挑戦。貴重な機会をまた成長の糧にする。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021

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