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「静学スタイル」にこだわる2年生CB行徳瑛、日本高校選抜相手にテクニックと堅守発揮

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静岡県ユース選抜を最終ラインで支え、テクニックも発揮したCB行徳瑛(静岡学園高2年)

[3.6 ヤングサッカーフェスティバルU-18男子の部 日本高校選抜 2-1 静岡県ユース選抜 草薙陸]

“サッカー王国”静岡県の高校2年生によって構成された静岡県ユース選抜は、準備期間1日、またコロナ禍で所属チームでもなかなか試合ができない状況の中で日本高校選抜に挑戦。個々、チームとしての良さを出しづらい状況だったが、日本高校選抜の仲村浩二監督(尚志高)が各選手のテクニックと個人戦術の高さを称賛するほどのプレーを見せ、接戦に持ち込んだ。

 特に印象的な動きを見せていたのが、キャプテンのCB行徳瑛(静岡学園高2年=静岡学園中出身)だ。清水や岐阜などを指揮した経歴を持つ浩二氏を父に持つ大型DFは、静岡学園中時代から注目されていた才能。昨年はU-17日本代表候補やインターハイ優秀選手に選出されている。

 その行徳は、立ち上がりに日本高校選抜FW福田師王(神村学園高2年)の突破をスライディングタックルでストップ。その後もショートカウンターで抜け出したMF田澤夢積(青森山田高3年)を再び一発のタックルで止めて見せた。

 また、2度3度とラストパスを読み切ってクリアするなど準備期間の少ないチームを後方で支え、ボールを持った際には正確なビルドアップやフィード。加えて、“静学仕込み”の足技でプレスを剥がして前進するなど攻守で存在感を発揮していた。

「自分の中で対人のところで相手にシュート打たれたり、クロスを上げられたりするところが課題だったので、そこは今回やろうと」意識しての80分間。最後の一歩を出して足に当てることを表現し、注目FW福田とのマッチアップでも優位に立っていた。だが、前半34分、ドリブルで攻め上がってきたCBチェイス・アンリ(尚志高3年)に寄せきれずにスルーパスを通され、福田に先制点を奪われてしまう。

 結局、福田に2ゴールを許して敗戦。福田にキープされ、チャンスメークされてしまうシーンもあった。試合を通しての安定感も課題に。本人は攻撃面に関しては及第点をつけていたが、「(守備では日本高校選抜の方が)球際やプレスのスピードが一段階、全然上の方で自分もまだまだ足りないところばかり、これからまだまだやっていかないといけないと思っています」と成長の必要性を口にしていた。

 それでも、185cmの長身で守備能力とテクニックを兼ね備えるCBは魅力十分。新生・静岡学園のチームリーダーでもある行徳は、日本高校選抜相手でも怖れることなくテクニックで勝負し、その力を表現していた。

「静学の選手というのは、選抜や違うチームに行った時でも(テクニックやインテリジェンスを発揮し、)『静学の選手』っていうのが分かるようなプレーがしたいというのがある。技術のところは練習でもやっていますし、試合で出したいと思っています」。この日、わずかではあったが、静岡学園の先輩FW松永颯汰(3年→流通経済大)とのマッチアップを楽しみ、新たな活力を得た行徳は新シーズンでの活躍を誓った。

 この1年間は怪我に悩み、選手権全国大会の出場時間はわずか2分間。「去年は怪我で苦しんで試合に結構出れませんでした。怪我だと自分をアピールする機会すらないので、今年一年はまず怪我をしないように、その中でどんどん自分の良さを出していけるような一年にしていきたい」。まずは怪我することなく、コンスタントに実力を出すことを目指す。

 チームとしては県内3冠を達成した昨年同様、激戦区・静岡で勝ち続けて全国大会に出場すること。プレミアリーグWESTでの戦いも注目だ。行徳は「どこが相手でも静学らしい自分たちのスタイルで勝ち進みたいと思っています」と力を込めた。今回の日本高校選抜との一戦は、今後の糧に。「このような時期に開催してもらったことに感謝したい」と語る注目DFが今年、静岡学園や静岡県の高校サッカーを引っ張り、大舞台で「静学スタイル」を表現する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2021

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