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好勝負となった“国体前哨戦”、U-16東京都選抜がU-16静岡県選抜を2-0撃破

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後半13分、U-16東京都選抜がMF知久陽輝(川崎F U-15、6番)の先制点を喜ぶ

[3.6 ヤングサッカーフェスティバルU-16男子の部 U-16静岡県選抜 0-2 U-16東京都選抜 草薙陸]

 6日、第37回静岡県ヤングサッカーフェスティバルU-16男子の部でU-16静岡県選抜とU-16東京都選抜が対戦し、東京が2-0で快勝した。

 前回開催された19年大会で優勝するなど国体優勝21回を誇る静岡と、今秋の栃木国体で13年以来の日本一を狙う東京との“国体前哨戦”。勝利した東京の小野寺章監督(江戸川区立瑞江第三中)が、「紙一重だと思います。より空いたスペース、ゴール前に侵入できた回数が若干ウチの方が多かったかなと。ちょっとの差だったと思います」と振り返ったように、紙一重の差の好勝負だった。

 35分ハーフで開催された試合は前半、静岡が攻勢に出る。8分には敵陣でインターセプトしたMF良知英祥(藤枝東高)が抜け出して右足シュート。だが、東京のU-16日本代表候補GK 後藤亘(FC東京U-15深川)が1対1をストップする。

 静岡はMF川合徳孟(磐田U-15)が相手の逆を取るドリブルやアイディアあるパスを交えて攻撃をコントロール。柔らかさのあるMF山下輝大(静岡学園中)ら各選手がサポートしながらボールを前進させると、抜け出し鋭い良知が決定機を生み出した。

 だが、20分にMF後藤翔吾(磐田U-15)の左アーリークロスから良知が放った決定的な一撃も東京GK後藤がストップ。静岡はこぼれ球を山下が右足シュートを狙うも、後藤がキャッチして波状攻撃を許さない。

 東京はこの日、チームが掲げるボールを支配しながら前進することにチャレンジ。背後への意識も持ちながら、正確にボールを繋いで攻撃した。特にU-16日本代表候補MF佐藤龍之介(FC東京U-15むさし)が違いを見せるような動きでボールに多く絡み、またスケール感を感じさせるMF永野修都(FC東京U-15深川)の正確なサイドチェンジなどからサイド攻撃に持ち込んでいた。

 26分には敵陣での奪い返しからMF仲谷俊(千葉U-15)が左足シュート。だが、至近距離からの一撃を静岡GK藤崎蒼葉主将(藤枝東高)がストップする。互いにチャンスを作り合ったが、静岡CB渥美慶大(磐田U-15)や東京CB大石優生(三菱養和SC巣鴨ジュニアユース)らの好守もあって0-0で前半を折り返した。

 後半、互いにメンバーチェンジする中、東京が先制点を奪う。13分、落ち着いたプレーを見せていたU-16日本代表候補左SB柴田翔太郎主将(川崎F U-15)が縦に配球。3分前に投入されたばかりのMF知久陽輝(川崎F U-15)が切り返してカットインしようとしたところでファウルを受けてPKを獲得する。志願してキッカーを務めた知久が右足で決め、1-0とした。

 東京はその後もU-16日本代表候補MF半場朔人(東京Vジュニアユース)が佐藤とのコンビネーションからシュート。追加点を狙うと20分、左サイドから仕掛けて佐藤が柔らかい左足クロスを上げる。ファーへ抜けたボールを右SB小林健(東京Vジュニアユース)が右足で狙う。これをゴール前の半場がコースを変えてゴール。2-0と突き放した。

 静岡はこれがまだチームとして3試合目だったが、小長谷大作監督(島田高)は「守備のファーストディフェンスを決めて、その後の連動性であったり、攻撃のボールに合わせて全員が動く、止まった状態を作らなくてサポート体制をしっかり整えるというところが時間帯によっては出ていたかなと思っています」と内容について評価。敗れたものの、2点ビハインドからもチャンスを作り出していた。

 静岡はこれまで国体予選で一度も敗退したことがない。前回王者としてもプレッシャーのかかる予選が控えるが、小長谷監督は「これからの人生に繋がっていくような、勝負にこだわる中でサッカーを学んでいって欲しい」と期待した。

 ともにコロナ禍で、十分な準備ができていた訳ではない。その中で東京の小野寺監督は「東京都全体が協力的にやってくれているのはとても助かります」と、東京の各チームが精力的にトレセン活動に選手を派遣してくれることに感謝していた。この日、その成果も発揮して勝利したチームの目標は国体制覇。技術レベルの高い選手揃う世代が、「強い東京」を作り上げる。

(取材・文 吉田太郎)

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