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昨年記録した全国8強のその先へ。攻撃スタイル追求の岡山学芸館が瀬戸内に劇的勝利

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後半35+1分、岡山学芸館高MF田口裕真が決勝ゴール

[3.13 中国高校新人大会準々決勝 瀬戸内高 0-1 岡山学芸館高]

 第14回中国高校新人大会準々決勝が13日午前に行われ、ともに21年度のインターハイと選手権に出場した瀬戸内高(広島)と岡山学芸館高(岡山)が激突。後半アディショナルタイムにMF田口裕真(1年)が挙げた決勝点によって、岡山学芸館が1-0で勝った。

 21年、岡山3冠とインターハイで初の全国8強を成し遂げた岡山学芸館が、紙一重の勝負を制した。対戦した瀬戸内は21年、激戦区・広島県内で公式戦無敗。プリンスリーグ中国でもライバルとなる強敵との一戦はまるで“決勝戦”のような緊張感の高い戦いとなった。

 高原良明監督が「ウチは攻撃的なスタイルを貫きたいというのがあるんで、グループで侵入しての崩しのところの精度を上げていかないといけない。練習もそういうトレーニングしかやっていない。相手をどう剥がすか」という岡山学芸館に対し、瀬戸内もボールを大事にしながら相手の守りを剥がし、ゴールを目指すチームだ。

 岡山学芸館は10番MF山田蒼(2年)らが不在。その中でMF山河獅童(1年)が多く絡みながらボールを繋ぎ、田口裕、MF岡本温叶(2年)ら個でDFを打開できる選手たちがその力を幾度か示していたものの、回数を増やすことができない。前半23分にはこの試合で守備能力の高さに加え、局面を変えるフィードを見せていたCB井上斗嵩主将(2年)のロングキックでエースFW今井拓人(2年)が抜け出すが、シュートに持ち込むことができなかった。

 前半、よりボールを握っていたのは瀬戸内の方。4-3-3のアンカーに入ったU-17日本高校選抜候補MF江川楓(2年)が攻守の各局面で少しずつ違いを生み出す。ピッチを広く活用して攻めた瀬戸内は左のMF浦岡龍之介(2年)がドリブルで存在感。また、巧みにボールを引き出すU-17日本高校選抜候補FW澤田佳憲主将(2年)と江川をはじめとした技巧派たちがボールを正確に繋ぎながら相手にプレッシャーを掛ける。前半終了間際にはMF山口青(2年)の仕掛けから澤田が右足シュート。だが、これは岡山学芸館GK矢野晃(2年)が止め、0-0で前半を折り返した。

 前半は互いにやや重心が重くなり、チャレンジする回数を増やせなかった。だが、後半はともにゴールへの意識が高まり、チャンスを作り合う。7分、岡山学芸館はビルドアップが特長のCB平野大樹(1年)の縦パスを起点に今井が力強い突破。ゴール前のこぼれをFW田邉望(1年)が右足で狙ったが、瀬戸内GK大木泰季(2年)がビッグセーブで阻む。

 後半、落ち着いてボールを動かす時間を伸ばした岡山学芸館は、11分にも田邉のスルーパスから今井が左足一閃。直後の13分には瀬戸内MF浦岡が左サイドから一気に抜け出してGKと1対1となったが、今度は岡山学芸館GK矢野がビッグセーブで決定機を阻止する。

 瀬戸内は19分にも連続攻撃から交代出場MF望月春希(2年)がDFの背後を取ったが、再びGK矢野が立ちはだかる。高原監督が「完全にやられたのを止めてくれた。向上心も結構高いので。取り組みもGKの中で一生懸命さが目立ちますね」と評する守護神や、相手の攻撃を跳ね返し続けた井上、際の部分での動きが光るU-17日本高校選抜候補MF{木村匡吾}}(2年)らの踏ん張りで岡山学芸館は無失点を続けた。

 瀬戸内はチャンスの数を増やしていたものの、田中健二郎監督は「剥がしながら前進とか一個ズレていたときの修正力がまだ足りませんでしたね」と指摘。初先発の右SB山岡輝(1年)ら1年生3人が先発した最終ラインについて指揮官は「きょう頑張りましたね」と讃えていたものの、攻撃面に関しては厳しい評価だった。

 岡山学芸館は後半35分、田邉のスルーパスでポジションをSBから上げていた西川晃生(2年)が抜け出すが、瀬戸内SB川本琉聖(2年)がタックルで阻止。それでも直後のCKから決勝点が生まれる。岡山学芸館は交代出場左SB堀井遥斗(2年)の左足CKをニアの木村が頭でそらし、中央へ飛び込んだ田口裕が決勝ヘッド。強豪同士が強度高い相手の攻略、ゴールを目指し合う熱戦は岡山学芸館が勝利した。

 昨年、歴史を塗り替えた岡山学芸館だが、今年の目標はさらにその先へ行くことだ。井上は「その壁を超えるのが目標ですし、僕らはリーグ戦(プリンスリーグ中国)も優勝する気でいますし、去年の壁をもっと超えるのが目標です」。全国ベスト4、決勝へ進出するために、攻撃的なスタイルを追求。中国新人大会は準決勝で敗れて3位決定戦へ回ることになったが、少しでも多くの課題と自信を得て大会を終える。

(取材・文 吉田太郎)

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