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C大阪U-15時代のチームメイト・北野颯太の活躍も大きな刺激に。東山MF真田蓮司は「もっともっと」を追求し続ける

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東山高が見据える躍進のキーマン、MF真田蓮司

 高いレベルを体感したことで、目指すべき基準は上がり続けている。もっともっとやらなくては。もっともっとできるはず。自分への期待を自分自身に課し、さらに先の世界へと駆け抜けていくイメージを携えつつある。

「もっともっとプレースピードを上げたいですし、守備も攻撃もできる選手にならないとダメですし、自分で奪ってカウンターで点を決めることも大事で、自分にできることを増やしていかないと、まだまだの選手だなと思います」。

 勝負の1年を迎える東山高(京都)が誇るプレーメイカー。MF真田蓮司(2年=セレッソ大阪U-15出身)は“もっともっと”を今後の大きな伸びしろに繋げていく。

「自分のプレーの幅を広げてほしいので、この何試合かはあえてあのポジションをやらせています。本来やりたいところはボランチなんでしょうけど、彼がもっともっと良い選手になるための試練ですね」。そう笑うのはチームを率いる福重良一監督。青森山田高(青森)と選手権以来の“再会”となったTOKINOSUMIKA CHALLENGE。真田はボランチではなく、ほとんどフォワードに近い1.5列目気味の位置に配される。

「1個前でプレーすることで、自分のプレーの幅も広がると思いますし、先生にも『もっとゴールに関わる選手になってほしい』と言われているので、いかに攻撃で活躍できるかですね。『フォワードはこういうパスを欲しいのかな』というのが結構分かってきているので、次にボランチに戻った時にフォワードの気持ちも分かってできれば、自分の成長に繋がるんじゃないかなと思います」。もちろん起用の意図は理解済み。ただ、この日は相手の高い強度の守備を前に、なかなか攻撃の形を作り出せない。

 だが、3点をリードされた終盤に、一瞬でその才能を煌めかせる。こぼれ球を拾ったのは、まだゴールまで30メートル以上はある位置。それでも真田が躊躇なく打ち込んだ軌道は、GKの頭上を破ってゴールネットへ突き刺さる。「先生も良く『ドライブのシュートで思い切って狙えば入る』みたいな話をずっとしているので、それで思い切って打ったら入りました」。

 さらっと口にしたものの、まさに“ドライブシュート”を得点に結び付けてしまうセンスの高さ。「彼個人としては。単純に良いものを持っているので、持っているだけではダメで、良いものは生かさなあかんし、チームに還元できなあかんし、それがまだまだできていないですから」と指揮官は期待を厳しい言葉に滲ませるが、やはりスペシャルな力を有していることに疑いの余地はない。

 躍進した選手権後には、U-17日本高校選抜合宿に参加。同世代のタレントたちと、ピッチ上でしのぎを削ってきた。「自分と同じポジションの選手を見ていて、『まだまだ自分にはできていない部分があるな』と思いましたし、大学生と戦った時にはプレースピードも全然違ったので、そういう経験を少しずつ生かせているかなと思います。選手が集まってきたチームなので、合わない部分もある時に、自分1人で剥がせたりできる部分は自分はまだまだだと思いますし、守備の部分でボールを奪えそうなシーンでもまだまだ奪えなかったり、というのが多かったですね」。

「高橋隆大(静岡学園高)はもともとガンバとセレッソで知っていたというのもあったんですけど、結構みんなと仲良くなりました。ああいう場所は好きですね」。少なくない収穫をチームに持ち帰り、日常からさらに上を目指してトレーニングを重ねていく。

 さらに刺激を受けているのは、C大阪U-15時代のチームメイトがJリーグの舞台で続けている活躍だ。「北野颯太とは結構LINEしてます。ずっと仲良くて、同じチームの頃は2人組とかでも一緒にやっていたんですけど、いきなりJ1の舞台でやれているのを見て、素直に凄いと思いますし、自分も良い刺激を持って日頃からやっています。負けたくないですね」。

 裏を返せば、周囲にはそういうレベルの選手がいる道のりを、真田も歩んできているということ。負けたくない、負けられないライバルの存在が、自身の成長にとっても大きな糧になる。

 2021年度はインターハイ、選手権ともに全国8強というステージを体感した。その時のメンバーも複数残っている今年のチームで、グループとしても、自身としても目線は確実に上がっている。「チームとしてはインターハイと選手権で全国優勝という目標を掲げているので、公式戦で負けないチームにしたいですね。個人としては高校選抜に入ったんですけど、年代別代表に入って、もう1つ上のステージでやりたいというのが目標です」。

 まだまだ本当の勝負はこれから。東山にとっても、真田にとっても、2022年はネクストステージへと足を踏み入れるための大切な時間に、必ずなっていくはずだ。

(取材・文 土屋雅史)

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