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掴み始めた飛躍への“タイミング”。指揮官も成長を認める名古屋U-18DF長田涼平、絶賛成長中

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名古屋グランパスU-18の成長株、DF長田涼平

 サッカー選手には、きっと逃してはいけない“タイミング”というものがある。素晴らしい環境と、素晴らしい仲間に囲まれた中で、地道に積み上げてきた1年間を経て挑む2022年は、きっとその時。必ず飛躍の年にしてみせる。

「今年の1年は『自分がチームを勝たせる存在になる』というのが大きな目標で、自分がそういう存在になれれば、プレミアでも勝利は付いてくると思いますし、チームで目標にしている『プレミアファイナルで勝つ』というところにも近付くので、そこを目指してこれから努力していきたいと思います」。

 コーチングスタッフ陣も期待を寄せる注目株。名古屋グランパスU-18(愛知)の最終ラインに台頭してきた16歳。DF長田涼平(1年=刈谷JY出身)、絶賛成長中。

 2日間のスケジュールが組まれた2022プーマカップ群馬。その初日の帝京高(東京)戦で、サイドバックとして起用された長田は明確な“結果”を残してみせる。「ボランチの選手が2列目から飛び出した時に、自分はサイドをオーバーラップするか、内側を取るかで迷って、その時にボランチの選手が外に運んだので、自分は中でクロスに合わせるように走り込んで、フォワードの選手が前で潰れてくれたので、ゴールを決めることができました」。

 実はこれがU-18に加入してから、Aチームでの対外試合では初めてのゴールだったという。「嬉しかったですけど、中学校の時から後ろの選手をやっていたので、得点を決める機会がなくて、喜び方があまりよくわからなかったです(笑)。でも、自信になりましたね。コーチからも『攻撃の時は出ていけ』と言われていたので、そこで特徴のスピードを出せたので良かったです」。そう話しながら、浮かべた笑顔が初々しい。

 今回の遠征でも、サイドバックとセンターバックを務めている。「サイドバックの時は裏への抜け出しだったり、1対1でスピードを生かして突破することを考えていますし、センターバックの時は自分で持ち運んでフォワードの選手に当てたり、サイドバックに高い位置を取らせて、有利な状況を作るというのが得意なプレーです」。どちらのポジションでも攻撃への意識が滲む言葉に、アグレッシブなプレースタイルが透けて見える。

 1年生だった昨シーズンは、多くの頼りになる先輩から刺激をもらっていた。「攻撃だったらヒデくん(甲田英將)がいて、守備だったらハルキくん(吉田温紀)もいて、各ポジションに見習うべき選手がいっぱいいたことで、自分にとっても大きな成長の時間になりましたし、人間的にも玄くん(加藤玄)やハヤトくん(真鍋隼虎)はチームを引っ張っていて、そういうところも自分にとってプラスになりました」。

 特に昨シーズンのキャプテンからは、プレー面でも大いに参考になる部分を吸収していた。「センターバックとしてはやっぱり玄くんを見習っていて、相手のプレスの1枚目を自分で運んで外すところは、凄く参考になりました」。Aチームでの試合出場はなかなか叶わなかったものの、日常から積み重ねるものの大切さを、先輩の背中から大いに学んだようだ。

 中学時代は同じ愛知県の刈谷JYに所属。もともと進路はJリーグの下部組織を希望していた中で、その存在が“レジェンド”の目に留まった。

「自分たちの練習にスカウトの中村直志さんが来てくださって、そこで声を掛けてもらったんです。遠くからコーチたちが直志さんと話していて、『誰だろう?』と思っていたら名前を呼ばれて、その時にグランパスの方だと知って嬉しかったですね(笑)。そのあとにグランパスの練習に行かせてもらって、そこで自分のプレーが出せたので入れました」。

 そのグランパスで貴重な時間を積み重ねる中、自分の目指していくべき場所も明確にその視界に捉えつつある。「ここに入れたのは大きな自信になりましたけど、入ってからが勝負なので、今からまたどんどん実力を伸ばして、トップ昇格を目指してやっていきたいと思います」。そのためにも2年生となる今シーズンは、間違いなく大事な1年になる。

 チームを率いる古賀聡監督も、今回の群馬遠征で見せた長田のパフォーマンスには、確かな評価を口にしていた。「古賀さんは自分たちに良い影響を与えてくれていて、能動的に自分たちが攻守において動き続けることを掲げている中で、自分たちに本気で伝えようとしてくれているので、自分も行動に移せるようにしたいと思います」。熱い指揮官の信頼をより勝ち獲るために、今まで以上に真摯な姿勢で日々のトレーニングへ向かっていく。

 掴みつつある“タイミング”を、自らの努力で引き寄せられるか否か。成長著しい長田のこれからに、チームのさらなる躍進が懸かっている。

(取材・文 土屋雅史)

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