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“レイソルアカデミー”日体大柏でプレー認められ、柏U-18へ転籍。FW関富貫太は成長加速させてプロへ

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柏レイソルU-18からプロ入りを目指すFW関富貫太

[3.19 サニックス杯予選リーグ 柏U-18 4-0 米子北高 グローバルアリーナ]

 19日に行われたサニックス杯ユースサッカー大会2022の3日目で、目を惹いたのは柏レイソルU-18の右ウイングを務めたレフティーのFW関富貫太(1年)。予選リーグの第4節・米子北高(鳥取)戦では技術とスピードを活かしたドリブルで相手DFを翻弄しつつ、右サイドを駆け上がるDF根引翔大(1年)の攻撃参加を巧みに引き出した。

 スタメンで出た3トップのうち1人だけゴールが奪えなかったが、彼を起点とした攻撃も多く、大勝の立役者となった関富は、異色の経歴の持ち主だ。柏レイソルと日体大柏は2015年にアカデミー選手育成の相互支援契約を締結。柏U-18の全選手が同校に在籍して教育支援を受ける一方、日体大柏をレイソルアカデミーの一つとして扱い、週に数回日立台の練習グラウンドでのトレーニングを行っている。今年からトップチームに加入したMF土屋巧は取り組みの成果だ。

 契約を結んだ当初から、日体大柏で活躍した選手が柏U-18に移る構想を温めていたが、実際に転籍したのは2016年度のGK斎藤光樹(昨年度まで江戸川大でプレー)のみだった。2人目となった関富は中学3年生の時に、柏U-18と日体大柏が合同で行うセレクションに参加。そこでのプレーが、当時日体大柏の指揮を執っていた酒井直樹監督の目に留まった。柏U-18への加入も検討されたが、U-15から昇格するアタッカーが多かったため、日体大柏への加入が決まったという。

 これまで目立った関富の経歴は小学生時代の市トレのみ。中学時代は神奈川県相模原市にあるファサネイトという立ち上がったばかりのチームでプレーしていたため、県4部でしかプレー経験がない無名の存在だったが、実力は確かだ。

 入学前から日体大柏のAチームに食い込み、夏には途中出場となったデビュー戦でゴールをマーク。そこから一気にスタメンの座を勝ち取った。成長ぶりを間近で見ていた酒井監督は夏に柏U-18の練習へと呼び寄せた。そして、今年1月の2度目の練習参加を経て、柏U-18への加入を打診した。

 関富は昨年度の選手権予選で、出場機会を得られず流通経済大柏高に敗れた悔しさもあり、日体大柏に残ってリベンジしたいとの想いもあった。だが、「自分がなぜ日体大柏に入ったかを考えた時に、選手権に出るためではなく、プロの道に進みたいからだった。柏U-18にはそのチャンスがあり、プロに近い環境もある。プレミアリーグという高校年代トップレベルの舞台を体感してみたい気持ちもあった」(関富)と転籍を決断した。

 1月から柏U-18での活動を続けてきたとはいえ、コロナ禍で対外試合はできなかった。今大会が初めての実戦だったため、全ての力を出し切れたとは言い難い。「スタートで出られるぐらいの力はあるし、まだまだ力が出せる」と酒井監督は期待を寄せる。

 日体大柏のエースと言える選手を転籍させるのは柏U-18としても覚悟が必要で、プロになれる可能性がある選手と踏んでいるからだ。関富自身も柏U-18でプレーする意味を理解し、覚悟を決めている。「高卒でプロになるつもりで、酒井さんも呼んでくれたと思っている。今年1年でもっと成長して、プレミアリーグに出たいし、高校3年生ではチームの中心になっていきたい」。FW逢坂スィナ(2年)、山本桜大(2年)を筆頭に世代別代表候補の経験者が多く、Aチームで出場を得るのは簡単でない。ただ、そうした競争に飛び込む勇気は、今後も彼の成長を後押しするのは間違いないだろう。

(取材・文 森田将義)

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