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[イギョラ杯]FKも任される198cmの“二刀流”CB&CF。日大藤沢DF森重陽介が目指すのはファン・ダイク+ハーランドのハイブリッド

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198cmの“二刀流”CB&CF、日大藤沢高DF森重陽介

[3.19 イギョラ杯 成立学園高 2-1 日大藤沢高 東京朝鮮高G]

 ピッチのどこにいたとしても一目でわかる存在感は、規格外の長身によるものだけではない。スピードも、テクニックも、そして身体の強さも水準以上。それは最後方にいたとしても、最前線にいたとしても。

「どっちをやりたいとかはないですけど、センターバックだったらロングフィードだったり競り合いだったりが長所で、フォワードだったら得点や前でのポストプレーが得意なので、どちらも監督に言われたポジションで、しっかり結果が残せる選手になりたいです」。

 198cmの圧倒的な高さを誇る、ハイレベルな“二刀流”の使い手。日大藤沢高(神奈川)の攻めて守れるナイスガイ、DF森重陽介(2年=東京ヴェルディジュニアユース出身)の将来には大きな夢と希望が詰まっている。

 成立学園高(東京)と対峙した大会初戦。日大藤沢の最終ラインには、周囲より頭2つ分ぐらい飛び抜けて大きいCBがそびえ立つ。「今は198センチあります。高校に入って6センチぐらい伸びました。もうたぶん止まってますね。中学の頃はなかなかうまく動けなかったりしたんですけど、高校に入ってアジリティもやり始めて、今は結構動けます」。確かに重心の移動もスムーズ。後ろからビルドアップを組み立てる際も、きっちりボールを引き出し、丁寧にパスを繋いでいく。

 CBでコンビを組むのは、U-17日本代表候補にも選出されているDFアッパ勇輝(2年)。「アッパは突っ込むのが得意なので、そのカバーの意識は持っていますし、自分も競り合いは強いので、お互いが被らないように声を掛け合いながらやっています」。アッパと森重という個性の異なる2人のバランスは、見ていて非常に面白いし、頼もしい。

 ところが、1点を追う後半開始からは森重のポジションが最前線へ変わる。「去年はスタメンでフォワードだったんですけど、今はスタートでセンターバックをやって、後半の途中からフォワードというのが多いです」とは本人。まさに“二刀流”。今度はフォワードの位置で基点作りに奔走する。

 日大藤沢に訪れたセットプレーのチャンス。ゴールまでは25m弱の距離。直接狙える位置でのFKに、スポットに立ったのは森重だった。「自分としてはニアに蹴るような助走をして、ファーに流そうと思ったんてすけど、身体が反ってしまって、浮いちゃいました」というキックは枠の上へ外れたものの、「フリーキックは去年からキッカーをやっていて得意なので、それもゴールを獲れるようにもっと練習したいと思います」とさらり。やはりこの男、高さだけではない。

 加えてゴールに対しても、こだわりがあるという。「自分はみんなで崩してゴールを獲りたいタイプなので、後ろから見えているものをちゃんと伝えるというのを意識して、これからもやっていきたいです」。そのメンタルは中学時代に在籍していた東京ヴェルディにも、起因するところがあるようだ。

 当時のチームメイトたちの活躍も、森重にとっては大いに刺激になっている。「帝京長岡の桑原(航太)は選手権でも活躍していますし、帝京の押川(優希)も1年から試合に出ていて、その頃はまだ自分は試合に出ていなかったので、その刺激があったからこそ練習にも励めましたし、今年は高校最後の年なので、何としても選手権に出て、ユースに上がったヤツらもそうですし、高体連に行ったヤツらも追い越せるようにと思っています」。意識する旧友たちに負けたくない気持ちが、今の自分を突き動かす原動力になっている。

 参考にしている選手を問うと、2パターンの答えが返ってくる。「センターバックだったら守備はファン・ダイクを参考にしていて、攻撃面ではどこでもパスを出せるような感じでラポルトみたいなキックを蹴りたいですし、フォワードだったらハーランドやレバンドフスキを目標にしていますね。試合前にも動画を見たりして、イメージトレーニングしてから試合に入るというのが多いです。なんでもできる選手になりたいてす」。いわばファン・ダイク+ハーランドのハイブリッド。確かに最強の目標だ。

 今年は日大藤沢で過ごすラストイヤー。未来を切り拓く意味でも、重要な1年であることは間違いない。「個人としては高卒プロを狙っているので、そこを目標にしつつ、年代別代表にも入れるようにしたいです。チームとしては神奈川県でまず関東大会予選優勝とインターハイ優勝を獲って、最後はみんなで選手権優勝を獲りに行きたいと思います」。

 跳べて、蹴れて、走れて、当たれるセンターバックであり、センターフォワード。198cmの体躯に無限の可能性を秘めた森重の今後には、大いに注視していく必要がありそうだ。

(取材・文 土屋雅史)

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