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[イギョラ杯]成長著しいスピードスターの煌めき。神戸弘陵FW馬場悠平が今まで以上に力強く踏み込む加速スイッチ

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神戸弘陵高のスピードスター、FW馬場悠平

[3.19 イギョラ杯 神戸弘陵高 4-2 流通経済大柏高 東京朝鮮高G]

 そのスピードと得点感覚には非凡なものがあることに、疑いの余地はない。あとはハッキリとした特徴を生かしつつ、他のレベルをさらに高めていくことで、より見えてくるものがあるはずだ。チームを率いる谷純一監督も、期待を込めてこう評価を口にする。

「今は春先からグッと伸びつつある選手ですね。昔は速い選手にありがちなオフサイドが多かったんてすけど(笑)、サッカーIQは高いので、どのタイミングで動けばいいかというコツはだいぶん掴んできていて、新人戦でも1つ下の学年ですけど優秀選手に入ったりしているので、ケガなくコンスタントに、このまま右肩上がりで成長してほしいなあと」。

 兵庫の名門に芽吹きつつある新たなタレント。神戸弘陵高(兵庫)で育まれているスピードスター。FW馬場悠平(1年=エベイユFC神戸出身)の才能がキラリと輝いた。

 イギョラ杯のオープニングマッチ。完全アウェイの雰囲気で臨んだ東京朝鮮高(東京)との一戦は、前半に先制したものの、後半にセットプレーから同点に追い付かれる。嫌な空気が流れる中、それを打破したのが馬場のゴール。結果的にこれが決勝点となり、白星で大会をスタートさせる。

 勢いを持って挑んだ流通経済大柏高(千葉)との2試合目。再び先制を許す展開を強いられたが、ここでも1年生アタッカーが得点感覚を発揮する。MF村井陸斗(2年)が右へ振り分け、MF谷倫太朗(2年)が丁寧に中へ入れたボールを、馬場はトラップでコントロールしながら右足一閃。GKをかすめたボールは、左スミのゴールネットへ突き刺さる。



「倫太朗くんが運んできてくれて、相手に当たってちょっとバウンドしていたので、ワンタッチでも打てましたけど、自分でトラップしてボールを整えて、相手のキーパーに触られないぐらいのタッチにして、浮かせて決めました。嬉しかったです」。冷静な判断と、思い切りの良さが生み出した同点ゴール。チームは一気に勢い付く。

 これだけでは終わらない。同点から4分後。左サイドをドリブルで切り裂いた馬場の折り返しに、MF谷内口力希斗(2年)がきっちりゴールへ流し込み、一気に逆転。さらに後半に入ってもう1点を追加すると、終盤には左から馬場が上げたクロスに村井がヘディングで合わせ、チーム4点目を記録。「フォワードとして1試合1点ずつ決めることができて、流経戦は2アシストもできて、得点に絡めたことは良かったと思います」と笑った馬場の活躍で、チームは2連勝と幸先良く初日を終えることになる。

 1年生だった昨シーズンは『関西U-16~Groeien~』で6試合6得点と活躍を見せ、トップチーム入りも果たした。「弘陵に入って、また新しい気持ちで挑んだ1年で、自分は正直そんなに上手くない選手だと思っているんですけど、意外と『Groeien』で点を決められたことで手応えは感じて、トップチームの練習にも参加させてもらえました。その先輩たちが本当に上手かったので、そこで凄く揉まれて、成長できたかなと思います」。

 中でも昨年のチームを牽引した田中祉同(3年)からは、学ぶべき部分が多かったようだ。「シュートがメチャメチャ上手いです。完璧ですね。あの上手さは見習いたいです」。昨年11月のプリンスリーグ関西プレーオフでは出場機会を勝ち獲り、改めて自分の立ち位置を見直す契機となった。

「スピードは関西でもトップクラスで、技術のところはウチに来てだいぶん止める蹴るの質が上がってきましたね。前線で収めるのは苦手やったんですけど、ボールを収められるようになって、今度ははたいてゴール前に入るということが出てきたので、崩しながらも点を獲れるし、カウンターの基点にもなれる選手です」と評価するのは谷監督。その口調からも期待の大きさが窺える。

 優勝を果たした新人戦では大会優秀選手に選出されたものの、自身の出来にはあまり納得がいっていないようだ。「スピードは全然通用しましたけど、準決勝のタキニ(滝川二高)戦で1点決めた以外は3試合に出て1点だけしか獲れていないので、そこは納得していないです」。やはり気質はフォワードのそれ。ゴールを何よりも渇望しているメンタルが頼もしい。

「2年生の間に全国大会に出て活躍したいと思っています。全国に出て、点を決めることは目標で、チームとしては選手権やったらベスト8が超えられていないので、そこは超えたいと思います。その先はやっぱり日本代表が目標なので、日本を代表するようなフォワードになりたいです」。

 希望は大きく。夢は大きく。バルセロナのオーバメヤンを参考にしている神戸弘陵のスピードスターが、自らの戦うステージをさらに高いものへと押し上げるため、加速スイッチを今まで以上に力強く踏み込んでいく。

(取材・文 土屋雅史)

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