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[船橋招待U-18大会]頼れる頑張り屋の日本一宣言。市立船橋MF高橋悠真の献身は仲間も自分も輝かせる

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市立船橋高MF高橋悠真はようやく決めたゴールに破顔一笑!

[3.27 船橋招待U-18大会 市立船橋高 3-0 桐光学園高]

 ゴールが決まった瞬間の笑顔が、とにかく印象的だった。走って、走って、チームメイトのために3日間走り続けた、最後の最後の試合でようやく手にした結果。これだけ頑張れるヤツは、これぐらい報われて然るべきだ。

「結果もまったく残せていなかったのに、ずっと同じポジションをやらせてもらっていて、『自分は何ができるんだろう?』と考えていたんですけど、今までのサイドバックと違って、今は前の選手ですし、『やっぱり結果にこだわらないといけないな』と思っていたので、これからもっと積み上げないといけないなとは思ったんですけど、ゴールが決まって、素直に嬉しい気持ちはありました」。

 市立船橋高(千葉)が誇るハードワーカーにして、真面目な仕事人。MF高橋悠真(新3年=Wings U-15出身)の献身的な姿勢は、必ずやこのグループをより一層輝かせていくに違いない。

 決定機を外した8番は、思わず頭を抱えた。船橋招待U-18大会2日目。難敵の静岡学園高(静岡)とのゲーム。1-1で迎えた後半に、ビッグチャンスが高橋に訪れる。高い位置で引っ掛けた流れから、うまくラインの裏へ抜け出し、GKと1対1のシチュエーションが訪れた。

「後ろを確認した時に、まだディフェンスと距離があったんですけど、自分はあまりスピードがないので、少し運んだ時点で『ディフェンスに追い付かれてしまうかな』と感じてしまって、焦らなくていい場面なのに無駄に焦ってしまって……。『寄せられて打ち切れなくなるよりは、良い状態で打ち切ろうかな』と思って、自分は左利きなんですけど、最近は自主練で右足のシュートが当たっていたので、そのまま右で強く振り切って『ファーに強めのシュートを打ちたいな』と思ったのに、ちょっと焦ってしまったのか、空振りみたいな感じで変なところに当たって、弱い浮いたボールになってしまって……」。

 軌道は大きく枠の上に消えていく。試合はその後に静岡学園に勝ち越され、1-2の敗戦。「あのシーンはまだ1-1で、自分が決め切っていれば流れも来ましたし、守備全体でも士気を上げられて、守り切れて、勝ち切れた可能性も十分にあったので、あの試合の結果は自分のせいなのかなと感じてしまって、結構落ち込んだんです」。真面目な高橋の心中は察して余りある。

 雪辱を期す大会最終日の1試合目、帝京長岡高(新潟)戦は途中出場ながら、シュートチャンスはゼロ。そしてラストゲームの桐光学園高(神奈川)戦では右サイドハーフのスタメンとして、走り慣れたグラスポのピッチに解き放たれる。

 前半5分にはFW青垣翔(新3年)の左クロスから、枠内シュートを放つも相手GKがファインセーブで応酬。それでも、折れずに次の機会を窺い続けると、22分に再び決定的なチャンスが高橋へ巡ってくる。

 左サイドからMF森駿人(新2年)の放ったシュートは、GKが懸命にセーブ。こぼれたボールが目の前に転がってくる。「昨日のことは切り替えようと思って、今日の試合に臨んでいたので、『来たー!』って感じでしたね」。丁寧に蹴り込んだボールが、ゴールネットを揺らす。その直後。高橋とチームメイトは歓喜の笑顔に包まれた。

 中学時代から去年までは左サイドバック1本で勝負してきたが、代が変わった今年からは新境地を開拓しているという。「今は右サイドハーフをやっているんですけど、自分はとにかく運動量を売りにしていて、右の裏でも左の裏でも、中央に落ちても、とにかく攻守でボールに関わるということを個人では凄く意識していてプレーしています。ただ、その関わりはできたとしても、静学戦では守備でまったく対応できなかったり、大チャンスがせっかく来たのに決め切れないとか、まだまだ突き詰められていないところが自分の中にあったので、そういうところにもこだわっていったら、また他の相手にも通用する選手になれるかなと思いましたし、もっと自主練で足元の技術を鍛えたり、本当に1本のパス、ドリブルにこだわって練習していきたいなと思いました」。熱くて、真面目。実はこういう選手が最も指揮官に信頼されるタイプ。なぜならどんなに苦しい時でも、絶対に仲間を裏切ることはしないからだ。

 そんな男が、高校最後の1年に懸ける想いを問われると、より強い口調で決意を紡いだ。「小さい頃から『とにかく出たい』という憧れの想いで選手権を見てきましたし、全国でも強豪であるこの市船には、全国優勝するために入ってきたと言っても過言ではないので、チームとしても個人としてもしっかり結果を残して、日本一を獲りたいなと思います」。

 頼れる頑張り屋の日本一宣言。走る男であり、戦う男。きっと苦しい試合こそ、苦しい時間帯こそ、高橋の姿が市立船橋に圧倒的な勇気と活力をもたらしていくことに、疑いの余地はない。



(取材・文 土屋雅史)

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