beacon

個性派揃いで“昔の流経大柏”の香り持つ世代。新主将のSB大川佳風「もっと良い風に変えていきたい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

新生・流通経済大柏高のチームリーダー、日本高校選抜DF大川佳風主将

 高校年代最高峰のリーグ戦、「高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2021」が2日に開幕する。千葉の名門、流通経済大柏高はプレミアリーグEASTに参戦(初戦は延期され、4月10日の川崎U-18戦)。13年以来となるリーグ制覇とプレミアリーグファイナル優勝、そしてインターハイ、選手権との3冠を目指す。
 
 今年は開幕前から強さを示し、“兄貴分”の流通経済大Aチームと実施した練習試合を2-0で快勝。注目世代の主将を務めるのは、下級生時からレギュラーのDF大川佳風(新3年=FC多摩ジュニアユース出身)だ。抜群のスピードを活かしたオーバーラップやクロスなど攻撃性能の高さに加え、守備力も高まってきたSBの目標は高卒プロ。昨年はU-17とU-18日本代表候補、今年は日本高校選抜にも選出されている注目DFは、チームリーダーとして「強い流経を取り戻す」ことへ強い思いも持つ。その大川に新シーズンへの意気込みなどを聞いた。

●DF大川佳風
―流経大のトップチームとの練習試合を2-0で勝利した。
「ここ最近、自分は(高校選抜の活動参加のため、)チームの流れが分からなかったのですが、帰ってきて昨日のリカバリーがてらの時間も雰囲気が良かったです。仕上がって来ていると思うんですけれども、要所要所足りない所があると思うので、それをプレミア前に締めて行けたら良い」

―今年は個性的な選手が多く、『昔の流経』っぽい、と言われているチーム。
「新チーム始まる前から『昔の流経』って言われているんですけれども、ちゃんとマジメにやっています。本当にマジメにはできないですけれども(微笑)、みんなひたむきにできるので、それを良い風に持って行けたら良いなと自分はずっと思っていました。やんちゃなやつばかりですけれども、楽しいので、これをもっと良い風に変えていきたい」

―良くなっている手応えがある。
「戦術的な理解度は増えてきたし、やれることは増えてきているので良いんですけれども、私生活とかサッカーのピッチ外のところでももうちょっとみんなで意識高くやっていかないと、自分たちトップなんで、チームを引っ張っていく立場なんで、もうちょっとやっていきたいです」

―去年も強いチームだったが、それ以上を本気で目指している。
「選手権の近和歌(近大和歌山)戦で負けた時、個人的にめちゃくちゃ悔しかったので、個人としてもそうですけれども、チームとしてスタンドで見ていたやつがほとんどなので、出たいという気持ちがもう出ているので、3冠という夢に向けて細部にこだわってやっている気はします」

―強い流経を取り戻す。
「ここ2年の流経を見ていると、(結果が)だんだん下がっている雰囲気があるので、でも一個上の渋谷(諒太)とか田口(空我)とかは学ぶことが本当に多くて、吸収しつつ、自分たちの良いものは発揮して、今年もっともっと強くならないといけないと思います」

―昨年は決定力の部分で苦しんだ。
「決定力は去年よりはあるかなと思うんですけれども、細かいところですね。(課題は)言ったら切りがない。勝つということは今、続けられているけれど、内容でも勝つということがまだそんなにできていないです」

―大川選手は下級生からレギュラー。流経への思い入れも強い。
「2年の時から出させてもらっていて、他の人よりも経験していると自分でも思っているので、この経験をどう発信できるかというのが、このチームがもっと上に行けるかどうかにかかってくると思っています」

―今年はキャプテン。声で鼓舞するイメージは無かった。
「そうなんですよ。自分もそういうキャラじゃなかったんですけれども……。中学まではキャプテンを支えながらも自分のやるべきことをやって、勝たせるというのが自分の役割でした。でも、去年から、2年から出させてもらっているというのがあるんですけれども、そこで自分がもっと先頭に立ってやらないといけない。この(世代の)チームにはキャプテンという立場の人間がいなかったので、自分がやっていかないといけない」

―以前は喋る感じではなかった?
「でも、喋ることは本当に増えてきました。年上の人にも喋っていかないと、プロでもやって行くことができないので」

―ピッチ外でも、成長する一年に。
「そうですね。ピッチ外も成長しないとプロにはなれないので」

―100数十人の部員をまとめなければならない。
「いや、渋谷だったらまとめられると思うんですけれども……。でも、サッカーとかの面では結果をトップが出せば自ずと下も食いついてくるので、サッカーの面でもっと先頭に立っていけたらいいと思います」

―SBのキャプテン。どうチームを引っ張っていく?
「SBでキャプテンというのは自分の中でそんなにイメージがなくて、プレーで引っ張るのが一番ですけれども、喋ってとか、チームの雰囲気を良くするというのは大事なので。一番は結果を残すことですね、この一年は」

―攻撃的SBから守備も強いSBへ進化した。
「1年、2年と成長して攻撃面での成長はあったんですけれども、守備の課題が多すぎて、以前からエノさん(榎本雅大監督)や(斉藤)礼音コーチからも何回も言われていたんですけれども、特にこの2、3か月くらいで自分に寄り添ってくれて気になることをすぐ言ってくれるので、改善できたし、攻撃面は自分のやることなので。そこはもっともっと追求してやっていきたい」

―守備は何から変えた?
「まずは立ち位置を変えました。自分、攻撃が好き過ぎて、前行っちゃって自分のスペースを開けるというのが多かったので、攻から守が遅くて、それを自分の課題としてやってきて、その中で自分の立ち位置だったり、守備で試合を作ったり、数的優位を作ったりというのを学んだので、ちょっとやりやすくなったと思います」

―攻撃面では、より結果を。
「1チャンスをものにしなければいけないので、FWが点を取りやすいようにクロスの質を上げるだけかなと思います」

―デンチャレではU-20全日本選抜のSBをちぎっていた。
「スピードには自信があったので、でも抜けるとは思っていなかったですね」

―縦に抜けて、さらに斜めへというシーンはこれまであまり印象になかったが。
「去年の流経の最後の選手権とか、ポケットに入る練習をすごくしていて、そこでクロスを上げるかなと思ったところでもう一個えぐることで相手が食いついてきたり、マイナスが空いてきたりするので。そこは厳しく削られるかもしれないですけれども、えぐってPKもらえたりもするのでプラスかなと思います。(個人戦術として)自分の良いところをチームの戦術含めて出せるようになってきました」

―昨年、Jクラブへ練習参加しているが、今行けばまた違うことができる。
「学ぶことが多くて、去年は成長しかしていないんですけれども、一番はデンソー(カップチャレンジ)の経験が大きいですね。これまで、大学生と毎日試合をするということがなかったので。自分はプロのレベルを感じたことがあるので、それは活きたかなと思ったんですけれども、大学サッカーもレベルが高くてやれること、やれないことがはっきりと分かりました。(最近では)一番成長した活動だったと思います」

―デンチャレでヤバい、と思った選手はいる?
「早稲田の全日本選抜の17番の植村(洋斗)さん。日藤から行った。周りも見えるし、ドリブルも行けるし。自分がSBで守備しているときにサイド来るかなと思ったところで逆取られたり、本当に凄かったです」

―争奪戦になるくらいの選手になってプロへ。
「プロに行くとずっと思っているので。大学に行くことも考えていないことはないですけれども、プロに行くことがまず一番なので。大学考えてプロとか言っていたらそのうち終わっちゃうので、口に出して『プロに行く』と思って行きます」

―高校選抜でチームメートの大迫塁選手は先にプロ内定。
「羨ましいし、正直悔しいというか。(大迫は)もう行っているのに、自分置いて行かれているなとかあるので。今回の選抜の活動でも年上の相手でもやれることはできたんですけれども、プロに行っている人とかと一緒にやってまだこのレベルじゃ足りないと思いましたし、この一年が大切だなと思います」

―U-19代表にも入っていく。
「同年代の選手の活躍は刺激になっているので、(U-19代表、神村学園FW福田)師王はドイツに行っちゃったりもしているので、本当に置いて行かれていると思います」

―去年は、それに対して悔しいと思うまで行っていなかった。そう思えるようになったことも変化。
「(昨年、)17の代表に入った時も大学生とやって、できて、18も呼んでもらって、18の代表で何もできなかったので、大学生相手でも、味方でも。本当にそこから変わろうとしたので、この間(昨秋)の17の高校選抜に入って、(今年は)18の方も呼んでもらって嬉しいですけれども、プロに行くという目標は変わっていないです」

―間もなくプレミアリーグが開幕。昨年は青森山田が3冠。不可能じゃないということが証明された。
「山田がやったからには自分たちがやらないといけないので、本当に一番のライバル校だと思っているので、山田には絶対に負けたくないですし、高校年代全部負けたくはないですけれども、3冠やっているやつらに勝つということは一番のモチベーションになるし、ユースもそうですけれども高体連で負けたらダメだと思います」

―常にどこ相手でも勝つ。
「去年は波が結構ありました。高校年代(のレベルを)相手にしていたらダメだと思う。大学やプロのレベルでやっていかないと、個人としてもプロに行けないなと思います。もっとレベルを上げていかないといけない」

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2022特集

TOP