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青森山田の新エースFW小湊絆、流れ変えるゴールで10番アピール

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後半34分、青森山田高FW小湊絆が右足PKを決める

[4.3 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 市立船橋高 0-2 青森山田高 グラスポ]

 新エースはゴールを確認すると、ウォーミングアップエリアにいたチームメートたちの下へ駆け寄り、跳躍。そして仲間たちからの抱擁を受けると、ユニフォームの「10」を指さして「山田の10番はオレだ」とアピールしていた。

 青森山田高FW小湊絆(3年=横浜FCジュニアユース出身)は、10番の自覚をプレーで表現した。前半2分に右サイドで浮き球を収めると、そのまま一人で持ち込んで右足シュート。また、前半15分には左ロングスローで競り勝ち、先制点をアシストしている。

 なかなかボールが落ち着かない状況でも小湊はボールを収めてキープ。一人でボールを前進させ、ゴール前のシーンを作り出していた。ボールを保持される時間が増える中でも相手の脅威に。また鋭い抜け出しで相手を引っくり返したほか、セットプレーのターゲットとしても役割を果たしていた。

 そして、1-0で迎えた後半34分には巧みな胸コントロールから、相手CBと入れ替わってPK獲得。3月のサニックスカップで2度PKを外しているストライカーは、「結構恐怖症になりかけていたんですけれども……」と明かす。それでも、自分のキックフォームを見直し、改善してきた成果を発揮。右足シュートをゴールへ流し込み、「結果に繋がって良かったです」と喜んだ。

 市立船橋高の反撃を受ける中で決めた貴重な1点。「自分がシュートまで持っていければ、攻められていた時間とかだったら、簡単に流れなんか変わりますし、(自分は)重要な役割を果たすべきポジションなので、流れとか持っていけるようにしたい」と語るように、小湊は10番として流れを変えるプレーへのこだわりを口にする。

 その言葉通り、勝敗の行方を大きく傾けるPK獲得とゴール。小湊は「1点差で結構押し込まれていた時間帯が続いていたので、そういった意味ではゴールでバック陣を楽にできたかなと思っています」と微笑。エースは昨年度からの変化も示した。

 得意とする裏抜けに加え、技術力、しなやかさを備える小湊はストライカー、ポストプレーヤーとしても有能。味方を活用する動きも光る。だが、昨年は黒田剛監督からプレーの軽さを指摘され、先発を勝ち取ることができなかった。選手権では3ゴールと活躍したものの、悔しい1年に。「自分の学年になって改善して、絶対に監督に言われないようにしていきたい」と語るFWはこの日、無理が利くところも示してチームを攻守で引っ張った。

 その小湊について、黒田監督は「アイツがいないと、どうしようもならない。競り合いもそうだし、前でのキープ力もそう。彼がチームの中心となってくるだろうし、攻撃の中心になってくる。その自覚を持って守備もそうだけど、前でしっかり時間を作れる選手だったり、または決定的な1本中1本を決めて勝利をもたらせる選手になること。そういう責任を感じながら1年間頑張って欲しい」と期待した。

 覚悟を持って臨んでいる新シーズン。小湊は偉大な前10番、MF松木玖生(現FC東京)からのアドバイスに対し、「結構気にしてくれているのでありがたいです」と感謝する。もちろん、重圧も大きいが、この日のようにチームを前線で引っ張り、苦しい時間帯で流れを変えるプレーをすること。そして、青森山田に多くのゴールと白星をもたらす。


(取材・文 吉田太郎)
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